投資のあれこれ


目次 おたより

ランダムウォーク理論の話

ランダムウォーク理論とは、市場は十分に効率的であり、 既知の情報はすべて株価に織り込まれている、というものです。 つまり、大幅増益・減益、新製品の開発、合併などと言った材料で株を売買しても、 儲けることはできません。 分散投資とbuy and hold戦略が、唯一の株で儲ける方法です。

また、あらゆるテクニカル指標をシミュレーションした結果、 手数料を払った上で儲ける必殺技はありませんでした。 三尊天井、持ち合い、と言ったチャート読解技法も否定されます。 翌日の株価がランダムに上下するような株価チャートをシミュレーションで 作成しても、三尊天井などのシグナルが現れます。 ただし、坂田罫線や一目均衡表と言った、日本生まれの技法が検証済みかどうかは 知りません。

ところで日本には、 特殊なテクニカル手法を使う人々 がいます。 彼らの方法とはこうです。巨大な方眼紙に、手でグラフを書く。最低でも5年、できれば 20年分のグラフを書く。 値動きには銘柄ごとの癖とリズムがあると、彼らは説きます。 だから、専門の銘柄を決めて、それ専門に売買すべきであると。 この方法ばかりは、シミュレーションで検証不可能でしょう。
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わたしは総会屋を見た

1997年6月27日、マツダの株式総会に参加したわたしは、小川薫という 総会屋を見ました。 株主質問の二人目に、頭頂部が禿げた男性が立ちました。 後ろからだったので、顔は全然見えませんでした。

よく通る声で、情報量のないことを一時間以上も延々としゃべりまくる。 あげくの果てに、超下手な英語でやたらもったいぶって、 「五年連続減収とは何事か」と言う。 議長の和田会長やウォレス社長は、 見ていたこちらの方が驚くほど きちんと対応していました。

議長に「発言は簡潔に願います」と言われても、 「じゃあなんだい、貸借対照表のここがこうだい、とかやれっていうのかい、 そんなことやってもつまらないだろう、それよりは学閥やら派閥の話の 方がよっぽど面白くてみんな聞きたいよ、そもそも和田さんマツダに 骨うめる気あるのかよ」とかわけのわからんことを言って切りかえす。 いや、わたしは今年償還の転換社債の償還資金の方がよっぽど 気になったんですが、、、

後で人に教えてもらってわかったのですが、小川薫は有名な総会屋で、 テレビや週刊誌にもだいぶ出ていたようです。出身地が広島で、 被爆もしたとか。「なぜ広島県安芸郡府中町なんかにあるマツダに来たんだろう」 「なんで、中電(中国電力)、広銀(広島銀行)と言った、ローカルな略語が すらすら出て来るんだろう」という疑問はこれで解けました。
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金融機関のディスクロージャー

六月中旬のこと。広島銀行光町支店にて。
秋山「ディスクロージャー誌ください」
行員「株主総会が終ってからの発行になります」

七月上旬のこと。広島銀行光町支店にて。
秋山「ディスクロージャー誌ください」
行員「まだ出来ていません。」

八月下旬のこと広島銀行曙支店にて。
秋山「ディスクロージャー誌ください」
行員「それなんですか」
秋山「銀行の財務内容とかを預金者向けに説明した資料です」
行員が、たったったと店の奥に走って持って来たものは、 株主向け配布資料であった。一言違うと言うと今度は、 「ディスクロージャー誌の読み方」なる資料を持って来た。 また違うと言うと、昨年度版のディスクロージャー誌を持って来た。
秋山「なんでまだ出来ていないんですか、 株主総会から二ヶ月も経っているんですよ」
行員「秋にならないと出ません」

かくて9月になってやっと、新しいディスクロージャー誌を手に入れることができた。 感想。

  • 貸出の、昨年で5%、今年で3%が不良債権とは、サラ金よりひどくないか。
  • Tier2のうち、株式含みが激減している。これは、相場環境のせいだけ だろうか。無理な益出しはやっていないのか。
  • 今年のディスクロージャー誌には、破綻先債権と延滞債権と金利減免 債権が書いてあるが、 昨年のディスクロージャー誌には、破綻先債権しか書いていない。 そして、この一年で金利減免債権はかなり償却したのだが、 残り二つは償却が進んでいない。 不良債権を少なく見せるためだろうか。 やり方がせこいぞ。
  • 貸倒引当金の倍以上不良債権があるというのはヤバヤバではなかろうか。

