Star Children
エピローグ
by しもじ
トウジ君が太平洋の真ん中をエントリープラグに乗って彷徨っているところを発見されてから一週間が過ぎた。
まだ彼の体調も完全な回復からはほど遠いが、無理することはない、と言っても彼はきかなかった。
「コレがワイのまかされた役目やからな。
きっちりやらな、センセに会わす顔がないわ」
そう言って、トウジ君は起こった事のあらましを話してくれた。
彼の説明にも多少の混乱がまだ残ってるが、いずれハッキリするだろう。
とにかく、人類にはまだチャンスがある。そのことはわかったんだ。
残された者達としては、与えられた役割をきっちり果たしていくしかない。
それが、俺達、オレやマコトにできる、唯一の事なのだから....。
そして、俺は再びあの丘へとやってきた。
そう、彼女が眠る、あの丘へ。
『チルドレンの丘』
その丘は、人々の間でそう呼ばれていた。
切り立った崖の上にある展望台のすぐそばに、柵で囲まれた一角があり、
その敷地の中央に、少女の像が立っているからだ。
その等身大の像はいつも空を見あげていた。
像の前に、並んで立っている墓碑があった。
色々と複雑な事情が在り、今、そこに立っているのは3つ。
かつてチルドレンと呼ばれた少年少女達。
眺めはいいが、あまりそこを訪れるモノは少ない。
特にこんな平日の昼間は。
だが、オレがそこについた時、そこには先客が一人いた。
最終章
「Be free !」
「やあ、久しぶりですね、青葉...シゲルさん」
そいつは振り向きながらそう言った。
振り向く前から、オレの事をわかっていたかのように。
オレは、こう返すのがやっとだった。
「君は....」
学生服の少年。そう、彼は10年前と全くといっていいほど変わっていない。
もっとも、たかだかオレの記憶の範囲内でのことだが。
「フィフス、フィフスチルドレンの渚カヲル!」
しかし、何故?
何故、彼がココにいる?
そうか、トウジ君が言っていたのはこの事だったのか。
ここには彼女が眠っている。
それが、彼の個人的用事、とかいうやつか。
しばらく絶句していたオレは、ようやく合点がいった。
「しかし....」
そこまで考えて、ふと新たな疑問が浮かんだ。
『久しぶり』と彼は言ったが、オレは彼に会ったことは一度も無いのだ。
あの異常とも言えるデータを叩き出した起動実験にもオレは参加していたし、
マコトがハックしたネルフのデータベースの情報だって知っている。
だが、彼と直接面と向かって話したような覚えはない。
彼はゼーレの送りこんできたチルドレンであり、VIPだった。
一方で、その当時のオレはと言えば、しがないオペレータの一人。
たとえ顔をあわせる機会があったとしても、彼が覚えているはずはない。
そんなオレの思考を見透かしたかのように、彼は話しかけてきた。
「どうして僕があなたの名前を知っているかって?
失礼ですが、あなたはもう少し自分の立場と言うものを考えた方がいい」
それぐらいの事はわかっている。
今のオレはもう一介のオペレーターではない。
名前と顔ぐらいは、調べればすぐにわかる事だ。
もっとも、彼が俺のことをわざわざ調べるようなマネをしたとも思えないが。
「だが...、だが、『久しぶり』、と言うのは...」
「そう。僕達は直接会って話したことはなかったですね」
やはりそうだ。では、それならば何故?
彼はすぐにオレの疑問には答えてはくれなかった。
例によって曖昧な笑みを浮かべたまま黙って立っている。
シンジ君ならその笑みを見て、『好意の印だね』とでも善意に解釈するだろう。
アスカちゃんなら、多分、『何、にやついてるのよ!』と叫んで蹴りでも入れるかもしれない。
綾波レイならば、そうだな、『何がおかしくて、あなたは笑っているの?』とでも言うのだろうか。
いや、全く無視してスタスタと行ってしまう方が可能性としては高いか。
そして、彼女ならば....、
彼女ならば、どうしたであろうか?
「だけど僕達には、一つの共通点がある。
そうは思いませんか?」
ああ、そうだな。
確かにそうだったが、オレは無言を保った。
彼は、オレの知らない彼女を知っている。
オレは、セイラ・モルゲンシュタインと言う名の彼女しか知らない。
だが彼は、同じエヴァのパイロットとして、6番目のチルドレンとしての彼女を、
セイラ・ローレンツとしての彼女を知っている。
「あなたはどう思います?
