#11 5年前の僕。赤城山。

レンのからだを焼いた日。
とても風のつよい日で
煙は、指のあいだをすりぬけ、
真っ青に広がった空を、すごい勢いで北西に飛んでいった。
僕らの住むこの街を越えて
ずうっと遠く。遠くへ。
ああ。
あの方向は赤城山のあるところだ。
僕が15のあの日に過ごした。
冬には、空っ風にてっぺんが白く、
黄色く枯れた野原に、どこまでも続く大地。
赤城山。いつも冬の風景が浮かぶ。
眼にゴミが入って、ゴシゴシこする。
そうか。僕は。



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