伊美・権現崎
Gongen Cape of Imi

万葉集巻十五の前半は遣新羅使の羇旅の歌145首から成り、「新羅に遣はさるる使人等、別れを悲しびて贈答し、また海路ましめて思ひを陳べ、并せて所に当たりて誦ふ古歌」という題詞がつけられている。
伊美の権現崎に歌碑がある。

「海原の沖へに燈しいざる火は明かして燈せ大和島見む」

「佐婆の海中にして忽ちに逆風に遭ひ、漲へる波に漂流す。経宿(ひとよへ)て後に、幸いに順風を得、豊前国下毛郡の分間(わくま)の浦に到着す。ここに艱難を追ひて怛み、悽惆して作る歌八首」の一つだ。八首のなかでもこの場所にはこの歌が最もふさわしい。歌碑のはるか後方に佐婆、現在の防府の海と山影が見える。