セカンドチルドレン、惣流アスカ・ラングレーの永遠のライバルとしてドイツで暮らしていた頃の彼女、
フィフスチルドレン、渚カヲルの最初の友人にして、6番目のチルドレンとしてイギリスにいた頃の彼女」
友人?
ただの友人じゃ、なかったんじゃないのか?
オレが彼の存在を知ったのは、彼女を失った後の話だ。
それは、嫉妬感とは違う。違うと思う。
大体、オレにはそんな資格はないじゃないか。
自分の遍歴を無視して、彼女(ヒト)の過去を問うほど野暮な男じゃない。
と、思う。
彼の問いかけは、まだ続いた。
「そして、国連軍極東支部、その戦略兵器管理局局長秘書としての彼女」
だが、それは同時に、ネオゼーレの五人委員会の議長としての彼女、でもあった。
苦い思いが、込み上げてくる。
最後の最後まで、オレはその事を知らなかった。
そして知っていたとしても、他にどうする事もできなかっただろう。
オレ達の敵の一員であったとしても、彼女はオレの....。
だが、彼は、その事には触れなかった。
「アスカの知っているセイラ、僕の知っているセイラ、そして貴方の知っているセイラ。
三人三様の彼女がいる。
その、どれが一番幸せだったと思いますか?」
その時々で、彼女が幸せであってくれたなら、それでいい。
どれが一番とか、そう言う問題ではない。
それに、今更そんな質問に答えても仕方がないじゃないか。
失ってしまったものは、もう、還っては来ないのだから...
オレは、彼の問いに答えなかった。
「貴方には失望しましたよ」
しばらくの間、彼はオレの返事を待っていたようだった。
それから彼は、いきなりクルッと後ろを向いてそう言った。
「何ぃ?」
オレは思わず叫んでしまった。
彼はそれを気にするでもなく、話を続けた。
「もう少し、違ったヒトだと思っていましたよ。
彼女が選んだヒトだと言うから会いに来てみましたが、ね。
今の貴方からは、希望も情熱も、何も感じられない」
そんなことはない。
現に今だって、国連の新組織を立ち上げるために忙しい毎日だ。
それは、仕事に対する情熱というやつではないのか?
人類の未来に対する希望の現われではないのか?
「違いますね」
彼は、オレの心をまるで読んでいるかの如く話をした。
「貴方が働いているのは、彼らに対する義務を感じているからでしょう。
生きている事に対する負い目が、貴方にそうさせているんだ。
だが、いつまでもそんな風ならば、彼らは決して浮かばれませんよ。
彼らは人類に希望の光を感じたからこそ、残された人々に未来を託して行く事ができた。
生きる事、生きようとする意志。
それこそが、ヒトの希望に他ならないと言うのに...」
そう言えば、トウジ君もそんなことを言っていたな。
だが、他にどうしろと言うんだ、オレに。
「そして、僕が知りたかったのは、本当の貴方。
彼女は言っていた...、貴方は熱いハートを持っているって。
それに、少しでも触れてみたかった。
魂の叫び声が僕にも聞こえるかどうか、試してみたかったのですよ」
熱いハート、それに魂の叫び、か。
使徒のくせに、面白い事を言うじゃないか。
そう言えば、最近ライブにも行っていないな。
前は良く行っていたし、彼女を連れてった事もあったのに。
ギターもずっと、物置の奥にしまい込んだままだ。
あれ以来、か。
「だが冷え切った心からは何も感じられない。
希望も情熱も。そして、絶望すらも」
希望を持たなければ、絶望する事も無いさ。
「貴方の心は、死んでいったモノの魂に縛られている」
ああ、そうだな。
あれを克服する事なんて、できやしないさ。
希望と情熱か。
かつてはオレにもあったかも知れない。
いや、確かにあった。
だがそれは、すべて彼女が持っていってしまったのさ。
「でも、だからこそ、僕がここに来た意味があるのかも知れない。
そう、僕は返しにきたんですよ。
あなたが失ったものを。
それが、彼女の願いでもあったから」
彼女の.....願い?
