現在ネルフでは、先頃ドイツ支部から届いた強化パーツ、及び生体部品を使ってゾイドの強化作業を行っているところだった。普通はローテーションを組んで、順番に行うモノなのだが年末が近いせいか、いっぺんに改修作業を行っているのである。強化パーツが届いてから1週間が過ぎても、改修が終わったゾイドは一台もなく、その労働基準法ぶっちぎりの作業内容に、リツコですら愚痴をこぼしそうになっていた。
「・・・でも、先輩。今日の作業が終われば少なくとも二日はお休みがとれますよ。それも有給で」
「マヤ。それ私に対する皮肉?」
「えっ、ち、違いますよ先輩!皮肉だなんてそんなぁ」
リツコの鋼鉄の鋭さを持った言葉に慌てて言い訳するマヤ。そんなわざとらしいマヤに、リツコは冷たい目を向けながら何気なく質問をした。
「・・・青葉君達とは何時から出かけるの?」
「25日の五時から・・・はっ!?」
マヤの顔が真っ青になった。徹夜のせいでカサカサになった肌にじっとりと汗が浮かぶ。
「良いわねぇ・・・クリスマスに一人じゃなくって。羨ましいわ。ふっふふ・・・ふふふふふふふっ」
眉間を押さえると、自嘲するかのように笑い出すリツコ。その笑い声はケイジに響く作業音を聾して響きわたる。その異様さに作業が止まり、全作業員がリツコの方を見る。
「・・・そうよ。いつもみんな私を裏切るのよ。ミサトはなんだかんだ言ってしっかりと休みを取ってるし・・・シンジ君はアスカとレイ達と・・・母さんは旦那さんと・・・そして、信頼していた後輩も・・・」
「そ、そんなちょっとオペレーターの間で飲み会をするだけですよ。何もそんな自分を卑しめるようなことを言わなくても・・・」
そんな慰めを言いながら、マヤは胃がキュッと縮むのを感じた。
マヤの言葉に、リツコは鬼の形相で反論した。目がマジでとっても怖い。
「マヤ!!あんたに何がわかるって言うのよ!?
ええ、そうよ!!どうせ私は今年も一人で寂しくクリスマスを過ごすのよ!!家の猫達でさえ恋猫と一緒にクリスマスを過ごすってぇのに!!!」
「きゃーーーー!!先輩が壊れたーーーー!!!!」
「なんですってぇーーーー!!?誰が嫁き遅れよーーーー!!!!!?」
赤木リツコさんに幸せの幸あれ♪
<碇家リビング>
「ジングルベージングルベー鈴がぁ鳴るっと♪」
碇家のリビングでは、3人の少女が思い思いにくつろいでいた。
一人は陽気にクリスマスソングを歌いながら、クリスマス特番のテレビを見ていた。
一人は手元の文庫本を読んでいるようで、実際は目の前で色を次々と変えるクリスマスツリーに見入っていた。
一人は肩も露わな大胆なドレスを着て、出かける準備に余念がなかった。
後一人、台所でクリスマスの準備をしている少年がいた。既製品のケーキではなくて手作りのプティングが食べたという我が儘な少女のために、肉が食べられないという少女のために、何かあるとすぐ彼を呼びつけこき使う少女のために働く少年がいた。
彼の名は、まあ言わんでも分かると思うが碇シンジである。この永遠のオサンドン少年はリツコ達のように完徹こそしていないモノの、三日前からずっとこき使われてとっても疲れていた。
「もう、シンジ!早くしなさいよ!もう6時よ!早く出かけないと遅れちゃうじゃない!!」
「そんなに言うなら、少しは手伝えばいいじゃないかぁ」
「あんた馬鹿ぁ?クリスマスプティングは男がつくるもんでしょう!!私達につくらせてどうすんのよ!?」
「・・・そんな話聞いたこともないよ。それに手伝うぐらい良いじゃないか・・・」
「まったくああ言えば、こう言う。言い訳なんて男らしくないわよ。
加持さんとは大違いね!」
「・・・なんだよ、この前から加持さん、加持さんって。そんなに加持さんに会いたいなら、僕のことほっといてさっさと行けばいいじゃないか!!」
加持の名前を聞いて、チクリときたシンジは思わず声を荒げた。その声に一瞬だけ体を硬直させるアスカ。だがすぐに、自分を取り戻すとこちらも大声を上げる。
「な、何よ、いきなり・・・ふ〜ん、そうか。あんたやきもち焼いてるんだ。ばっかみたい。ほんと加持さんと大違いね」
アスカのつっこみに少し顔を赤くしながらも、それ以上に苛ついていたシンジは更に怒鳴り返す。
言い合いを始める2人に、空色の髪の少女はまたかといった目を向けていた。もしかしたら呆れていたのかもしれない。
「だ、誰がやきもちなんか!別にアスカのことなんか・・・何とも思ってなんかいないよ!!そういうのを自意識過剰って言うんだよ!!」
「誰が自意識過剰よ!?あんた頭がどうかしてるんじゃないの!?」
「僕はまともだよ!!おかしいのはアスカの方じゃないか!!いつもいつも僕に雑用を押しつけて!しかも礼の一つもろくに言わないで!!もううんざりだよ!!」
「私みたいな美少女のために働けるのよ!感謝こそされ、文句を言われるなんて心外ねっ!!」
「僕はアスカの奴隷じゃないんだ!!もううんざりだよ!!アスカの顔なんか見たくない!!」
「な、なによ・・・馬鹿!もう知らないわよ!!私だってあんたの顔なんて見たくないわ!!!
