FW記録nifty.ne.jp豊橋市 葦毛湿原
シダ野外観察記録
豊橋市 葦毛湿原
愛知県豊橋市郊外の葦毛湿原と、蛇紋岩地帯である、新城市宇利地区観察記録です。
なお、葦毛湿原の顕花植物については、
吉田 豊さんのホームページ http://www.tcp-ip.or.jp/~yoshida/
を参照ください。湿原の四季の移り変わりを克明に記録した美しいホームページです。
【日 時】 1996年11月3日(日)葦毛湿原
〜4日(月)宇利峠、中宇利
【場 所】 愛知県豊橋市葦毛湿原〜新城市中宇利
【天 気】 晴
【環 境】 葦毛湿原:湿原およびその周囲の山林
宇利峠、中宇利:蛇紋岩地帯の山林
【見られたシダ】・・科の分類は平凡社の「日本の野生植物 シダ」、通称、<岩槻図鑑>
に準拠したマーラー氏(QFG03100@nifty.ne.jp)作成のデータベースを
使用しています。
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1・葦毛湿原の部
[ヒカゲノカズラ科] ・ホソバトウゲシバ
[トクサ科] ・スギナ
[ハナヤスリ科] ・フユノハナワラビ
[ゼンマイ科] ・ゼンマイ
[ウラジロ科] ・コシダ ・ウラジロ
[フサシダ科] ・カニクサ
[コバノイシカグマ科] ・コバノイシカグマ ・フモトシダ ・イワヒメワラビ
・ワラビ
[ホングウシダ科] ・ホラシノブ
[イノモトソウ科] ・イノモトソウ
[チャセンシダ科] ・トラノオシダ
[シシガシラ科] ・シシガシラ
[オシダ科] ・ヤブソテツ ・ジュウモンジシダ ・オオカナワラビ
・ヤマイタチシダ ・オオイタチシダ ・ベニシダ
・オオベニシダ ・トウゴクシダ
[ヒメシダ科] ・ミゾシダ ・ヤワラシダ ・ミドリヒメワラビ
・ハリガネワラビ ・ハシゴシダ ・コハシゴシダ
[イワデンダ科]・ホソバイヌワラビ ・シケシダ
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2・宇利峠の部 ※印は葦毛湿原で見られなかったシダ
[ゼンマイ科] ・ゼンマイ
[コバノイシカグマ科]・イワヒメワラビ ・ワラビ
[ホングウシダ科] ・ホラシノブ
[イノモトソウ科] ※オオバノイノモトソウ ・イノモトソウ
[チャセンシダ科] ・トラノオシダ
[シシガシラ科] ・シシガシラ
[オシダ科] ・ヤブソテツ ※イノデ ※ホソバカナワラビ
※コバノカナワラビ ※オクマワラビ ・オオイタチシダ
・ベニシダ ・トウゴクシダ
[ヒメシダ科] ・ミゾシダ ※ホシダ
[ウラボシ科] ※ノキシノブ
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3・中宇利の部 ※印は上記の葦毛湿原および宇利峠で見られなかったシダ
[ヒカゲノカズラ科] ※ヒカゲノカズラ
[トクサ科] ・ゼンマイ
[ウラジロ科] ・コシダ ・ウラジロ
[フサシダ科] ・カニクサ
[コバノイシカグマ科]・フモトシダ ・ワラビ
[ホングウシダ科] ・ホラシノブ
[ホウライシダ科] ※タチシノブ
[イノモトソウ科] ・イノモトソウ
[チャセンシダ科] ・トラノオシダ
[シシガシラ科] ・シシガシラ
[オシダ科] ・ヤブソテツ ・イノデ ※アイアスカイノデ
・コバノカナワラビ ・オクマワラビ ※クマワラビ
・ヤマイタチシダ ・オオイタチシダ ・ベニシダ
・オオベニシダ
[ヒメシダ科] ・ミゾシダ ※ゲジゲジシダ ※ヒメワラビ
・ミドリヒメワラビ ・ハリガネワラビ ・ハシゴシダ
・コハシゴシダ ・ホシダ
[イワデンダ科] ※ヘビノネゴザ ※イヌワラビ ・シケシダ
[ウラボシ科] ・ノキシノブ
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【補 足】
日頃、関東の首都圏近くのシダしか見ていないので、東海地方での初めての
観察、しかも地域が地質構造的にも特徴のある場所で緊張しました。
1.コシダ、ウラジロの宝庫である。・・・話には聞いていましたが、これほど
あるとは知りませんでした。葉脈をルーペで見た時に、三叉しているのが
コシダ、ニ叉しているのがウラジロです。この他、葉の先を見た時に、
先端が窪んでいるものがある(すべてがそうではないけれど)のがコシダで
ウラジロは全く窪んでいませんでした。
2.湿原では、ヒメシダの出現を期待していたのですが、見られませんでした。
湿原自体には、シダは少なく、ここに通じる道中および奥の山林で多くのシダ
を見ました。
3.オオベニシダ、トウゴクシダ、オオイタチシダ(少)、ヤマイタチシダ(少)
が道中の溝の周辺にあり、いずれもこれらの中間的な形質を見せているので
大分迷いました。あるいは、これらとは別の種類(ナガバノイタチシダ、
タカサゴシダ、ヌカイタチシダなど・・いずれもまだ見た事もないし、
認識もできないのですが)があったのかもしれません。要観察継続地域です。
4.イヌワラビ類が少ない。そのくせ、ホソバイヌワラビなど、私にとって希少な
シダが出てきた。このホソバイヌワラビは、葉の先に無性芽が丁度出てきている
のが見られました。無性芽といってももう立派なシダの形をしていました。
写真を撮れなかったのが残念!!
5.ハシゴシダ、コハシゴシダのいずれも見られました。コハシゴシダは羽片の
上向きの第一小羽片の付け根がくびれて隣接する小羽片とは完全に独立して
いるものです。が、よく見ると中には、くびれている小羽片とくびれていない
小羽片とが同じ葉の中に混在しているものもありました。
ハシゴシダ、コハシゴシダいずれも上向きの第一小羽片が他の小羽片より
長いのが特徴の一つですが、ホシダもこの点同じなので、第一小羽片と
その隣の小羽片との接合部分の葉脈を良く見ないと騙されます。
もっともホシダの方は、葉先が穂になっているのでこれで区別できるのですが。
6.宇利峠ではカナワラビ類が出てきました。
同行者の言葉を借りると、<プラスチックのカナワラビ>ということで、うまい
表現です。
7.最後の中宇利地区では、蛇紋岩地帯で植生が全体的に貧弱でした。
岡山の宇野地区の花崗岩の禿山地帯のように、バッドランドとでも表現したく
なる地域です。超塩基性岩の蛇紋岩ということで、それならヘビノネゴザでも
この時ばかりは、とワンサカ出てくるのではないかと思いきや、これも遠慮して
少ない。不思議な地域です。ここの植物は全体に小振りでした。
8.ヒカゲノカズラ、これは日向が大好きなよう。ヒナタノカズラの方が名に
ぴったりでは・・・。南向きの石垣に優勢でした。
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