それに、返しに来たって、いったい君は....
「失われたものを取り戻せれば、貴方も変わるのかもしれない。
貴方も好意に値するヒトなのかもしれない。
いや、きっとそうなのでしょうね、彼女がそう言うのだから」
戸惑うオレをよそに、渚カヲルの独演は続く。
「貴方のためにするわけじゃない。
彼女のためにするんですよ、青葉さん」
だから...、何をだ?
「そしてそれは僕自身のためでもある。
アダムによる呪縛から逃れえた今、僕は自由を手に入れる事ができた。
だが、完全なる自由とは、とても空虚なものだからね。
僕には目的が必要なのさ。
僕の生まれてきた意味。僕が生き続ける意味。
僕は、それを見つけなければならない」
彼が何を言いたいのかわからないまま、オレは黙って聞いていた。
「僕はそれを貴方達の中に見い出したいのですよ、青葉さん。
貴方達が持っていて、僕達にないモノ。
愛情とか、友情とか、そう言ったモノが大切なのだとシンジ君は言った。
だから、僕はそれを知りたい」
それを知って、どうしようと言うのか?
「綾波レイ。彼女にはできた。
だから、僕にも出来るはずだ。
その時、僕は真に解放される事ができるだろう。
造られたアダムの僕(しもべ)、使徒としてではなく...」
つまり、君はヒトになりたいのか?
「そのためには、この不自由な肉体に束縛されることなしに、
空間を漂う風のような存在として世界に溶け込んだ方が都合が良いのです。
知っていましたか?僕達使徒は、決して死ぬことはないのです」
昔は知らなかったが、今は知っていた。
使徒の本質は、情報。ATフィールド。
コアを破壊しても決して使徒は死ぬことはない。
器が無くなくなった事により、その空間に存在できなくなるだけだ。
それは、ディスクを破壊すればデータは消えるが、情報そのものが消えた事にはならないのと同じ。
単に、その目に見える形質が変化しただけに過ぎないのだ。
生と死は等価なのだ。使徒にとっては。
「だから、いずれまた返してもらう時がくるでしょう。
でも、それは何十年も先のこと。
それまでは貴方にお預けしますよ。
この身体を....」
この身体?
おいおい、オレはそっちの趣味は....!?
その時、さっきまで銀髪の少年だったモノが、振り向いた。
「大切に扱って下さいね、青葉シゲルさん。
彼女は僕が最初にアイしたヒトなのだから....。
シンジ君と同じくらい、大切なヒトなのだから...」
振り向きながら、その姿が少しづつ変わっていくのがわかった。
その姿...。忘れるはずもない。
彼女だ。
完全にこちらに向きおわった時、変身は終了していた。
オレは金縛りにかかったように、何もできず、何も言えずにいた。
「シゲル!」
その声は、先程までの少年のものではなく、
まぎれもなく、いつも聞いていた、あの彼女の声だった。
彼女のその言葉が、オレを解放するキーワードだったのだろうか。
オレは身体の自由を取り戻した。
「セイラ!」
彼女だ。
戻ってきたんだ。
信じられない。
駆け寄って、抱きしめて、そして、確認する。
彼女も抱き返してくる。
ああ、この感触。この匂い。
間違い無い。
これは...、これが...、奇跡、なのか?
ならば、もう二度と放さない。
抱きしめる腕に力をこめる。
「痛いわ、シゲル」
その声に、オレは我に返って少しだけ力をゆるめた。
そして、訊いた。
「だがセイラ。
どうして....?」
彼女は少し困ったような顔をして答えてくれた。
「わからない。
気がついた時は、エヴァの中にいたの」
「伍号機か?」
「そう。彼女と一緒に」
彼女。エヴァンゲリオン伍号機を受け継いだセカンドチルドレン。
惣流アスカ・ラングレー。
なるほど。彼女がネオゼーレに染まっていったのは、
てっきりお父さん、クラウザー博士の影響だろうと思っていたんだが、
違っていたかもしれないな。
「そして、黒き月の中でシンジ君たちに出会った?」
「ええ。そして、彼にも」
そうか....。
「伍号機のコアに使っていた新しい人格移植OSに何か問題があったからなのか、
エヴァとのシンクロが戦いの最中にあんな形で突然切れてしまったためなのか、
原因は良くわからない」
「あるいは、彼。
渚カヲルが何かしていたのかも知れない」
だが、あの時点で彼が介入してくる事は、あり得そうにない。
まだ初号機は再覚醒をしていなかった筈だ。
いや、あり得るのか?
