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『源氏物語』の植物について

織田実希子

私達は、源氏物語の植物について調べました。まず初めにレジュメの1、2ページを見てください。そこには源氏物語中に出てくる植物の一覧表を載せてあります。次に3ページ目を開いてください。西洋の色は原料が鉱物ですが、日本の色はその原料が植物によるものが多いです。植物は染色から観念的表現に至る示標となっていて、その利用は、儀礼、食用、薬用、染色など生命力、呪力の作用を期待するものから、鑑賞、色相へと美的なものにまで移行していきます。二条院に植えられていた植物(紅梅、常夏、桜、朝顔、蓮、荻、山吹、藤、花橘)はどれもが光源氏の心象と共に出てきた植物で、例えば蓮の場合ですが、若菜下の二条院における源氏と紫の上の対話場面で自然状態の蓮、蓮と露、極楽浄土と蓮との関連が皆述べられています。また、物語中に登場する庭園の様子は女性の身分を表わしています。例えば、六条御息所は庭園の様によって高貴な女らしさが語られています。(例文)「木立、前栽など、なべての所に似ず、いとのどかに、心にくく住みなし給へり。」(夕顔128)しかし、夕顔の庭園はそれとは対照的に書かれていて、朝顔(御息所の庭に咲いている)と違い夕顔は「あやしき垣根」に咲く花でありその夕顔の宿は貧しく、「ほどなき庭」でしかありませんでした。それではこれから女性を具体的に例えている花をいくつか紹介していきます。初めに玉鬘についてです。玉鬘は主に山吹、撫子に例えられてます。ヤマブキは、山間の谷川沿いの湿った所に多く又、広く人間に栽培されます。落葉低木で幹は直立して束生、高さ2m位になります。茎の中心に柔らかな白色の髄があり、枝は細く、ジグザグに折れ曲がって緑色、葉は互生、葉質は薄く、表面は鮮緑色となっています。例文は読んでおいてください。ナデシコは古くから秋の七草の1つとして知られていて茎は数本束になり、直立して緑色、隆起した節があって、高さは普通50cm内外です。葉は対生、線形或いは線状波針形で、相対する葉と短く連合して節を抱き、全緑で緑色、或いは粉緑色です。夏から秋にかけ優美で雅味のある淡紅色の花が咲きます。例文は読んでおいてください。作者は玉鬘のイメージに初めは撫子を用い、成長して艶麗の佳人となったころから山吹を用いています。次に空蝉です。空蝉はなよ竹に例えられています。タケは主にアジアに産し、わが国では凡そ12属150種あります。野生がある他、栽培もされます。葉は狭長、偏平で短柄、間接があります。弱竹はナユタケ、メダケともいわれます。細くてしなやかな竹、柔らかい竹、若竹で色を変えないめでたいものとして歌に詠まれたましたが、後世は憂いの歌に詠まれるようになりました。例文は読んでおいてください。空蝉の一見柔和だが芯が1本通っていて自分を見失わない所が弱竹に例えられたのでしょう。次に朝顔の斎院です。朝顔の斎院は朝顔に例えられています。アサガオはアジア原産の1年草で左巻きに他物にまつわります。葉は長い柄があって、互生、普通は3裂します。夏葉腋に大形の美しい花を開きます。早朝に咲き、午前中に萎むので朝顔の名がつきました。古典における「あさがほ」は、その全てが現代のアサガオとはいいきれません。多くは書き現された生態によって今日のアサガオであると考えられますが、1部夕顔の巻における「朝顔」のみは、「あさがほ」という古名のキキョウであると考えられます。例文の「朝顔の花のさかりはすぎやしぬらん」という部分と朝顔の花の状態を源氏は朝顔の姫宮に擬します。

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