僕達はエレベータに乗った。

僕の横にいるトウジが正面を向いたまま

トウジ:シンジ、口紅ついとる・・・

とぼそっと言った。

僕は特に気にせず、壁に付いてる鏡を一瞬見た。

トウジ:なんやシンジ、

        お前が中々出て来んかったんのは、

        惣流と朝っぱらから、キ!ス!しよったからか。

        別にするなとは言わんが、

        人が呼んだらさっさと出てこい!

僕    :・・ごめん。

綾波と洞木さんは、アスカを見た。

洞木さんと目が合ったアスカは、ペロッと舌を出した。


エレベータから降りると、アスカが僕を引張った。

アスカは鞄からリップクリームを取り出すと、自分の唇に塗り、僕の唇にも塗りながら

アスカ:私は普段、化粧も口紅もしない。

        何時もlip creamを塗ってるの。覚えなさい。

        男もlip cream塗る人多いから、アンタも塗りなさい。

        これ、あげるから。

アスカは僕にリップクリームを渡すと、洞木さんの元に走って行った。

な・・・・

僕が放心状態でいると、

綾波が傍に来て僕の手からリップクリームをとると、

自分の唇に塗り、僕の手に渡しながら、ぼそりと

レイ  :間接キス・・

綾波も洞木さんの元へ走って行った。

はあ・・・・・

トウジが僕の傍に来て

トウジ:朝から、何 固まってんねん?

        おまえらがお熱いのは、よう解った。

        あー、10月なのに熱い!熱い!

        行くぞ、シンジ!

僕    :・・・・

***************************************

トウジは指をバキバキ鳴らしながら

トウジ:さー、めしや、めしや!

午前の授業も終り昼食になった。

朝、教室に入った時、みんなに囲まれて大変だった。


アスカが僕の傍に来た。

アスカは俯いたまま

アスカ:お弁当・・

僕が弁当をアスカに渡すと

アスカ:ありがとう・・

と言って洞木さんの元に行った。


それを見ていたトウジが吃驚(びっくり)して

トウジ:な、なんや?

        あいつ、体の具合悪いんとちゃうか?

        あの豹変ぶりは、ただごとやないで。

        あいつが感謝の言葉を言うの、初めて聞いたがな。

        綾波の変貌より、こりゃ驚くわな。

        シンジ、お前・・惣流に毒でも盛ったんか?

僕はトウジにしか聞えない声で

僕    :アスカと交際を始めたんだ。

トウジ:ブーッ!

トウジがご飯を吹き零した。

僕    :汚いな。

トウジ:交際やなんて・・今時そんな化石みたいな言葉使う奴なんかおらんがな。

        お前も物好きやな、あんな女の何処がええねん?

        あんなタカビー、こっちから願い下げやで。

僕    :アスカは別に高飛車じゃないよ。

        情が深いから、みんな誤解してるんだよ。

トウジ:恋は盲目とは、ようゆったもんやな。

        まあ、今までくっ付かんかったお前らが不思議なんやけどな。

        これでシンジも幸せになれるけど、敵も増えたで。

僕    :そう?

トウジ:今までは男が敵やったけど、これで女も敵になるからな。

僕    :どうしてさ?

トウジ:2年生や3年生の女供からシンジへ手紙だしても、

        シンジは何時も断り続けよったのが、

        惣流が来たら、あっという間に惣流と付き合う様になって、

        おもろうないんとちゃうんか?

        ・・・・

        お、噂をすれば、3年生や


3年生の女子が10名教室に入って来た。

女生徒:碇君。退院おめでとう。

        これ、全快祝いね。

とケーキの入った箱をくれた。

僕    :そんな、気を使わなくても良いのに。

女生徒:いいの、遠慮しないで。

トウジ:なら、遠慮のう貰うで。

トウジが箱を開け食べ始めた。

トウジ:うん。うまい。おおきにな。

女生徒:碇君に紹介したい子がいるの

ひょい、と僕の目の前に出てきた。

トウジ:お・・・Nervの伊吹さんに似とるがな。

女生徒:この子ね、

        入学した時から、碇君の事が気になってたんだって。

        今までずっと黙っててさ、

        碇君が退院したから、会いたくなったんだって。

        この際だから、この子と付き合っちゃいなさいよ。

トウジは万歳をして

トウジ:やったー、シンジ、ハーレムやないか。

僕    :・・・・

アスカを見ると、洞木さんと楽しそうに弁当を食べていた。

僕は立ち上った。

女生徒:どうしたの?

僕はアスカの元へ行き、アスカの手を取った。

アスカ:ちょっと、まだ食べてるのよ。

僕    :来て。

アスカは箸を置いて

アスカ:もー・・・

アスカを僕の席まで連れて来た。

アスカは目の前の女生徒達とはよく口喧嘩していたので、ばつが悪く下を向いていた。

女生徒:碇君、惣流さん連れて来て何?

僕    :皆に聞いて欲しいんだ。

        今まで自分がはっきりしていなかったから悪いんだけど、

        僕は彼女と交際している。


皆が呆然として

女生徒:え?

僕は深呼吸をして

僕    :僕は、アスカと結婚を前提とした交際をしている。

女生徒:そ、惣流さん、バレー部の人と付き合ってんじゃないの、

僕    :いや、断ってもらった。

女生徒は信じられないといった顔をして

女生徒:どうして?

        ね、碇君どうして?

        ・・見てくれ?

僕    :アスカの事は昔から好きだった。

        外見とかは関係ないんだ。


女生徒は拳を震わせながら、声を一段と張上げ

女生徒:ねえ、この女(ひと)のどこがいいの?

        ちょっと頭が良いからって、ちょっと可愛いからって、

        凄い性格悪いじゃない。

        女の癖にいつも碇君に弁当作らせて、

        女の癖にいつも碇君に暴力ふるって、

        女の癖にいつも碇君に荷物持たせて、

        いつも碇君のこと、バカだの、ボケナス呼ばわりして、

        いい加減にしなさいよ!

        この阿婆擦れ!

女生徒がアスカを殴ろうとした、

教室に乾いた音が響いた。


女生徒:碇君・・・どうして庇うの?

僕    :ごめん・・・

女生徒は目に涙を溜めて

女生徒:・・まあ、今日のところは碇君に免じて帰るわ。

        碇君も、無理してこんな女と付き合わなくても、

        碇君の事、想っている子は沢山いるからね。

        みんな帰ろう。

女生徒達は教室を出て行った。


僕はアスカに向って

僕    :アスカ、嫌な思いさせてごめんね。

アスカは僕の顔を見て、ハンカチを取出して僕の口元を拭きながら

アスカ:血が出てる。


その途端、クラス中が騒がしくなった。

女    :惣流さん、碇君と付き合っているって本当?

アスカは下を向いて

アスカ:本人がそう言うんなら・・そうだけど・・


男    :碇、てめえ、抜駆けしやがって!

トウジが立ち上り

トウジ:なんや、シンジに文句あるなら言ってみ!!

        この俺が相手になるで!!


洞木さんと綾波は握手していた。

レイ  :長かったね。

洞木  :うん。雨降って、地、固まる。

/* 明言 There are going about together! */

次回、これは何!

目次に戻る