FW記録)宮城)栗駒山〜秣(マグサ)岳
シダ野外観察記録

                     98/8/01) 宮城)栗駒山〜秣(マグサ)岳


自然観察路湿原から栗駒山を望む

  栗駒山は、標高1628m,岩手、宮城、秋田の3県にまたがる栗駒国定公園の東
  側に位置します。麓に温泉地帯を控え、なだらかな山容は湿原も発達し、秋の紅葉
  もすばらしい所です。もともとは火山で、昭和19年の小爆発で出来た昭和湖近く
  からは今でも火山性ガスの噴気があります。 温泉の泉質はpH2の強酸性で、須川
 (酢川)というのもこの辺りから命名されたのでしょう。

   秣(マグサ)岳から下る道はとても急峻ですが、それ以外はそんなに難しいコースでは
   ないと感じました。さすがに人気のある山で老若男女で賑わっていました。
   今回の自然観察路コースは植物も豊富で充分楽しめました。   
 
【日 時】 1998年08月01日(土曜) 9:30〜16:00
【県 名】 宮城県
【場 所】 須川温泉〜自然観察路〜栗駒山〜秣(マグサ)岳〜須川湖畔
【天 候】 晴れのち曇り
【環 境】 亜高山  1000m〜1628m


【観察した草花】  (無注釈は、花が咲いていたものです。)
 〔タデ科〕    ・オヤマソバ
 〔キンポウゲ科〕 ・ミツバオウレン  ・ヤマキツネノボタン
 〔オトギリソウ科〕・イワオトギリ
 〔ユキノシタ科〕 ・ズダヤクシュ ・エゾアジサイ  ・ノリウツギ
          ・ミヤマダイモンジソウ ・ウメバチソウ ・トリアシショウマ
 〔モウセンゴケ科〕・モウセンゴケ(始まり)
 〔バラ科〕    ・シロバナトウウチソウ ・マルバシモツケ
 〔ミズキ科〕      ・ゴゼンタチバナ(実)
  〔セリ科〕        ・シラネニンジン     ・ハクサンボウフウ
                    ・イブキゼリ  ・イブキゼリモドキ  (いずれも盛り)
 〔ツツジ科〕   ・キバナシャクナゲ ・ウラジロヨウラク  ・クロマメノキ(実)
                    ・ミヤマホツツジ    ・シラタマノキ
 〔リンドウ科〕  ・エゾオヤマリンドウ  ・ツルリンドウ  
 〔ミツガシワ科〕 ・イワイチョウ 
 〔アカネ科〕   ・ツルアリドオシ
 〔リョウブ科〕   ・リョウブ
 〔ゴマノハグサ科〕・エゾシオガマ
 〔シソ科〕    ・イヌトウバナ  ・タテヤマウツボグサ  
 〔キク科〕    ・ヒヨドリバナ  ・ヤマハハコ  ・クモマニガナ 
                    ・シロバナクモマニガナ ・ミヤマコウゾリナ 
                    ・ミヤマアキノキリンソウ(盛り)  ・オオヨモギ
                    ・ガンジュアザミ
  〔キキョウ科〕   ・タカネツリガネニンジン(ハクサンシャジン)(盛り)
 〔ユリ科〕    ・タケシマラン(実)・ネバリノギラン ・キンコウカ(終り)
          ・タカネアオヤギソウ  ・タチギボウシ(盛り) ・イワショウブ
                    ・タカネシュロソウ(ムラサキタカネアオヤギソウ)
 〔ラン科〕    ・ホソバキソチドリ  ・ミズチドリ  ・コイチョウラン
 〔カヤツリグサ科〕・アイバソウ  ・クロヌマハリイ
 〔イネ科〕        ・ナンブソモソモ  