「そうね。それはあり得るわ。
と言うかそっちの方がありそうね」
そうか。
そうだな。
きっとそうだろう。
「彼には感謝しても足りることはないな。
今もまだ、そこにいるのかい?」
彼女の身体。それは彼の身体でもある。
精神の回収はできても、肉体を再構成することはできなかったのだろう。
だから彼女に、その身体を貸し与えてくれたのだ。
「いえ、もう感じないわ。
本当にいないのか、奥底に隠れているだけなのか、わからないけど。
さっきまでは、私も彼の一部分だった」
『久しぶり』
そうか、それは彼の中の彼女が言わしめた言葉なんだ。
「でも、今は違う。
彼は私の一部分ですらない」
彼女をオレに委ねてくれたのか。
完全に。
ならば、オレはその信頼に全力を以って応えよう。
渚カヲル、最後の使徒タブリスよ。
いや、彼女を愛した最初のヒトよ。
オレは、君の身体を与えられた彼女を愛す。
取り戻した情熱の、そのすべてを賭けて。
そして二人で新たな希望を見いだそう。
それはオレの望みでもあり、彼女の願いでもある。
そしてそれが、君のキボウへとつながる事をオレは知っている。
『自由なる意志』を司る天使、タブリスよ。
君はまだ、ヒトについて学ぶべき事が沢山あるのかもしれない。
だが、君はもう、一番大事なことは既にわかっているんじゃないか?
ヒトを愛し、愛されるということを。
いつかきっと、君の願いもかなうだろう。
その事を、オレも、彼女も、知っているから。
* * *
「夕日はいいねぇ。
山すそにゆっくりと沈んでいく太陽。
地球の自然が産んだ、ひとつの芸術作品だね。
真っ赤な夕空に向かって思わず叫びたくなるよ。
そうは思わないかい?」
ベランダの欄干に腰かけた少年が言った。
突然話しかけられた相手が、困ったような表情を返す。
「何故、僕がここにいるのかって?」
何も聞かれていないのに、その少年は一人で話し続ける。
「ほら、見たまえ。
夕焼けに染まった空を、鳥が飛んでいくよ。
彼等は今、ああやって大空を羽ばたいて飛びながら、自由を満喫しているに違いない。
それが生きると言うことならば、僕もそれを味わって見たい。
そのために必要な何か、それを見つけたい。
ただ、それだけなのさ」
不機嫌そうに、コーヒーをズズッとすする音がした。
どうやら少年を無視することに決めたようだ。
「ああ、ゴメンゴメン。
別に君のその姿に対するあてつけじゃないよ。
君は自由の代わりに、あえて不自由を選んだのだね。
君が何故、この状態で幸せを感じる事ができるのか、僕には理解できないよ」
少年を見返した2つの瞳は、『余計なお世話よ』と強く主張していた。
「だが、それが君の、彼への愛のなせるわざだとしたら、
いつかは僕にもわかる時が来るかも知れない。
僕はそう信じているのさ。
それが、僕のキボウだよ」
その時、階下で声がした。
「アイちゃーん、レイ、そろそろご飯にしますよ〜」
そして、改段をトントンと上がる音、部屋のドアを開ける音が続き、
すぐにベランダに出る窓が開かれてユイが首だけ表に出した。
「あら、へんねぇ。話し声がしてたからてっきり上にいると思ったのに、あなただけなの?」
いつの間にか、渚カヲルの姿は霞となって消えていた。
「仕方ないわねぇ。どこに行ったのかしら。
まあいいわ。あなたもいつまでも夕日を眺めてないで、早く降りてらっしゃい。
じき、晩ご飯にしますよ」
それだけ言って、返事もまたずにユイはすぐに下に降りていった。
いつものように、カップの残りを全てすすり終わるまでは降りてこない事は彼女も知っていたからだ。
後に残されたモノは、一人、物思いにふける。
そうなの、良かったわね。
タブリス、渚カヲル。
あなたは自由を手に入れたのね。
いえ、少なくとも、手に入れようとしているのね。
そして自分の状況にも思いを馳せる。
でもね、私は不自由を選んだのではないわ。
これが私の選んだ自由の道なのよ。
多分、またいつか出会う事があるでしょうね。
その時は、あなたにもわかっているのかしら?
