#1009_01

『それぞれの勇気』

人並み外れた事をやってのける人間に対して、”勇気がある”と形容することがある。
しかし多くの場合その人物は、その"人並み外れた事"を、実に平気な顔でやり遂げるのである。

こうしたことで、ある時僕は、
"勇気"ってなんだろう? という、尊大ぶった疑問にとりつかれたのである。

人並みのことしか出来ない一般人には、勇気なんてものは無いのだろうか?
例えば、僕には勇気は存在しないのだろうか?

大抵の人は、「勇気あるね。」などと言われたことが過去に何度かはあるだろう。
しかし、本当にどうでもいいような、些細な事柄の場合が、その殆どである。
誰の記憶にも、自分の記憶にすら残らないようなことである。

だけど、どんな小さなことでも、僕等は日常の中で様々な障壁に対峙し、
その度に自分の心に向かって、
「がんばれ!!」「負けるもんか!!」なんてことを、実は叫んでいたりするのだ。

壁を乗り越えた時、その力は勇気と呼べるのではないだろうか。

僕は、勇気をいつしかこう解釈するようになった。

【 勇気とは、心の弱さを克服する力。 】

人前に現れることは少ないかもしれないが、
誰の中にも勇気と呼べるものは数多く存在し、
それぞれの勇気が人を確実に強くしてゆくのだろう。

そして、自身の勇気を認識することが、更なる勇気への道標となるに違いない。

composed by mjn, 1998.11

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