中尊寺 大長寿院
Daichoju-in Hall of Chuson-ji Temple

岩手県は広い。案内していただいたSさんによると、四国一島に近い大きさだとのこと。もちろん四国の方が大きいが、いわゆる「南部」が青森の八戸、宮城の北部を含んでいたとすれば、あながち誇大な表現ではない。
むしろ、この県の人は実力以上の自己主張を嫌うところがある。
「かれらは痛々しいほどに善良な巨人であり、虎を打ち殺すほどの膂力をもっているくせに自分がそれほどの力をもっていようとは自覚せず、本土の権力に対してはいわれもない宗教的畏怖感と神聖感を感じており、かれらのもつ政治的想像力は白河の関を一歩も出ず、この関の内側まで本土の権力が入りこんで来ぬかぎり、それ以上の夢をみようとしない。」(司馬遼太郎「歴史の中の日本」まぼろしの古都、平泉)Sさんにもそんな気配がある。歴史的風土というべきだろうか。  次へ