尊氏を支えたもう一人が執事の高師直だ。直義が朝廷や公家に配慮したのに対して、彼は新興武士寄りの改革派だったようだ。 太平記ではバサラ者として扱われている。師直は塩治高貞の妻に恋慕して、吉田兼好にラブレターの代筆を頼んで渡したが、塩谷の妻はそれを見もせずに庭に捨てたと書かれている。太平記は師直と吉田兼好の死後に書かれたので、話の真偽のほどはわからない。ただ、師直は優れた歌人で能書家でもあったから、兼好さんに頼むだろうか。この話はあまり信用できない気がする。 次へ