僕は11−A−2号室の自動ドアの前に立ち、カードキーを挿し込んだ。

ドアが開いた。


僕    :なあ・・・・なんだコリャ!

入口には荷物が山の様に積んであり、前が見えない。


どかどかと走って来る音の後に、「オソイー!!」と金きり声がした。

アスカ:こらあ!!

        このバカシンジが!

        一体 今まで何してたのよ!

        今 何時だと思ってんの!

        6時よ!6時!

        この ぼけなす!

相変わらずの罵声と懐かしい声。

姿は見えないけど、思わず

僕    :ご、ごめん・・

アスカ:あ、あーんた、ヴァカー!!

        開口一番がそれ!

        相変らずvocabulary貧困の権化!

        謝りゃ良いとまだ思ってる。

        殺す!

        今 荷物どけるから、首根っこ洗って待ってなさい!!

僕    :・・・・

アスカは必死になって荷物を退けていた。

やがて僕が通れる程の道が空くと、疲れた顔して

アスカ:馬鹿らしい・・・・早くご飯作れよな。

と居間へ向った。


アスカが去った後に、残り香がした。

使ってるリンス、昔と同じだ・・・

僕はニコニコしていた。


台所で食事の用意を始めた。


アスカが台所にやって来た。

腰に手を当て眉間に皺(しわ)を寄せて、一段と高い声で

アスカ:アンタね!

        私の部屋掃除したことあんの!

        埃だらけで、蜘蛛の巣だらけじゃないの!

        ボケボケっとしてないで、早く風呂を沸しなさいよ!!

反論せず風呂場に向った。


アスカは腕組しながら

アスカ:相変わらず、ぐずで、のろまで、気が利かない奴!

アスカは風呂場に向う途中、三白眼で僕を睨みながら

アスカ:見たら、簀(す)巻にして芦ノ湖に沈める!

と言残して風呂に入った。


はあ・・・・


僕は食事の用意が済むと、自分の部屋に入った。


な・・・・・


僕の部屋には、アスカの荷物が山の様に積まれていた。

アスカの荷物を少し避(の)けて、服を着替えて台所に行った。


アスカは赤いバスタオルを体に巻いて、冷蔵庫を覗いていた。

アスカ:何で納豆なんかが入ってるの!

        嫌いだから入、れ、る、な、と何時も口を酸っぱくして言ってるでしょ!

アスカは納豆をごみ箱に捨てた。

僕は慌ててごみ箱へ向った。

僕    :何て事すんだよ。

アスカ:そんな臭い物、よく口にする気になるわねアンタは!

そう言いつつアスカは、牛乳パックを取出し、腰に右手を当ててそのまま飲み始めた、

僕    :アスカ!

        ちゃんとコップで飲めよ。

        はしたないだろ。

        それにバスタオルでウロウロしないでよ。

アスカは牛乳を飲みながら

アスカ:自分の家で何しようと勝手でしょ。

僕     :もうミサトさんが居ないんだから、アスカがここに居なくてもいいだろ!

アスカは僕をじっと見て

アスカ:どこを見てんの!スケベ!


くうう・・・

アスカの奴、僕の弁慶の泣所を蹴った。

可愛(かわゆく)ない奴。


アスカ:下僕の分際で私に意見するなんざ、1億年早いんだよ。

        さっさとご飯にしてよ。


う・・・・アスカが好き・・だって思っていたの撤回。

こんなのアスカじゃない。

性格悪すぎる。

僕の中のアスカは、良いところだけが増幅されたアスカがいた。

***************************************

僕とアスカは食事をしている。

アスカ:御替(おかわり)。

僕    :な・・・3杯目だよ。

        食べ過ぎだよ。

        太るよ。

アスカ:バカシンジ、

        次にそれ言ったら、相模湾に沈める。

        さっさと、注(つ)ぐ、注ぐ。

僕はご飯を装(よそ)いながら

僕     :アスカ、何でここに来たのさ

アスカは鯖を食べながら

アスカ:アンタは下僕なんだから、私の身の回りの世話をする義務があるの。

        アンタみたいな人間の屑は、この私の下僕になれるなんて幸せ者よ。

言いたい事ばかり言ってなんなんだよ。

僕は箸を置いた。

僕    :どこがだよ。

        相変わらず得手勝手だな!

アスカは頬杖をついて、軽蔑したように

アスカ:ほーおっ。

        バカシンジの癖に、一寸(ちょっと)見ない間に随分偉くなったわね。

        アンタ、病院で私に対し失礼な事をしたの、忘れたとは言わせないわよ。

僕    :・・・・

アスカ:アンタのした行為は、監視cameraによって録画されているから、

        なんなら見せようか?

        訴えられたくなかったら、下僕として慎みなさい。

僕は我慢できなくなり、思わず、

僕    :そんなに僕が嫌なら、この部屋に居る必要ないだろ!


        このマンションはガラガラなんだから、好きな所に行けばいいじゃないか!

        だいたい、いつ勝手に入って良いって言ったんだよ・・

アスカは「フンッ!」と言うと

アスカ:アンタ、まだ下僕としての自覚がないようね。

        私がここに居るのは、アンタに対して復讐する為よ。

僕    :復讐だなんて・・・

        僕が・・・

        アスカに対し失礼な事をして、本当に申し訳ないと思っている。

        謝って済むものではないと思っている。

アスカ:だから、アンタは下僕。


        言っとくけど、

        私はthe Federal Government of the U.S.(アメリカ合衆国連邦政府)

        の職員で身分は特別に保証されているし、

        私の一声でアンタをこの世から抹殺するなんて、お茶の子さいさいなのよ。

        観念することね。

僕    :4年ぶりに日本に来たのは、僕に復讐する為?

アスカ:本来の目的は・・

        日本に遺伝子工学研究所の施工が終るのが、来年の9月。

        私はこの新しく出来る研究所の責任者になるの。

        アンタみたいな筋金入りのヴァカと違って、私は天才だからね。

        来年まで暇だから、アンタに復讐する事にしたの。

        おわかり?

        まあ、そのお頭(つむ)じゃ無理かしらね。

僕    :大学院にまで行ったのが、どうして高校に来るのさ。

アスカ:決ってるでしょ。

        四六時中、アンタに復讐するためよ。

僕    :そ、そんなに僕を憎むなら、いっそ抹殺でも何でもすりゃいいだろ!


アスカが立ち上った。

アスカ:少しは大人になったかと思ったど、やっぱり屑は屑ね。


僕はアスカを見た。

何故か悲しそうにしていた。


くうう・・・

アスカはグウで僕を殴ると、自分の部屋に消えた。

/* 復讐 return of lover */

次回、電子メール

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