両子寺 奥の院
The Main Hall of Futago-ji Temple

仁聞菩薩が一夏九旬の修行を行ったといわれる場所に建てられた。六所権現社であり、千手千眼観音、両子大権現、宇佐八幡の神と仁聞菩薩を祀っている。両子寺はその創建の位置づけは六郷満山の修業の寺である「中山本寺」だが、江戸時代には総持院になり、以降六郷満山の筆頭寺院となった。寺の名前は仁聞菩薩の修業の際に千手観音の化身としてあらわれた天童天女の二児に由来する。転じて子授けの寺とされた。旧暦二月の初午は申し子祈願の大祭であり、江戸期以前は祭日の前夜は子宝に恵まれない男女が客殿に参籠して「宵祭」が行われたとのことだ。この夜に懐妊すれば、それは神仏から授かったものとなった。いずれにせよ、この地には切実な願いをこめて参拝した人々の思いが今でも漂っている。以上のことは、ここを訪れた高校生の頃には気がつかなかった。年をとるのも悪くはない。