《学習指導案》 小海日和
とき 十月七日 一時限目
ところ 東京成徳大学 二〇四教室
対象者 国語科教育法受講者三年生
本時の目標
・本文の内容理解
・筆者の蛇に対する心情の変化
本時の展開例
テキスト 高校生の国語U 『蛇』1限目(計1時間)
挨拶 起立 礼
解釈読解
今日から新しいところに入ります。教科書一七ページを開いてください。蛇の作者は、李禹煥という人で、大韓民国で生まれた人です。
作者については二〇ページに書いてあるので、各自で読んでください。それでは本文に入ります。○○さん、一八ページ九行目まで読んでください。――ありがとうございます。
今読んでもらった部分には、筆者が蛇についてどう感じているのかが書かれているわけですが、現在の筆者は蛇に対してどう感じているかわかりますか。○○さん――。一番端的に書かれている部分は、一八ページ二行目、「蛇と聞くだけで、怖く嫌な気持ちになる。」という部分です。この言葉を証明づける部分が、一七ページの四行目、「細く黒っぽいくねくねしたものが、そこらに転がっているのを見るだけでビクッとする。本当にそれが蛇だとわかると、もうぞっとして、足のつま先から、頭のてっぺんまで冷やっとしたものが走るのだ」という部分になります。では、子供の頃はどう感じていたのかというと、一九ページの三行目からを見てください。ここから九行目までが、子供の頃の蛇に対する感じ方になります。つけ加えですが、筆者は二十歳くらいに来日しているわけですから、この子供の頃のことは韓国、または、日本でない国での出来事となります。念頭に入れておいてください。ここでは、筆者自身の子供の頃というより、田舎の人全体を指していっています。「蛇は蛇であってそれ以上のものでも以下のものでもなく、それこそ田舎の動物の一つにすぎない。その性質や生態がよくわかっている。これは田舎生活の営みの中で培った自然な意識であり、本能的なものの見方と言っていい。」という部分でわかります。「これ」がさす言葉は、「蛇は蛇であって…」という考え方をさしています。
それでは、子供の頃に蛇に対して何の警戒心をももたなかった筆者が、なぜ現在になって怖く嫌な気持ちを持つようになってしまったかのかをこれから考えていきたいと思います。続きを○○さん読んでください。――ありがとうございます。
ここでは、「それがどうだろう」という言葉から始まっています。自分がこの言葉を使用する時を考えてみてください。前の文章を受けて否定する時、または、前はこうだったけど今はこうだよという時に、少し驚きを込め、または、後の文を強調するために使います。ここでは、驚きがこの言葉に込められ、今はこうだよ、と筆者自身の昔を確認しています。要するに、昔と今は全く違うということを強調しているわけです。それでは、蛇に対するイメージがどうして変わってしまったのか。一八ページの最後の方に、「すべては出所不明な情報や、勝手なイメージによって塗り替えられ、その正体はどんどん覆い隠されて行くばかり」とあります。蛇に対する情報やイメージは次の段落に書かれていますが、どちらかというと、あまり良いイメージではありませんね。筆者はここに書かれているようなイメージが生まれたのは、「都会人が蛇をよく知らないところから来る誤解」、「今やそこらの山や野といえども、すでに人工的な庭と化して、蛇はそこにふさわしくない動物として、取り残されたから」と言っています。筆者も、三〇数年という長い時間を都会で暮らし、そういった生活から、田舎に住んでいた頃の自分ではなくなってしまったと、「人工人」という言葉を使って、表しています。何が筆者の考え方を変えてしまったのか。それは、都会での長い生活から蛇、大きく言うと自然からかけ離れ、田舎で培った自然な意識や本能的な見方ができなくなってしまったからということになります。
最終段落では、蛇を化け物と言っていますが、自然の一部であり、同じ生き物である蛇を化け物と言ってしまう自分の方が化け物であると筆者は言っています。しかし、蛇に対する一般的イメージが変わるまでは、自分も蛇というものを恐怖の対象でしか見られないのです。これが、今日のまとめとなりますが、今日やったところで質問はありますか。次は新しいところに入ります。
挨拶 起立 礼
★ 指導内容確認 ★
