はじめに

 鮎の友釣りは実におもしろい。一度とりこになってしまったらもう止めることはできない。毎年鮎釣りの時節になるのを心待ちにしている。最近の情報の伝達は多種に渡り、幅広く行われている。鮎の友釣りに関しても本・雑誌・スポーツ新聞・テレビ・ビデオ等盛り沢山である。こういった情報の内容を見るとき、鮎の友釣りの高度な技術が追い求められてばかりいて、初めて鮎の友釣りをしようとする人には、鮎の友釣りは非常に難しく、易しくできないという観念を植え付けてしまっているようで残念でならない。最近の鮎の友釣りは一昔前とはずいぶんと違ってきている。掛かった野鮎の取り込みは水面から引き抜き、玉網で受けるのが主流になってきている。一昔前には掛かった野鮎はバレるのに注意し、静かに手元に引き寄せてから玉網にすくっていたものである。ましてや、掛かった野鮎は次のオトリ鮎になるものだから、大事に扱っていたものである。高度な技術を求め、鮎の友釣りの競技に参加し腕を競うのもそれはそれで楽しみがあってよいと思う。もう一方、もっと易しく気軽に楽しむ鮎の友釣りがあってもよいのではなかろうか。
 鮎の友釣りのおもしろさを強調し、いろいろな人にすすめてみるのだが、次の点でちゅうちょしてしまう。

(1)川の中に入るので健康を害するのではなかろうか。
(2)ウェットタイツ、足袋、ベストなど服装に大変な出費があるのでは。
(3)釣り道具が高価で揃えるのに大変な出費があるのでは。
(4)生きたオトリ鮎を手に入れるにはどうすればよいのか。どこで購入できるのか分からない。
(5)生きたオトリ鮎を川の中で泳がすことは非常に難しい気がする。

 鮎の友釣りのような魚の釣り方は日本にしかないらしい。この釣りを子供や女性の人まで楽しんでもらいたいものである。それには、今まで以上に簡単に易しくできる方法で鮎の友釣りを行う必要がある。先の問題をクリアーする方法で行う。

(1)川の中には絶対に入らない。
(2)ウェットタイツは着ない。普段着でもできるようにする。
(3)道具は必要最小限とする。今まで渓流、清流釣りで使用していたものをできるだけ使用する。
(4)はじめのオトリ鮎は鮎ルアーを使用する。一匹掛かれば本物とすぐに交換する。鮎ルアーで続けて釣ることもできる。
(5)オトリ鮎を川の中で泳がすのに操作しやすい仕掛けを使用する。

 私も鮎の友釣りをはじめてから早や27年が過ぎてしまっている。この間いろいろな人と出会い、鮎の友釣りを教えて頂き、また本・雑誌・スポーツ新聞・テレビ・ビデオ等から盛り沢山の知識を得、今日まできている。最近は年を取ったせいか楽に釣ることばかりを考えている。前述の(1)から(5)までは気軽に楽しむには実に的を得ていると思う。ここでは鮎の友釣りが子供や女性の人でもできるよう、またはじめて鮎の友釣りをする大人の人が易しく気軽にできることを目標としている。日頃忙しく働いている人が仕事の合間をみて、家族みんなで楽しむということを念頭に置いている。鮎の友釣りの競技で腕を競う技術を追い求めることとは違っている。
 最近は、鮎の放流事業が盛んで、全国至る所、天然遡上の鮎も含めると、身近な川に鮎がいる。イワナ・アマゴ・ヤマメは水温の比較的低い、山奥の渓谷の渓流や清流にいるが、鮎は水温の比較的高い人里を流れる川にいる。村や町、市の中を流れる川にいる。そのようなことから、誰でも気軽に身近にできる釣りなのである。

福島県庁の裏を流れる阿武隈川。ここでも天然の鮎が遡上し、鮎の友釣りができる

 最近の川の汚れはひどいものである。私の住んでいる近くの川もご多分に漏れずひどいものである。川にさわやかさがなく、ドブの悪臭の匂いがする。これでも天然の鮎が遡上して居つくのであるから驚きである。しかし、このまま川の汚れがますます進めば天然の鮎は一匹もいなくなるだろう。一匹もいなくなる前に是非とも川の汚れをくい止めなくてはならない。それには一人でも多くの人に川をきれいにするという意識をもってもらうことである。子供や大人の人、男性女性を問わず、少しでも多くの人に鮎の友釣りを行って頂き、川をきれいにするという意識をもつ人が増えることを願ってやまない。特に子供には将来のことを考えればそうした意識を強くもって頂きたい。現在は遊びといえばファミコンで家に閉じこもり勝ちで、自然に接する時間も少なく、川の汚れなど気にしないのではなかろうか。また、川の汚濁の原因の一つとして、生活排水が関わっていることから、主婦の人にも強く川をきれいにするという意識をもって頂きたい。
 鮎の友釣りを子供のときからやれば、大人になったときには相当技量が上がるはずである。川の中に入らなければ、安全であるので子供や女性の人でも安心してでき、充分楽しむことができる。大人の人でもはじめて鮎の友釣りをする人は是非とも子供や女性の人といっしょにやって頂きたい。家族みんなで楽しんで頂きたい。

河川敷の公園。このような場所では家族みんなで楽しむことができる

 最後に、今までいろいろな人と出会い、鮎の友釣りに関して、御指導頂き感謝致しております。今後とも良き御指導、御鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

1997年4月福島にて アヅマ・ブリッジボード
(1998年1月1日(木)福島にてリニューアル)