明治大学大学受講生のぺージへ 明治大学法学部のぺージへ 

遺伝子情報の問題について

人間のすべての遺伝情報であるヒトゲノムの解読について、米国では「有益」とみる人より、「有害」と考える人が多い。米CNNテレビとタイム誌の共同世論調査で、こんな結果が明らかになった。日米欧の国際研究グループと米セレラ・ジェノミクス社がそれぞれ読みとり、クリントン米大統領が「概要の完了」を宣言したばかり。「月着陸にも匹敵する偉業」などと称賛される成果だが、市民は、遺伝情報の漏えいなどに大きな不安を感じているようだ。 調査は、宣言に先立つ今月14、15の両日、米国内の成人1218人を対象に電話で行われた。 解読が、「有害な結果をもたらす」とみる人が46%を占め、「有益」と答えた40%を上回った。解読を道徳的に間違ったことと思う人も41%いた。 遺伝情報が他人に知られることへの警戒感が強く、保険会社や政府に「知ってもらいたくない」人がそれぞれ75%、84%だった。 「自分がどんな病気になりやすいか知りたいか」という質問に、61%が「知りたい」と答え、「知りたくない」は35%だった。 クリントン大統領は宣言の際、「神が我々を創造した言葉を学びつつある」と述べたが、「神の領域」に踏み込むことに戸惑っている可能性もある。  (626日 朝日新聞より)

法学部213匿名

マルチメディアの発展など、科学技術が進歩する一方で、人間の倫理の面で用心しなければならない問題が生じてきている。なかでも、生命科学、生命倫理といった問題は、場合によって、生命の本質、生命の根元に関わるものであり、社会的関心も高く、きちっとした姿勢をとることが求められている。この場合の「倫理に関わる問題」というのは、遺伝子操作によって、理想の人間を作ることが可能になるということである。

例えば、この方法を用いると、人間はみな平等にこの世に生まれてくるわけではなく、一部の人間だけは、遺伝子の操作によって理想の人格が形成されてしまうことになる。しかし、遺伝子情報の解読は、難病の解決につながるといわれており、有効活用されれば人類にとって有益なものとなるだろう。そのためにも、遺伝子情報を有効に活用する方法を考えなければならない。まず、ヒトゲノムの解読を有効に利用するためには、遺伝子診断の結果による胎児の中絶や、特徴づけ等、何かしら遺伝子に手を加える事から発生する問題には慎重になる必要がある。そして、最終的にそういった判断は、全て法の規制で規制されるべきである。

具体的に挙げると、まず、個人のプライバシーの問題がある。この問題は、脳死に関わる移植手術のケースによく似ている。日本での第1回目の脳死の判定や、移植手術が行なわれたときには、移植に関わった人物の周辺にマスコミが殺到し、望まざる個人のプライバシーが社会に漏れてしまうことがあった。第2、3回目の場合にも同じような問題が続いた。第4回目からは、病院やマスコミが個人のプライバシーの保護を行なうようになった。しかし、これは法律による保護ではないので、完全な解決とは言えない。これと同じように、ヒトゲノムの解読の場合でも、市民が不安に感じている「遺伝情報の漏えい」も防ぐことはできないだろう。そしてさらに重要なことは、どこまで遺伝子を操作するかということである。この問題に関しては、学者の意見よりも、一般市民の意見を取り入れるべきである。なぜならば、この問題は一部の人間の問題ではなく地球規模の問題だからである。    上記の記事は、米国の記事であり、米国の社会思想がそのままアンケートに反映されている。しかし、日本では、一般市民に「ヒトゲノム」という概念が浸透しておらず、意見はもっぱらマスコミを通して社会に広まっている。この場合、学者の意見がマスコミを通じて社会に押しつけられるようなことがあってはならない。マスコミは意見を押しつける形ではなく、中立的に正確な情報だけを伝えることが大切である。ライフサイエンスの発展のためには、まず、法律の整備と正確な情報の伝達が行われているが必要であろう。

 

 明治大学大学受講生のぺージへ 明治大学法学部のぺージへ