ユピテル VE-D10
ひょんなことで、ユピテルの車間距離通報装置なるものを超格安(市価の1/10)で手に入れたので試してみることにしました。ちなみに、この装置は前方の車までの距離を計り、車間距離が少なくなったらベルを鳴らしてドライバーに知らせるというものです。
2002.6.14
車間距離を測るには色々な方法があります。メーカー系の装置では、電波式レーダーを使い、アンテナはフロントグリル埋め込みと大げさな装置になっています。きっと値段も大げさです(笑) 実験室レベルでは、CCDカメラを使い映像処理で行うものもありますが、まだまだ実験室レベルに近いようです(^^;) 音波式だと、簡単に作れそうですが、そんなのは余り聞きませんね? やっぱり周辺の影響が大きいのでしょうか?
さて、この装置の面白いのは赤外線を使っていることです。そのため、車内のダッシュボードの上に置くだけでフロントガラス越しに計測してくれます。逆に言えば、赤外線を前の車に当てて、その反射光を見て計測するわけですから、かなり微妙な光を元に動作することが予想できます。赤外線といっても、オービスのような強力な明かりではなく、赤外線LEDのぼーっとした光ですから、受信側の感度はめちゃくちゃ良くないと実用性がありません。説明書によると、赤外線の照射角度は3度だそうで、ほとんど直線です。そんなLEDが8個も入っていますが、赤外線が見られるデジカメで見てみても、さほど明るくないというのが印象です。まあ、赤外線感度が悪いというのもありますが、デジカメで確認できるのは、精々10cm程度までです。これを、巨大なレンズで拡大して検出しようという仕組みのようです。
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まず、走行中(10km/h以上)に前車に近づくとベルが鳴ります。クリープ現象なんかで近づいても鳴らないようです。
そして、前車が2〜5mに近づくと鳴ります。信号待ちで停車するときなんかは必ず鳴ります。逆に鳴ったら車を停止させると、何時も一定の距離で止まれるかも?
最後は、前車が離れた時にベルが鳴ります。信号待ちでよそ見をしていて、前車が動いたのに気づかないってことは無くなります。
| ダッシュボードの上に、専用の台を使って貼り付けます。結構良さそうな台ですが、実は似たようなカーナビモニタ用の台が車に乗っています。最近の流行でしょうか? カーナビの台は今は使っていませんが結構良かったです。何処に取り付けるか決めてなかったので、今回はビニルテープで貼り付けただけで仮設してみました。電源は、シガライタから取るケーブルが付属しています。仮設ということで、電源もシガライタから取りました。設置のポイントは、装置から前の車がちゃんとみられる場所に置くことです。どんな距離でも安定させて動かすには、赤外線の光が水平になるようにしなくてはなりません。古めのトヨタ車はダッシュボードが高い位置にあるので問題ありませんが、ホンダ車なんかは、装置は結構高い所に持ち上げないとダメでしょう。車の前でしゃがみ込んで、ちゃんと装置が見えるか確認しましょう・・・ | ![]() |
使う前に色々と初期設定をしなくてはならないようです。実は、自分もよく分からなかったので適当です(笑)
1.装置の向きを設定します。底の方に照準が付いているので、前車のお尻に向くように装置の角度を調整します。
2.テストボタンを1秒以上押し続けると、光の反射量を数値にして表示するモードになります。これで、向きを調整するのも良いようです。
3.フロントガラス補正という項目があり、前に何も無い状態で20秒以上放置すると、勝手にガラスの状態を検知し補正してくれるそうです。
4.車のフロントバンパから装置までの距離を設定します。車を壁際にぴったり寄せて「ZERO」設定ボタンを押します。ピッと音がしたら設定完了です。
5.最後は感度調整(通報タイミング)を4種類から選んで終わります。
3番のフロントガラス補正というのがさっぱりです。最初に電源を入れたら、やるようにと書かれていますが、設定されたんだか、されてないんだか不明です。
4番のゼロ補正も、なんかいい加減です。もともと、1.5m未満は測定不能だそうですから、そのあたりの誤差は凄く大きそうで、0mの位置は大きくずれます。
まず、肝心の感度についてです。説明書では20〜30mと書かれています。実際にも、前の車の色や形状で大きく左右されますが、15〜30m程度の感度はあるようです。白くて洗車が行き届いている飾り気の無いバンなんかは結構遠くからも反応します。反面、黒くて、小さくて、デコボコしていて、後ろに飾り(エアロやタイヤなど)がついてると感度が落ちます。気に入らない車体は10〜15mくらいまで近づかないと検知できません。
通常、空いた幹線を良い速度で走行している時は、車間距離は30mを越えるようですので検知できません。ちょっと車が詰まってくると20〜30mに入り、車種によっては検知できます。さらに、混雑して制限速度が出せなくなってくると15〜20mくらいまで近づくようです。走行中は10m以内に近づくjことはありません。できれば50mくらいまで検知できると、車間距離の目安に良いですが、現状では混雑してる時か、路地みたいな所でしか活用できません。
目玉の急速接近時の通報について、はっきり言って、装置に頼ったら事故ります(笑) 直前にならないと警報がなりません。まあ、20〜30m手前で通報してくれても、ブレーキが間に合わないですね。渋滞とか、のそのそ運転なら効果があるのかもしれませんが・・・ 鳴らさないように走るのが普通だと思います。あと、意外な所では、路地のように道幅の狭い所で右左折すると鳴りまくります。路肩の建物を車だとみなしてしまうようです。
近接通報は、信号待ちなど、前が詰まっている時に、減速気味で近づいたときに鳴ります。あまり意味が無いかもしれません。
一番役立ちそうなのが、離反通報です。停車後、前の車が動き出すと鳴り出します。ただ、タイミング的には一瞬遅れます。でも、安心してよそ見ができるかもしれません(笑)
結論として、安ければ良いおもちゃですが、実用性は、あまり有りません。通常の販売価格は2〜3万だそうですが、自分なら買わないかな(笑) 特売なんかで、5000円だったら遊べるから良いカモしれません。
追記 2002.6.16
夜中の移動に、この装置を使ってみました。夜中だと真っ暗なせいか、結構遠くまで認識します。24〜30mのから認識するようで、場合によっては34mで認識する場合もあります。気に入らない車体でも20mを越えてくれるようで、50km/h程度の走行なら、なんとか使えるようです。ちょっと車が多めで連なっているような状態なら使えそうです。車の台数が少な目で、車間距離を空け目に走ると、すぐ30mを越えますので検知不能になります。あとは、装置の向きが結構シビアです。照準でよく狙って設定しておかないと、すぐに感度が落ちてしまいます。LEDのビームが3度というのはダテでは無いようです。
赤外線LEDの明かりで距離を検知するというのは、ちょっと面白そうだったので、分解してみました(^^;) 左の写真でいうと、左下の黒いパネルが赤外線LEDが隠れている場所で、右側がレンズです。光センサが金属ダイキャストのケースに隣接しています。きっと、微弱な赤外線を検知し、めいっぱい感度を上げて検出しているのでしょう・・・ 中身はOPアンプのかたまりのようです。これだけご大層なシールドケースに納める必要があるかは不明ですが、実は、単なるヒートシンク代わりなのかもしれません(笑)
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受光部、発光部の写真を撮影しました(2002.10.17)
赤外線LEDは6個 |
受光部は大きなレンズと同じ2個、厳重にシールドされている |
受光部の拡大写真、黒っぽいのは赤外線レンズ |