松明の竹
Bamboos used for torches

本堂の脇に根付の太い真竹が数本置いてあり、「奉納二月堂」などと墨書されている。東大寺二月堂のお水取りの松明に使う竹で、京田辺市では山城松明講の方々が掘り採って、観音寺から東大寺まで運ぶ。これを「竹送り」と呼ぶそうだ。
現在は真言宗の寺になっているが、創建時の第一世は東大寺の良弁の弟子で、お水取り行を始めた実忠だとうかがえば、腑に落ちる。二月堂の本尊も十一面観音だ。
十一面観音が安置されたのは天平16年(744年)、広嗣の乱の後、都が恭仁京、難波京を転々とした頃だ。橘諸兄が覇権を握った時期でもあり、木津川の対岸は彼の本拠地だ。
寺には往時を偲ぶものは何物も残っていないが、観音様のつながりは宗派を超えて残っている。   戻る