1回立山登山マラニック参加記  1998.9.5

海抜0mから遥か彼方に見える3.003m立山山頂をウルトラランナー達がひたすら目指した。
趣旨
立山...古くはタチヤマと呼ばれ「万葉集」にその岩と雪の壮観を讃えられた。神の山と遥拝されつつ、仏教的に開かれたのは平安初期と推定され、今もいくつもの開山伝説が語り継がれている。現在では日本三霊山の一つとして広く富山県民のシンボルであり心の支えとなっている。古来、越中男子は立山登山をして初めて成人の資格を与えられた。このマラニックは常願寺川沿いに源流を探るべく、海抜0mから称名滝を眼下に八郎坂を経て立山頂上(雄山3003m)に至る道程を自らの体力と気力で踏破するものである。
コース概要
浜黒崎キャンプ場スタート〜常願寺川左岸堤防〜称名滝〜八郎坂〜弘法〜弥陀ヶ原〜室堂〜立山山頂ゴール(制限時間12時間)




左から大分(川野)福岡(田中、松崎)
去る95日に海抜0mから3003m山頂に駆け登る壮大なパノラマコースを走る第1回立山登山マラニックが富山で開催された。
福岡からは数名がエントリーしていたが、最終的には川野(大分)、田中(福岡)、そして私、松崎(福岡)3人が九州からのエントリーとなった。94日昼福岡空港に合流。1時間20分の短いフライトを楽しんだ後、富山空港に到着。出口には福井の木下氏が出迎えに来ていてくれた。
福井から約
200キロ車で飛ばしてきてくれたそうだ。
本当に有り難いことだ。木下氏とはインターネットがきっかけで知り合った福井のランナーである。福岡に出張の際には田中さんの店『あら津』でたまに酒を酌み交わす間柄で、私と同じ歳でランニング談議で花を咲かせることも多々ある。
受付けまで時間があったので、コースの下見をすることになった。常願寺川堤防から称名滝まで43キロ。標高1、000mを車で行ったが途中かなりの急坂の為アクセル全開の状態で、3人共顔が引きつっていた。下見するのも良し悪しで、明日のレースが思いやられる。木下氏と富山のユースで別れた後、受付けを済ませた。既に何十人もの選手が来ており熱気が漂っていた。そんな中で、事務局の松原さんや神田さんの笑顔での出迎えが印象的だった。
田中さんは女性ばかりの畳の部屋、私と川野さんは2段ベットで寝台列車を思わせる狭い部屋に案内された。そこで各々明日のエイドに置く補給食や着替えの準備等で時間があっと言う間に過ぎていった。夕食もそこそこに済ませ明日の為に就寝。うつらうつらする中、午前2時に起床し、軽く食事をした後スタート地点の浜黒崎の海岸へ集合。主催者側がら「この海が海抜0mです。海水に手を触れて感触を確かめて下さい。」と、言われた。海水に触れた後、午前4時エイエイオーの掛声でいよいよ感動のゴール目指してスタートした。
 選手55名。その中には雑誌に出ている有名なウルトラランナーも何人かいる。萩往還250キロの優勝者やサロマの女子優勝者等そうそうたるメンバーの中で、少々場違いのとこへ来てしまったと後悔した。私自身、出場資格の条件としての登山経験は恥ずかしながら宝満山しか知らない。このようなど素人に、出場のチャンスを与えてくれた主催者に感謝しながら暗闇の堤防沿いを走った。最初の20キロは砂利道で足腰に大きなダメージを残していった。
大川寺エイド(20キロ地点*6時6分到着)しばらくの間は大分の川野さんと田中さんと数人のグループで走る。立山駅エイド(36キロ地点*7時58分到着)この頃になると気温も上昇し、かなりの暑さで、脱水症が心配だ。充分に水分を補給した後、バナナ一切れを口に入れ称名滝エイドを目指した。
アイスキャンデイを口にほうばったり、道に湧き出る冷たい山水を飲んだり、浴びたりと気を紛らわせながらどうにか称名滝エイド(43キロ*9時28分到着)に着く。予定より1時間半の遅れ。日陰で大の字になって休む。
少しは体力が回復したみたい。称名滝レストハウスにソフトクリームがあったので食べた。一般道を少し走った後、八郎坂の登山道に入り早足で登った。宝満でかなり追い込んだ練習をしていたのであまり苦にはならず走れた。後続の選手とはみるみるうちに、差が開いていった。
八郎坂を気力で登り切り(49キロ地点)アルペンルートの弘法(標高1680m)に出る。そこから室堂まで果てしない登りが続く。
その後神奈川の鈴木さんと抜きつ抜かれつで、室堂エイド(60キロ地点*12時50分*標高2400m)に関門1時間10分前に到着メディカルチェックを受け美味しいおかゆをいただき目指すは3003m立山の雄山である。一気に600mを登れば夢にまで見た山頂ゴール。はやる気持ちを押さえてマイペースでよじ登る。

3003m目指してよじ登る 神奈川の鈴木邦さんと田中さんと私


途中一般登山者からの大声援がうれしかった。噂には聞いていた物凄い登りを1時間ほどかけてよじ登りついに感動のゴール。途中の辛かったこと、苦しかったこと等すべて忘れて満足で一杯になった。
地元のボランティアの方々やスタッフの皆さんの暖かい心使いや、立山の雄大さを、体験させて頂いたことに深く感謝したい。そして人間は一人では決して生きていけない。生かせてもらってるんだとゆう謙虚な気持ちにさせられたことが、大きな収穫だった。また、私のランニングライフに新たな1ページが広がった。

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