【観察したシダ】
[ヒカゲノカズラ科]・ヒカゲノカズラ ・ミヤマヒカゲノカズラ  
                    ・エゾヒカゲノカズラ  ・ホソバトウゲシバ  ・マンネンスギ
                    ・アスヒカズラ  ・スギカズラ
[ゼンマイ科]   ・ゼンマイ  ・ヤマドリゼンマイ
[キジノオシダ科]  ・ヤマソテツ
[シシガシラ科]   ・シシガシラ 
[オシダ科]        ・シラネワラビ    ・シノブカグマ    
[ヒメシダ科]      ・オオバショリマ  ・ミヤマワラビ
[イワデンダ科]   ・サトメシダ      ・ヤマイヌワラビ ・ミヤマメシダ 
                    ・ミヤマヘビノネゴザ ・ヘビノネゴザ 
                    

【登山ルート 備考】
 ・登山ルートは下記の通りです
   須川温泉〜昭和湖には出ないで東回りコースの自然観察路 〜 栗駒頂上 〜 天狗岩
    〜 無名の1573m峰 〜 秣岳
 ・頂上からは4本の登山道が下っており、一番楽そうなのは、南のイワカガミ平か
   らの登頂コースのようです。頂上からはもう手に取るようなところに駐車場が見
   えました。思わず、「コリャ無いよ〜」と叫んでしまいました。(^_^;)

【花の部 備考】
・トリアシショウマに似たのがヤマブキショウマですが、花の時期がトリアシの方が
  遅いのと、葉の大きさが全体に小振りでした。葉脈の数も若干少ないのと、葉脈の
  先の結合度合いが大きいものでした。
・セリ科が問題ですが、 今回は大型のセリ科は出現しませんでした。稜線に出てから
  は膝の高さ程度のセリ科ばかりでしたが、シラネニンジン < イブキゼリモドキ
 < イブキゼリ < ハクサンボウフウ の順にエイヤーッ で、葉の切れ込みの大小の感じ
  で掴みました。 (^_^;)  イブキゼリモドキ は イブキゼリ と同種異名のものなのか
  どうか図鑑によってそれぞれ掲載されているので、混乱しています。
・栗駒頂上 〜 天狗岩 〜 秣岳 のルートには稜線では、ハクサンシャジン(薄紫)、
  ミヤマアキノキリンソウ(黄色)、シラネニンジン(白)の取り合わせが奇麗でし
  た。稜線の上に湿原が2個所もあるのも意外でした。

 【参照した図鑑】これらの図鑑の知識しかないのでよろしくお願いします。
     八幡平の花             工藤茂美著           加賀屋書店(昭和53年)
     高山と亜高山の花  大場達之・高橋秀男著      社会思想社(昭和53年) 
     岩手の高山植物百科                          岩手日報社 (平成3年)
     高山植物  Field Selection 16                北隆館     (1994)
     山に咲く花                                  山と渓谷社 (1996)
     高山植物ガイドブック  鈴木庸夫・長塚洋二著  永岡書店   (1997)
     花の山 秋田駒ヶ岳 乳頭山 を歩く             田沢湖観光協会(1998/7/1)
                              
     
【シダの部 備考】
・ハイマツ帯にでると、ヒカゲノカズラ科のオンパレードでした。
・ミヤマヒカゲノカズラは小枝の分岐の仕方がアスヒカズラに一見似ているが、
  偏平ではない。しかしヒカゲノカズラのようには葉が刺立っていない感じのもの
  でした。胞子嚢穂が葉の集合部分から、長い梗で立ち上がっていました。
  マンネンスギなら葉のてっぺんが直接胞子嚢穂になっています。
・エゾヒカゲノカズラは、ヒカゲノカズラをもっと痩せさせて針状の葉がまばらな
  感じのものでした。
・スギカズラは、一見ホソバトウゲシバですが、葉にはトウゲシバのような鋸歯が
  ないものです。匍匐する枝で伸びていました。胞子嚢穂も頭のてっぺんに着けて
  いました。  太目のヒカゲノカズラ様で、みずみずしい緑のものでした。
・いずれにしても、稜線の高いところに出てくるヒカゲノカズラ科はおいそれとは
  手軽に行ける所ではないので、当分勉強に時間が掛かりそうです。
・イノデ類は見かけませんでした。スタート地点の標高がもともと高いのと、登山道
  が狭く、湿原が多いせいかも知れません。

                                素路(KFE00630)



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