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二人組の少年に襲われ、ホームレス3人死傷。

十五日未明、東京都墨田区の路上で、ホームレス三人が少年とみられる二人組に相次いで金属バットなどで襲われる事件があり、うち一人が死亡、二人が軽傷を負った。警視庁少年事件課と本所署では、同一犯の可能性もあるとみて捜査本部を設置、傷害致死などの疑いで捜査を始めた。

 同課によると、同日午前三時四十分ごろ、同区亀沢二の路上で、住所不定、無職、小茂出清太郎さん(68)が仰向けに倒れているのを付近の人が発見。小茂出さんは病院に運ばれたが、頭部打撲などで間もなく死亡した。

 小茂出さんは二時間半ほど前、約百メートル離れたJR総武線のガード下で、別のホームレスの男性(56)と眠っていたが、この男性が十七歳から十八歳ぐらいの二人組に殴られたため逃げていた。男性は軽傷。また、同午前二時十分ごろにも、同区亀沢三のJR線ガード下でリヤカーに乗って酒を飲んでいた無職男性(62)が二人組に金属バットで殴られ、頭などに二週間のけがを負った。

 目撃された二人組は、いずれも十七?十八歳くらいで、うち一人は黒っぽい服装だったといい、同課などでは同一犯の可能性もあるとみて行方を追っている。

 現場付近には以前から数人のホームレスが生活していたが、住民らとのトラブルなどはなかったという。

2年13組 46番 谷上竜太郎

 このようにホームレスを狙った事件は、決して少なくないのが現状である。特にホームレスが多く集まる都心部で、この手の事件が多く発生する傾向がある。以前、同じような事件で逮捕された少年達は、『自分達は社会にとって邪魔なホームレスを退治したのだから、良いことをしたと思っている。悪いことをしたとは思わなかった。』と供述しており、反省どころか、自分の犯罪行為を正当化していたのである。人を傷つけることに対して何の抵抗も無いように思えてしまう。このような状況は、他の少年犯罪にも言えることではないだろうか。

 1990年代に入ってから、殺人等のように凶悪犯罪で逮捕される少年の数の増加傾向が顕著である。少年達が犯罪を起こす動機は、自己の欲望、欲情をそのまま行動に移す、「いきなり型」「増長型」と呼ばれるものが多い。また、「人を殺す経験をしたかった」、「殺すのは誰でも良かった」などのように、意味不明な動機が最近の少年犯罪の特徴であると言われている。逮捕された少年達の罪意識はとても低く、罪悪感を持つ者は多くない。

 このような少年犯罪の背景には何があるのだろうか。家庭環境、友人関係等が大きな影響を与えることは確かだが、最近では、こうした周囲の環境などが、ごく普通の『犯罪とは無関係そうな』少年も凶悪犯罪を起こすのである。そのため、いちがいには、周囲の環境のみが原因であるとは言い切れない。他の原因として考えられることは、世の中に溢れるさまざまな情報による悪影響である。現在は、情報過多と言っても過言ではない時代であり、インターネットでは無数の情報を簡単に手に入れることができる。その中には当然ながら、有害かつ危険な内容のものもある。また、残酷な内容の小説や、テレビゲームの影響で感覚が麻痺することも十分に考えられる。ゲームの感覚で実際に傷害事件や殺人事件を犯すケースも無いとは言えないと思う。

 少年犯罪のニュースになると、必ずと言っていいほど少年法が話題となる。少年法は犯罪を起こした少年の立ち直りを図る法律であり、保護主義的な性格が特徴である。

例えば、18歳未満の少年が、死刑相当の罪を犯した場合には「無期懲役」が適用される。また入獄後7年で仮釈放ができる規定もあり、成人と比べて、かなり罰則が緩いものとなっている。この点を熟知している少年達は、この程度の犯罪に対してなら、処分はこれくらいで済む、という相場には異常なくらい敏感である。まるで「非行をするなら少年のうち」という合言葉があるかのようである。そこで問題になるのが、「少年法改正」である。2000年国会でも「少年法改正案」が提出されたが、審議未了のまま廃案になった。しかし、少年法ばかりに目を向けるのではなく、さまざまな影響を受けやすい年頃の少年に対する社会全体の適切な援助がまず何よりも大事だと私は思うのである。

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