厚生省からのアンケート

今年の9月。「子育て支援策の効果に関する研究会」なるところから、「女性の就労と子育てに関する調査」なるアンケートを受け取った。 同封されていた紙によればこの研究会は、国立社会保障・人口問題研究所のものである。 ここは、出生率の推計や分析をやっている厚生省の研究所である。 出生率引き上げ策の議論に使うか、それとも保育料均一化のための資料について使うのか不明であるが、 とりあえずこのページのネタにさせてもらうことにする。 アンケートは22項目からなっている。太字部分がアンケートの質問で、そうでない部分が秋山の感想・ツッコミ・解説である。


  1. 未就学児の平日のメインの保育方法。保育所等を利用している場合は、子供の病気の時の保育方法。幼稚園を利用している場合は、幼稚園を選択した理由。

    なぜ平日だけ? 看護婦・美容師・販売員など、土日に保育で困っている人もいるだろうに。

  2. 利用している保育の種類と、保育時間と保育料を子供毎に記入。複数の保育手段を利用している場合はそれぞれについて記入。それぞれの子供について、メインの保育施設までの通園時間を記入。

    二重保育にまで保育料と保育時間を具体的に書かせている点は、保育ニーズを掴む試みであろう。

  3. 保育園に対する要望を選択。複数選択可。選択肢は、受入枠増加、延長保育、入所時期の柔軟化、保育料軽減、病児保育、一時保育、入所審査の明確化、入所通知を早く、保育内容の情報公開、その他。

    全部じゃ〜。

  4. 適当だと思う保育料の相場(年齢毎)。参考として保育単価が示されている。

    利用者もコスト意識は持てってことかな。

  5. 保育料に関して以下の点について、公平か不公平かどちらでもないか述べよ。
    (ア)応能負担
    (イ)納税額による保育料階層分類
    (ウ)自治体による保育料の違い
    (エ)幼稚園や無認可保育園より認可保育園に、多額の補助金が交付されていること
    (オ)自宅保育の子には補助がないのに、認可保育園には多額の補助金が交付されていること

    来た来た〜って感じである。(^^)

    (ア)と(イ)の境目は微妙である。しばしば、「○○さんは豪邸に住んでベンツに乗っているのに、 サラリーマン夫婦の世帯より保育料が安い。脱税しているんじゃないの」てなことが言われる。
    # 脱税していると思ったら税務署に密告しましょう。

    (ウ)は違って当たり前だとわたしは思うんですが、、、 自治体の懐具合なんて、自治体によってすごく違うわけだし。 今世紀中の財政破綻がささやかれる東京都で、こんなに高い保育コストととても安い保育料が両立しているのは理解に苦しむけど。 美濃部都政の負の遺産とでも言うべきであろうか。

    (エ)は実際の額を知らない人にはピンと来ないでしょう。まあ保育単価が書いてあれば想像がつくか。 でも、実際の保育コストって自治体によっては、保育単価よりべらぼうに高いからねえ。 東京都の零歳児50万円とか。

    (オ)は日経連の少子化対策だったかにあった話だったような。 共働きも専業主婦世帯も、乳幼児全員に保育バウチャーを配れ、ってな話である。 しかし現状の保育予算からしてこれをやると、大してバウチャーを貰っても保育のタシになるような金額は貰えないから無意味だぞ。

  6. 育児をどのように感じているか/感じていないか。
    育児が楽しい
    育児で自分も成長している
    育児に自信がない
    行動の自由の制約
    イライラする
    育児不安

  7. 夫がいれば、夫の育児協力度について。項目は、身の回りの世話、遊び相手、しつけの3つ。

    おいしい部分とおいしくない部分にわけて聞いています。 夫は家事はせんのか〜。ところで、この項目と子ども数のクロス集計は見たいと思います。

  8. 子どもの塾や習い事にかかる費用を子供ごとに。

    未就学児の子育て費用について。これが高いようなら、少々育児手当が出ても、出生率向上には結びつかないでしょう。

  9. 現在兼業主婦の場合、現在の就労状況(自営、経営者、正社員、短時間勤務中正社員、パート/派遣、育休/産休中、内職、その他)。 職種、会社規模、業種、所定内労働時間、残業時間、帰宅時間、通勤時間、経験年数、年収(パートなら時給も)、職場の育児支援策の存在、 職場の働く母親に対する雰囲気、これ以上保育料が高かったら退職する保育料のラインの収入比(なぜか産まない保育料のラインはない)

  10. 専業主婦の場合、就労しない理由(保育所不足、健康上、家の仕事に専念したい、お金が足りている、労働条件(賃金、職種)が合わない、労働条件(場所、時間)が合わない、その他)、就労希望の有無、就労を諦める保育料のラインの収入比、希望する就労形態および時期

  11. 家族数と未就学児の数

    じじばばがいた方が、こどもは多いかもしれない。

  12. 家族全員の年齢と職業

  13. 希望子供数と予定子供数

    ギャップがある場合の理由は聞いてくれないのね。

  14. 妻の健康状態

  15. 妻の最終学歴

    この項目と子ども数のクロス集計は見ていたい。相関は薄いとみた。

  16. 妻の初婚時の結婚年齢

    この項目と子ども数のクロス集計は見ていたい。相関は薄いとみた。

  17. 夫の最終学歴

    この項目と、育児協力度のクロス集計は見てみたい。

  18. 夫の就労状況(選択肢は妻のと同じ)、職種、会社規模、業種、出勤時刻、帰宅時刻、通勤時間、年収

    ところで、保育園の送迎を誰がやっているかという項目がどこにもないのはなぜじゃ。

  19. 住居の種類(ローンあり持ち家、ローンなし持ち家、親族の持ち家、民間賃貸、公営賃貸、社宅、その他)

    住居費の目安かなあ。それともローンがある方がせっぱつまっていそうとか、、、

  20. 世帯年収

    年収が高い方が、保育料が少々高くても許容できるだろうから、それで書かせるんだろうなあ。

  21. 金融資産の額

    金融資産を保有している方が、保育料が少々高くても許容できるだろうから、それで書かせるのだろう。 我が家の場合、円高と株安で著しく目減りしたなあ(ぼそ)。


しかしこのアンケートは、どの項目とどの項目をクロス集計をどう取るかが重要だ。 逆に、個々の項目を何パーセントとか平均いくらとか集計しても、ほとんど意味はないであろう。 例えば、「0歳児の保育料の妥当な料金は、平均月○万円」とか出た所で、 時給700円の人と月給30万円の女性では、 ぜんぜん違った額が出てくるに違いない。

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