草 枕 2006
Wandering in 2006
故郷にて
松林図屏風
司馬さんの家
思い出の量
3月
展望の山旅
ささやかな解放感
「ローマ人の物語」
二つの世界
関節炎
帰省
4月29日、車窓から南小倉のなだらかな山並みが見える。山も空と同じ薄い灰色で、午後一時を過ぎた昼のさ中なのに風景は夕方のように暗い。
電車を降りたら時雨えてきた。バスに乗ると、乗客は私も含めて2人だけ。運転手ともう一人のお客さんとの会話から、二人とも年金受給者であることが知れた。二人の話が米軍の移転費の負担から市町村合併の是非に及んだ頃に、真玉の海岸に差しかかった。貝掘りの人が広い干潟いっぱいに散らばっている。鍬を持っている人はマテ貝を採っているのだろう。いつの間にか薄日が射して、瀬戸内海は波もなく広がっている。
夕方実家着。K氏と会う。
4月30日、好天。鶯が啼き、庭先を熊蜂が羽音高く飛んでいる。ツバメが巣がけの偵察にきて、数回玄関から中に入ろうとしたが、あきらめてどこかへ行った。ツバメに選ばれるのは光栄ではある。防災放送で赤根の山林火災の知らせがあり、消防車がサイレンを鳴らして南へ急行した。ほどなく鎮火のアナウンスあり。
S君来訪、母と3人でしばらく歓談。
午後になって風が強くなった。
5月1日、暑い。東山の墓掃除をする。10日ほど前の黄砂を運んだ強風の影響か、砂塵と落葉が多い。掃き集めた枝葉を焼こうかと思ったが、昨日の風が少し残っていたので中止。帰りにご近所のゲートボールを観戦。舌戦も交え、にぎやかだ。
5月2日、午前中は家の中の高い場所の掃除をする。天井灯のカバーを取り外して洗い、額縁や掛時計も拭き清めるとさっぱりした。午後、旧千燈寺まで散歩。「西行戻し」の周辺は近年荒廃していたが、谷川の護岸工事が完了し、石塔や石仏もきれいに修復されていた。以前の位置から動かされている石仏もあったが、理由あってのことだろう。千燈寺跡には白いシャガと赤いツツジが咲いていた。奥の院まで上り、西の岩場からの景色をしばらく楽しむ。左足首はほぼ快癒した。下山後、伊美へ買い物。
5月3日、雲ひとつない快晴。東山のミカン畑で甘夏とカボスの枝の施肥と枝の剪定をする。甘夏は収穫には少し早いが、ひとつ食べてみると、甘酸っぱくておいしかった。
5月4日、午前中買い物。午後、歩いて赤根の旧分校跡まで往復。一之瀬池は満水で対岸の緑を映している。中学のころ水晶を探したガレ場も今は濃い緑に覆われている。
5月5日、今日も晴れ。朝、庭の掃除をして母と家に暇を告げる。
雨の休日
5月13日、冷たい小雨の中を休日出勤。誰もいない職場で溜ったメールを片付け、レポートを作る。会議もなく、電話もかからないのがありがたい。昼過ぎに会社を出る。寄り道は日本橋人形町か上野の博物館のどちらにしようかと思ったが、たまにはまだ訪ねたことのないところに行こうと、用賀で下車、砧公園の世田谷美術館を見学した。駅から公園までの歩道には平瓦が敷き詰められている。雨に銀鼠色に光っているので、あるいは三州瓦かもしれない。ところどころに百人一首の歌も彫られている。実家の瓦よりはるかに上等だ、などと思いながら歩くと、ほどなく広い公園に着いた。欅の成木が茂り、雨に濡れた土と青臭い若葉の匂いがする。
美術館では木版画家の吹田文明展が開かれていた。1950年代からの作品約200点を展示した本格的なもので、見ごたえがあった。夜空の星や花火を思わせる光と色彩の華麗な作品群にしばし酔った。趣味の風景スケッチしか描けない身としては、このような抽象の世界が描けることが不思議でならない。美というものは恐ろしいものだ。常設会場で須田寿さんの魅惑の赤と黒の絵や、北大路魯山人の器を拝見。来て良かった。次は晴れた日に訪ねてみたい。
交友
5月25日、神田西口の料理店「加茂弥」でTさんを囲む会を開く。メンバーはTさんと本社時代の部下の計5名。海外赴任や出張などで出席者はいつもより少なかったが、今回はメンバーの役員就任のお祝いも兼ねて、楽しい会になった。それに、この店の工夫を凝らした魚料理はいつもおいしい。
Tさんの人望とメンバーのIさんの優しい心遣いがこの会を支えている。今回も和菓子のお土産をお二人から頂戴した。定年後故郷に棲むとしても、この会だけには出たい。そのときにはお土産を持参しても分を弁えないことにはならないだろう。
中国・昆山市
5月28日、半年ぶりに中国出張。成田から上海まで梅雨前線の北側に沿って飛ぶ。午後4時の上海の天気は晴ということだったが、黄褐色の空に輪郭のない太陽がほの明く浮かび、夕暮れのようだ。空港から昆山市に向う。昆山の西には太湖があり、湖岸に水の都の蘇州、無錫がある。かつての呉の国だ。昆山は新興工業都市だが、旧市街も残されていて、清潔で明るい街だ。昨年5月に訪れたが、風景は大きく変わった。市の体育センターの隣に最近できたホテルに投宿。
29日、仕事を終えて、現地駐在の方の住いを見せていただく(写真)。4LDK、120㎡は一人には広すぎるようだ。運河に面したマンション群が塀で囲まれており、門には守衛がいてセキュリティはしっかりしている。夕食はホテルのレストランではなく、街中の普通の食堂にする。帰りにコンビニでお茶とビール2本を買う。14人民元也。
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