    だんなの銀行口座がある住友銀行と、両親が大量に預けている三菱信託銀行の ディスクロージャー誌も貰ってきたが、こちらはまだちゃんと読んでいない。 だんなの生命保険をかけている住友生命の財務内容も気になるが、 こちらはソルベンシーマージンすら公にはされていない。 推定値が雑誌には載っているだけだ。 バブルのてっぺんで結んだ予定料率が高い契約なので、解約するのは惜しいが、 だんなには、「チルメル方式になったら解約してね」と言ってある。 本当は五年チルメル方式なら問題はないはずだが、 五年か十年かなんて、表沙汰にならないからだ。

    金融機関の財務内容を公開しない、 護送船団方式を、大蔵省は いいかげんにやめてほしいものです。 「日本の金融機関はなんかどれもやばそう」と、揃って見限って 郵貯シフトが起きています。そして財政投融資が更に膨れ上がる。 問題は郵政民営化なんかじゃありません。
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    金融ビッグバンに願うこと

    日本の証券市場の問題点は、ピーター・リンチが「株式投資の法則」 (ダイヤモンド社刊)の89-95ページに書いてあるので、まず読みましょう。

    上場・公開企業

    金融ビッグバンでいちばん頑張って欲しいのは、上場・公開企業です。 30年連続無配の太平洋海運あたりは論外としても、 「ずっと5円の配当さえ続けていればいい」とばかり、 配当分(最近はこれもアヤシイ)ぎりぎりしか稼がない会社が多すぎます。 もっときっちり稼いで、それなりに株主へも還元していただきたい。

    カバが昼寝をしている競馬場、ゴミばかり並んでいるデパート、 子供がキャッチボールしているスタジアムになんか、 誰が行くものですか。 しかし日本の株式市場の状況は、それにかなり近いものがあります。

    証券会社

    フェアなこと。これにつきます。

    行政

    一つ目。 株式市場をいじろうと思わないこと。 いわゆるPKO(またはPLO)なんて、即刻中止すること。 97年10月14日終値ベースで、日経225の平均予想PERは61.20倍、日経平均株価17306.39円。 yield spreadだと株は割安かもしれないけど、 PERからすると日経平均6000円っつーところが、日本株の実力じゃなかろうかと。

    二つ目。SEC(証券取引委員会)の機能強化。 仕手株がぶんぶん飛び回るような株式市場なんて、 日本の恥です。 しかしなんで、仕手株ってこりないんでしょうね。 正常な株式投資と違ってゼロサムゲームなのになあ。 おっと、株をプラスサムのゲームと思っていない人が 多いのでした。 マネーロンダリングに使われているという噂もあります。
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    日本の投資信託会社へのお願い

    インデックス投信の手数料をもっともっと下げて下さい。 日本の株式市場に投資するインデックスファンド(日経225,NRI400等)は、 販売手数料も運用管理手数料も2%前後もします。 アクティブ運用型の株式投信とほとんど変わりません。 これでは、何のためのインデックスファンドでしょうか。 S&P500指数に連動するヴァンガード・インデックス・ファンドは、販売手数料なし、 運用管理手数料0.3%です。 こうでなくっちゃ。
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    こんな投資信託を探しています

    MSCI world indexに連動する、インデックス投信を探しています。 ドル建てで構いません。 ただし海外送金する根性はありませんので、海外の証券会社でしか 買えないのならあきらめます。 MSCI world indexがベンチマークとなっている投信 (例:LGTグローバルインベストメント)ではありません。
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    株式暴落報道を見ていて思うこと

    今週、香港を引き金に世界中で株が暴落している。 NYダウの平均PERが23倍と、過去の平均(16倍)に比べてやや割高だし、 まあ健全な調整現象だなと思ってみている。 冬のボーナスでは、外国の株式に投資するタイプの株式投信を買うつもりだ。 割安で買えるいいチャンスだと思う。

