日本代表の11日間戦争


トルシエ流サッカー日本代表の美学。
5対0という屈辱を胸に刻みこの戦いに望んだ。
FIFAコンフェデレーションズカップ2001。

5月31日、新潟スタジアム「ビッグスワン」。
初戦、日本vsカナダ。

「どんな大会でも初戦が一番難しい。
この試合に勝てばチームに勢いが出る。
戦術的には、序盤はゲームが動かないだろう。
だから、リスクを背負って自ら攻撃的にいく。」

前半、まだ固さが見られ、川口が猛攻をしのぎスコアレスドロー。
後半、絶好の位置でのフリーキック。中田と小野が声をかわす。
小野がグーで中田がチョキ。吸い込まれるようにゴール角に決まり先制。
その後、西澤と森島のが粘りのあるコンビネーションで2点を追加。
初戦を3対0の白星で飾る。

「左サイドの小野の活躍があり戸田も期待以上の動きをしてくれた。
中山はベテランならではのメンタリティでチームを引っぱってくれた。
とてもよいチーム状態だ。」

6月2日、場所は同じく「ビッグスワン」。

「カメルーン戦は1つの決勝戦といってもおかしくない。
フィジカル的にはカメルーンに勝てないので
頭脳的なサッカーをするしかない。」

常々、大舞台ではいつも決まって新星・ニューヒーローを
神様は誕生させる。それが、鈴木。代表初スタメンにして初ゴール。
持って生まれた天性とその勝負強さ。1対0のリードで折り返す。
後半、またしても鈴木がゴールを決める。結果、2対0で勝利。
日本代表は、第3戦を待たずして無失点無敗の決勝トーナメント進出を決める。

「鈴木の起用を決めたのは5時15分からのミーティングの前。つまり、
試合の2時間前。ずっと迷っていたが、スタッフと話し合って決定した。日本の
出来は予想以上。これほど選手が自発的に動いたことはとても驚きだ。」

6月4日、カシマサッカースタジアム。
迎える第3戦、予選リーグ最後の相手は
サッカー王国ブラジル。

「今回のブラジルは日本サッカーの歴史の中で初めて
ブラジルの方が大きなプレッシャーを感じながら行なう試合である。
我々日本代表がリラックスして試合に臨めることは素晴らしい。」

決勝進出を早々と決めた日本代表のブラジル戦は
来年行なわれるワールドカップのためのテストに使った。
新しい選手を投入し、ドローという結果を残した。

「2年前に始めた練習の結果が出ているのだと思う。」

予選リーグの成績、2勝0敗1分、得点5・失点0。
グループ首位の成績で決勝トーナメントに進出する。

6月7日、横浜国際総合競技場。
雨の準決勝、オーストラリア戦。

「準決勝は厳しい試合になるだろう。
日本は簡単にオーストラリアに勝てる。
しかし、オーストラリアも簡単に日本に勝てるのだ。」

雨の中、最悪のコンディション。思うように
ボールが前に進まない。そんな中で第1戦と同じ場面。
中田だ。この大会のために所属チームのスクデットを
置いてきた男の一蹴りが日本に勝利をもたらす。

「中田英寿はリーダーシップをとり、最初から最後までチームを機能させ、
決定的な局面を作り出し決勝ゴールを入れた。
この厳しい大会で、彼は本当に重要な選手である。」

FIFA主催の国際大会で初の決勝進出を決めた。
そして、中田は日本代表の決勝進出という置き土産を残し
世界のヒデとして、自らの意志でクラブチームへと戻った。
そして、ブラジルを破ったフランスと再度対戦する。

6月10日、決戦の地・横浜。
1年後、この地でワールドカップの決勝が行なわれる。

一進一退の攻防を繰り広げる中
W杯優勝国フランスは一瞬のミスを見逃さず
先制、このまま前半を終了する。

後半、攻撃のチャンスを作るも
世界の壁は厚く、その前に屈してしまう。
日本代表は準決勝という結果を残す。

日本代表のコンフェデ杯。
3勝1敗1分、得点6・失点1。
これが今のトルシエのベストである。

すでに1年を切ったワールドカップまでの道程。
これからも日本代表と彼を追っていきたい。







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