室生寺 五重塔全景
The five-soried pagoda of Muroo-ji Temple

修復後の五重塔。杉木立に映えて美しい。99年9月12日の読売新聞「編集手帳」に修理中の塔の様子が書かれていた。「『女人』が松葉づえ姿でけなげに治療に耐えている、そんな風情だった。」で始まる文章はジャッキで持ち上げながら解体修理をする松葉づえ方式を紹介しながら塔の強さにも触れていた。「スリムさは見かけ通りだったが、見かけと違ったのはシンの強さだ。あんな大木に寄り掛かられても、本体は寸分も傾かなかった。」「五層では人が立っていられないほど揺れるという柔構造が、瞬間的に倒木をはねのけ、創建時からの肝心な部分を守った。」「化粧し直した『女人高野』が杉木立にどう映るか。快癒を楽しみに待とう。」
塔を壊した大木が立っていた近くから撮影した。その大木の根は二本のつっかい棒で支えられていた。近寄って手で触れてみた。杉は塔を壊したが、台風によって命を奪われた。風の直撃から塔を守ったのだ、と思いたい。   次へ