    報道を見ていると案の定、株は危ないだの投機家悪玉論が飛び交っている。 マレーシアのマハディール首相のヘッジファンドをののしる発言が、 どれほど投資家のマレーシア市場の信頼を失なわせ、KLSE指数の下落につながったことか。 つまり、マレーシアにぜんぜん日本のマスコミは学んでいないのだ。

    投機家が狙うのは、ファンダメンタルズと株価や通貨価値が、 大きく乖離している市場だ。 大きく膨らみすぎた風船が、自爆するか、それとも針でつついたから爆発したか、 というだけの違いである。 問題は、風船が大きく膨らみすぎたことであって、針でつついたことではない。

    投機は市場には是非とも必要なことだ。 例えば、日本の為替市場では、貿易など実需に基づく取り引きは、僅か5%だ。 95%は投機による売買である。 投機がなかったら、売買が少なくなって取り引きが成立しにくくなる。 だから、先物だのオプションだの貸株市場だのと、 投機の手だてをいっぱい準備するのだ。 それは、実際の需要に基づく取り引きを行なう場合にも、 リスクヘッジとして使用することもできる。

    大蔵省には、デリバティブを刑法の賭博罪で禁止しようとした時期があったらしい。 そういうどあほな国には、相応のどあほなマスコミがふさわしいということなのだろうか。
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    投資信託の説明能力

    投資家初心者の秋山であるが、証券会社の投資信託の説明能力は極めて低いと言わざるをえない。 投資信託業界は、金融ビッグバンで1200兆円の個人資産が投信に、 とかいうムシのいいことを考えているようだが、 販売側の商品知識が乏しくてはとてもそんなことは無理であろう。 外資系証券会社・銀行・保険業界の新規参入によるレベルアップを強く望む。 以下は、わたしの経験した実例である。

    野村證券編

    96年の夏頃、野村證券広島支店に、
    「マーキュリーゴールドメタルオープンへの投資を考えているのだが、 為替ヘッジありのAコースと、ヘッジなしのBコースのどちらがいいか考えている。 ついてはヘッジコストがどのくらいか知りたいのが、 主要投資対象である南アフリカの金利がどの程度か知りたいので教えてくれ」
    と質問をしたことがある。 担当者の女性は男性を呼んできた。
    野村「ヘッジは米ドルヘッジだと思いますよ。 ニューヨーク証券取引所に上場されているような金鉱株が対象じゃないですか。」
    秋山「でも、受益証券説明書には、ヨハネスブルグかシドニー株式市場が休場の日には、 申し込みができないって書いてあるんですよ」
    野村「うーん、でもヘッジは米ドルヘッジだと思いますよ」

    ヘッジなしのBコースを申し込んでしばらくして、運用報告書が送られてきた。 どうも南アフリカの株の分は、ランドヘッジだったようだった。

    大和證券編

    97年末、冬のボーナスをどうしようかと、証券会社の並ぶ八丁堀・紙屋町界隈をうろうろしていて、 大和證券広島支店に入った。 店内の白板に書いてある「おすすめ銘柄・投信」なるリストの中に、「MSCI」と書いているではないか。 これはずっと探していた投信であろうか。

    窓口の女性に聞いたら、チラシを一枚渡してくれた。 正式名称は「MSCIインデックス・セレクト・ファンド」だそうだ。 チラシには、「コクサイ・ポートフォリオ」というファンド名が記載されていた。
    秋山「あのー、この『コクサイ』っていうのはなんでしょうか? 国債? 国際? 実はMSCIワールド指数のインデックス投信があればいいなと思っていたのですが、 これはそれですか?」
    窓口嬢は、奥から「ファイナンシャルプランナー」の肩書きを名刺に持つ男性を連れてきた。
    大和「ええ、これがそうです」
    秋山「あのー、ワールド指数にしては21ヶ国というのは少なすぎるのでは? MSCIエマージング指数に入っているようなチリとかアルゼンチンとか南アフリカは入っていないのでは?」
    大和「ええ、まともな株式市場があるのは21くらいですよね。」
    秋山「だからなんでワールド指数なのにエマージング諸国が入らないのかと聞いているんです」
    後で再び大和證券を訪れると、内部資料のコピーをくれた。 それにはちゃんと「コクサイポートフォリオ」の説明が書いてあって、 「MSCI先進国指数(22ヶ国)から日本を除いたもの」を「コクサイ指数」と称しているとのことだった。
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