マケイヌ

予告編

「今頃、いったいなんなの?」

受話器を握る手が震えていた。

「日本に来て、また我々の研究に協力して欲しいのです」

電話の向こうの男は抑揚のない声で言った。

 

 

 

でも、私は抗えなかった。

選ばれたという快感に。

もしかしたら、また特別な人間になれるかもしれないという誘惑に。

 

 

 

「ジェニー?私よ、アスカ」

「どうしたの?アスカ。こんな時間に、なにかあったの?」

ジェニーの声はどこまでも優しい。

「ううん。何でもないの・・・・・」

「そう?」

「・・・・・ねえ、ジェニー?私が居なくなったら、寂しい?」

「どうしたの?急に?ドイツに帰るの?どこかに行くの?」

「ううん。ただ・・・・何でもない」

「アスカ・・・。」

「ねえ、ジェニー?私、少しは貢献できたかな?ジェニーの恋に」

「何言ってるのよ、アスカ、あなたのおかげじゃない」

「そう・・かな?」

「そうよ!すごく感謝してるのよ」

「アスカが居なくなったら寂しいわ。今みたいに普通にあえなくなったら寂しいわ。

だけど、アスカとはずっと友達だと思ってる。アスカが、それを許してくれれば」

「ありがと」

 

 

 

大丈夫だと思った。

私は日本にいく事に決めた。

 

 




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