#16 西武線
レンは小金井のほうで焼かれて
風は北に吹いていたから
ちょうど煙はこのあたりを通っているはず。
レンの身体は焼かれて、粒子になって
煙といっしょに空に舞い上がった。
西武線のくすんだ黄色い電車が
初夏の、気だるい空気のなか
鮮やかな緑の土手を走っていく。
今、僕が呼吸している空気にも
レンは含まれているだろうか。
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