・ 指導予定の内容をどの程度理解させられたか。 優・良・可・不可
・ 板書は正確で見やすかったか。 優・良・可・不可
・ 時間配分は適正であったか。 優・良・可・不可
・ 発問と解答はかみあっていたか。 優・良・可・不可
説明は聞き取りやすかったか。 優・良・可・不可
学習指導案 学習指導案 小海 日和
と き 十二月二日(木) 一限目
ところ 東京成徳大学 二〇四教室
対象者 国語科教育法受講三年生
本時の目標
・ 本文の読み
本時の展開例
テキスト 高校生の国語U
「セメント樽の中の手紙」(計二時間)
挨拶 起立 礼
解釈・読解
今日は、セメント樽の中の手紙をやります。一〇六ページを開いてください。今日は、教科書の☆印をいくつか解いていきます。すべての質問と、その質問が本文のどの部分に位置するかを確認してください。(五分程度)
それでは、質問の答えを考えながら、ゆっくり読んでください。○○さん。――ありがとうございます。(二人・一〇八ページ・一〇行目まで)ここまでに、三つの☆印がありますが、一個目と三個目を解いていきます。まず一つ目ですが、一〇六ページの五行目、「そんなものに構っては、いられなかった。」のはなぜか。まず、「そんなもの」とは何をさすでしょう。○○さん。そうですね。では、なぜ樽から出てきた小さな木の箱に、与三は構っていられなかっ
たのでしょう。(大体、こういった問いの場合は、問いの部分より前の部分に書かれていることが多いので、それより前の部分と、その部分の後を少し読むと、答えがわかると思います。)
○○さん。この場合、仕事で、指を鼻の穴に持っていく間もないため、木の箱を構えるはずがないということになります。この答えに「昼飯と三時休みの時間にも鼻についてるコンクリートをとる暇がないから」とプラスしても間違いではないが、質問の意図と少し異なってしまうので、前者の答えだけの方が明確にわかるでしょう。次に、一〇八ページの六行目。「この世の中でも踏みつぶす気になって」の、このときの与三の気持ちは、どうだったでしょう。
○○さん。この問いも、前の部分に書かれています。ウヨウヨしている子供に、また、子供ができてしまったこと。自分のもらっている給料で、家族を養うのが精一杯なこと。産まれてくる子供が寒い時期であるから、衣料のことも考えなければならないこと。それらすべてで、飲みたい酒が飲めないという気持ちでむしゃくしゃしていたと考えられます。やり場のない気持ちを箱を踏むことで発散しようとしていたのでしょう。
では続きを○○さん、読んでください。(三人・最後まで)一〇八ページの下、十一行目、「そうっと」と表現した女工の気持ちはどんなものか。この答えは一概にこれとはいうことはできません。なぜなら、なぜ、「そうっと」という表現を使ったのかというのは、本文には出てきていないからです。しかし、女工の手紙を全部読んで推測することはできます。つらく、悲しい気持ちでいたであろうから、そういう表現をしたのかもしれないし、そうっとしまい込むことで、彼への供養だったのかもしれません。この問いは、各自で考えてみてください。こうだと思う人は、教えにきてください。
また女工の手紙ですが、一〇九ページの上、六行目と七行目の女工の複雑な心境の変化を注意しながら読むと、女工が、どんな気持ちで手紙を書いているのかがよくわかると思います。それでは、最後の問いにはいります。一一〇ページの「あなたも御用心なさいませ。」は、何を用心するのでしょう。
○○さん、何だと思いますか。――ここでは、残された者のつらさは、女工がよく知っているので、そういう意味も含めて、仕事をしながらの事故死などには、気を付けてください、という意味なのでしょう。次は与三の様子、また、女工の手紙の内容を、深く読んでみたいと思います。今日は、これで終わります。
挨拶 起立 礼
★ 指導内容確認 ★
・ 指導予定の内容をどの程度理解させられたか。 優・良・可・不可
・ 板書は正確で見やすかったか。 優・良・可・不可
・ 時間配分は適正であったか。 優・良・可・不可
・ 発問と解答はかみあっていたか。 優・良・可・不可
・ 説明は聞き取りやすかったか。 優・良・可・不可
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