元老院広場
Senate Square

元老院広場には朝市が出ていた。手作りのパンやジャムが多い。名前はわからないが美味しい果実酒を作れそうな赤い木の実があったが、持ち帰れそうにないので諦めて、冷やかして歩く。大きなジャムが4、5百円。迷ったが見るだけにした。広場の中央にはロシア皇帝アレクサンダー2世の像が建っている。ロシア革命のときに独立した国の中心にロシア皇帝像があるということに驚いた。自民族の前為政者の像さえも引き倒すのが通例のこの世で、これはどういうことだろうかと、しばらく考えた。そしてこの出張で半ば気づいていた、フィンランド人の寛容さと精神の強さに思い至って、半ば腑に落ちた。街の向うにはバルト海が広がり、港に停泊した客船の船橋がのぞいている。