デジタル式キャンバー測定装置

キャンバーは、もともとは１度程度しかついてなく、精度的にも１／４度程度で読めないと、あまり意味がありません。一般的な傾斜計などでは、普通１度単位でしか目盛りが付いていませんし、少し高級なものでも０．５度が精々です。そこで、もう少し精度が取れないかと、秋月のＧセンサを使ってみることにしました。

最終更新日　：　２０００．５．３１

Ｇセンサを使った傾斜計のしくみ

重力は必ず下向きに１Ｇ掛かっています。上の図のように、センサが少し傾いているばあい、重力は、その角度分だけ少なく作用するので、１Ｇより少な目に表示されます。これを利用したのが、Ｇセンサを使った傾斜計です。その仕組み上、角度が大きくなると精度が悪くなってきます。幸いにも、キャンバーは、精々数度ですから、いちばん精度の良い部分が使えます。

使用したのは、秋月電子通商の「デジタル表示Ｇセンサ・キット」（４７００円）です。これは、Ｇの大きさを３・1/2桁（±1999）のデジタルで表示できます。ちなみに、表示される数値は、いきなり角度が表示されるわけではありません。表示できるのは、あくまでもＧであって、下の重力と角度の換算表で変換して数値化しなくてはなりません。さらに、Ｇセンサの仕様上の分解能が５ｍＧしかありません。５ｍＧというと、角度に直すと０．３度程度になってしまいます。わざわざデジタル化しても、この程度なのは少し悲しい面もありますが、一応の目安にはなるでしょう。

測定には、四角のアルミパイプ（１５ｍｍ）を使いました。これをホイルのリムの上下に当てて角度を測定します。ＭＲ２の純正ホイールの場合は中央部が１４ｍｍほど出っ張っているので、上下のリムに当たる部分にアルミパイプを短く（５ｃｍほど）切ったものを取り付けて測定します。このアルミパイプは肉厚が１．５ｍｍと、かなり丈夫で、Ｇセンサを押しつけながら測定しても、曲がるようなことはありません。

秋月の「デジタル表示Ｇセンサ・キット」

デジタル表示Ｇセンサ・キット

このキットは、デジタル電圧計と、加速度センサが組みになったキットです。どちらのキットも製作は比較的簡単だと思います。加速度センサ基板は、バラックで組むので少し悩みます。写真のケースは、キット付属のケースではなく、秋月で売られているＳＫ−１６というケースを別途購入して入れたものです。付属のケースだと、２つのキットを両方とも入れるのは難しいようです。製作上の問題はありませんが、ＡＤＸＬ２０２に取り付ける０．１μＦのフィルムコンデンサを４．７μＦ程度のコンデンサに交換したほうが表示が安定して読みやすいと思います。ただ、このクラスの容量のフィルムコンデンサは入手が難しいので、手持ちのタンタル電解コンデンサを使いました。

測定時の注意

まず、車を平らな処に止めます。少しの傾斜でも測定に影響してしまいます。特に左右方向に傾斜があると、前後共に片側のキャンバーだけ大きくなってしまいます。舗装路の多くは中央部が高く、路肩が低くなっているので、こんな場所での測定はできません。私は何時もホームセンターの屋上の駐車場で計りますが、排水のために全体的に傾斜があります。前後方向なら多少傾斜が有っても大丈夫ですので、こんな場所を探します。あと、車輪が何時も乗る部分は削れて凹んでいます。路面の状況を見極め、傾斜が無く凸凹も少ない場所に車を止めて計りましょう。

平らそうな場所が見つかったら、前輪の左右のキャンバを計ってみましょう。左右差が大きいようなら、路面が傾いてる可能性があります。次に後輪の左右のキャンバーを計ってみて、同じくらいずれているなら、間違いなく路面は傾いてるでしょうので、場所を変えてみます。

測定の方法は、ホイールのリム部分にアルミパイプを当てて、アルミの上下の傾きを計測します。リムが曲がっていると正確に計れませんので注意しましょう。ちょっと怪しいかなと思った場合は、車を数１０ｃｍ程度動かして計ってみます。本来のキャンバーはホイルのリム部分ではなく、ハブ（ホイルの取り付け部分）で計るのが正しいのでは無いかと思います。修理朱書などでも、そのような測定器が紹介されています。

重力と角度の換算表