渡岸寺観音堂
Main Hall of Dougan-ji Temple

本堂の裏にまわる。屋根の線がきれいに見える。本堂は名古屋高等工業学校の土屋純一教授の設計によるもので、屋根のゆるやかな傾斜と軒の深さが平安時代建築の美しさをみごとに再現している。
右が慈雲閣で、ここに十一面観世音菩薩像と大日如来像が遷座されている。十一面観音を拝観して、浅井、織田の戦争の際に村人がこの像を土中に埋めて戦火から守ったという理由が分った。私でもそうするだろう。こんな美しいものを失いたくないからだ。この像は大衆一般に語りかけてはいない。直接に個人に語りかけている。変幻自在の観世音菩薩たる由縁だろう。
像は背後からも拝観できるが、肩から背中の線が特に綺麗だ。右腕のブレスレット(臂釧)には金箔が残っている。保存協賛会の方の説明を聴きながら、この像がいかに大切にされているかがわかる。「仏像の美しさなどというものはない。美しい仏像があるだけだ。」とでも言おうか。