さっきのように理詰めで分析するのではなく、
ココロで感じることができるかしら?
カップを片向け、最後の一杯まですすろうとする努力をしながら尚も考え続ける。
そうなればいいわねぇ。
シンジ君の残した人類の未来。
それを見届ける事が、私に託された使命だと思っていた。
けど、もう一つ、見届けたくなるモノができたわね。
空になったカップを夕日に向かって掲げ、いつもの儀式で一日は終わる。
手に入れてしまった永遠の命。
退屈な人生に、乾杯。
次話予告
「って、何よコレは!」
「何って、エピローグじゃないか。
うーん。それにしても、いい話だね〜」
「って、他のSSじゃ端役にも出てこないようなロン毛のクセに、
アタシより目立ってんじゃないわよ」
「と言われても、このSSじゃ、オレも主役の一員だし...」
「あんたバカ〜?
これだから、クサい歌詞しか作れない二流のロッカーは困るのよね。
いつからアンタが主役になったのよ。
全話すべてにセリフがあるアタシと一緒にしないでよね」
「あれ?
アスカ、今回の話でセリフなんかあったっけ?」
「もっちろんよ。
ほら、よっく見てごらんなさい。
『何、にやついてるのよ!』って叫んで蹴りまで入れているじゃない」
「って、アスカ......。
と、ところで、カヲル君はどうなったの?
ホントにどこかに消えてしまったの、風のように?」
「そんな事、あるわけないじゃないか。
意識の半分ぐらいは彼女の所に残してあるよ。ただ隠しているだけでね。
ぼくがこんなに美味しいところを見逃すはずはないだろう」
「美味しいところ?」
「ああ。僕はこれから色々と学んでいかなければならないからね。
特に、ヒトの愛のカタチ、その実践法とかをね。
青葉さんは大人だからね。とても期待しているんだ」
「.....」
「そう言えば、彼女から聞いたよ。
君達が5分間で何をやっていたかね」
「見、見てたのかい?」
「僕じゃないよ。彼女だよ」
「あのブリッ子セイラの奴め〜!
出てきなさい!」
「彼女はココには出てこないよ。オリキャラだからね。
だが僕も記憶は全て共有している。細部までバッチリとね」
「こ、こ、こんのぉ〜!出歯亀野郎が〜!」
「おっと。僕に手を出さない方がいいよ。
なんだったら問題のシーンをいくつか念写して、プリントしてもいいんだからね」
「そ、そんな事もできるの、カヲル君?」
「なにせ使徒、だからね」
「う〜〜〜〜〜!」
「さて、この後僕がどうするのかだって?」
「誰も聞いてないわよ、そんな事」
「そうだね。当分は彼女の中にいて、じっくり観察させてもらうよ。
そして彼等が死んだら、またこの身体に戻ってくるのさ。
その後は、どうしようかな」
「だから、誰も聞いてないって」
「今度は名前を変えて、ヒトの中に交わって暮らそうと思うんだ。
せっかく手に入れた自由なんだ。せいぜい楽しまないとね。
永遠に生きつづける伝説の超能力者なんてどうだろうね」
「......」
「髪型や、髪の色は簡単になんとかなると思うんだ。
サキエルのような雷槍は今でも撃てるわけだし、
ブラックホールもどきは、虚数空間を使えばいいだろう?
鏡だってATフィールドの応用で造れるんじゃないかな。
それにナガトなんて名前の皇帝、いかにもエヴァに出てきそうじゃないか。
銀河コンピュータ・マギとかもイイ線いっていると思うよ」
「カ、カヲル君。君が何を言っているのか、
僕にはわからないよ」
「ロックだよ」
次回、エピローグの2
「良かった。まだ続きはあるんだ」
「Be togatherか。ようやく私とシンジの蜜月の旅が始まるのね」
「いえ、今度はあの二人が主役よ」
「どうも〜」
「いや〜、悪いな、二人とも」
「ちっ」
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