大講堂
Kodo Hall

西岡棟梁の設計。97年秋に訪れたときには大講堂は建設準備中で、まだ形もなかった。ご本尊が修復を終え、講堂仮堂で特別公開されていた。友人と共に三尊像を拝観した。旧国宝の本尊薬師如来、日光、月光菩薩像だが、失礼ながら素人の私が見ても金堂の三尊像と比べると緊張感を欠き、美しさの点では劣ると思われた。修理は数ヶ所に及んだが、ポイントは日光菩薩の頭部で、1819年(文政2年)の地震で落下した際に修復したものを再び天平の容貌に戻したことだ。近世の抹香臭さが抜けて、品位が戻っていた。その三尊をこの新しい大講堂で見るのは初めてだ。良いお家ができて良かったですね、と声をかけたくなった。2003年の再建を機に三尊のお名前は本来の弥勒三尊と改められた。脇侍は法苑林菩薩、大妙相菩薩。本尊の名も伽藍の姿も、本来あるべき形に戻そうとする薬師寺の強い意思を感じる。      次へ