ふん!ゼロ、ファースト!先に行くから!!」
「あ、アスカ〜そんな喧嘩ごしにならなくても・・・」
「あんたは黙ってなさいよ!!」
言い過ぎのアスカを諫めようとした、レイコを逆に怒鳴り返すと、後ろも見ずにアスカは飛び出していった。未だ憮然とした顔をするシンジに、どこか引きつった笑いを浮かべて話しかけるレイコ。
「あはは・・・あの、シンちゃん。喧嘩するのはいつものことだけど、良いの?ほっといて・・・」
いつもの喧嘩とは違うギスギスした喧嘩にレイコが思わず忠告するが、シンジは気にしない。さすがに温厚な彼も怒ったのだ。
「いいよ!別にアスカだって子供じゃないんだ。いつもいつも我が儘ばっかりで、もううんざりだよ!」
そんなことを言いながら、シンジは再び料理の準備をはじめた。その見るからに不機嫌そうな背中を、レイとレイコはじっと見ていた。
(まったく、シンちゃんも加持さんの名前が出るとすーぐムキになるんだから・・・。アスカも相変わらず退くこと知らないし・・・これは長引きそうね。でも、これって大チャーンスねっ♪)
「少しやせたかな・・・」
「そう?」
「悲しい恋をしているからだ・・・」
「どうして、そんな事が解るの?」
顔を赤らめ、そんなことを言いながらポケットから出した注射器を背後の人物に突き立てるリツコ。にやけた顔のまま、崩れ落ちる加持。
「悪かったわね・・・まだ恋もしたことが無くて。こんな美人をほっとくなんて、ほんとネルフの男達って甲斐性なし揃いよ。
それとも、加持君が私を口説いてくれるの?ふふっ良いわよ・・・ミサトのお下がりってのは気に障るけど、いつまでも男を知らないというのも、なんだしね。
せっかくのクリスマス・イブ。二人で楽しみましょう・・・」
そう言うと逆に加持を抱きしめ返し、白衣を脱ぎ捨てる。加持の目がにやけた形のまま、恐怖に濁った。
(り、リッちゃ〜ん!?変わったなんてもんじゃないぞ〜これはぁ!!き、気持ちは嬉しいがリッちゃんより俺はどっちか言うと葛城か伊吹二尉の方が・・・)
リツコの目がキュピーンと輝く。加持大ピーンチ!!
「何やってんのよ!?あんたらはぁ!!」
突然部屋に響く大声。いつの間にかミサトが部屋に入ってきたのだ。闘牛のように突進すると素早く加持に正拳突きをお見舞いし、使徒も裸足で逃げ出すような目をしてリツコを睨む。
「リツコぉ!!仕事サボってこんな所で乳くりあってんじゃあないわよ!!」
そそくさと着衣の乱れを直すと、リツコも反撃を開始する。
加持は床に崩れ落ちたまま、血をだくだくと流していた。
「あなたにだけは言われたくないわ、ミサト!!あなた今日も昨日も、一昨日も遅刻した上に残業も無しでさっさと帰ってるじゃない!!おまけに、就業時間中の飲酒、居眠り、シンジ君へのちょっかい!!ふざけるんじゃないわよ!!
私はもう三日以上もネルフ本部から外に出ていないのよ!!!!」
「あんたと違って、私は良いのよ!
私の仕事は司令のボディガードと、使徒との戦いの作戦立案なんだから!使徒と司令の居ない今どんな仕事をしろって言うのよ!?」
「街に残っている使徒の残骸を片づけるのはあなた達作戦部の管轄でしょう!?忘れてるんじゃないわよ!!日向君達作戦部の人間が何日残業してると思ってるのよ!!?」
「うっさいわね!細かいこと気にしてるとそのうち禿げるわよ!!だいたい男のいないあんたがさっさと家に帰ったって、する事なんて何もないでしょ!?」
「言ったわね!ミサトぉ!!今だから言うけど、私はあなたのがさつで無様な所が大っ嫌いだったわ!!」
「ハッ!気が合うわね!!私もリツコの金髪や細かい所なんか大っ嫌いよ!!」
「・・・かかってきなさい、ミサト!!大学時代、ビューティーリツコと呼ばれた私の空中殺法を見せてやるわ!!」
そう言うと、白衣を脱ぎ捨てるリツコ。タイトな服に包まれたしなやかな体が露わになり、思わず加持は生唾ごっくん。
「何がビューティーよ!!瓦30枚割りの私の実力を思い知らせてやるわ!!」
ミサトはジャケットを脱ぎ、リツコの顔目がけて投げつけた。その時、豊満な胸がぷるんと揺れ、加持は天国を見た。
リツコはジャケットを素早くかわすと、赤木印のスーパージャンプシューズの力で天井近くまで跳び上がる。その時、スカートの中がちらりと見え、加持は心臓がドクンと脈打ち、血液が頭から勢い良く噴き出るのを感じた。
リツコの高角度ミサイルキックをミサトはかろうじてかわすが、床に転がった加持に足を取られ、その上にまともに倒れ込んだ。ミサトの胸が血塗れの加持の顔の上にのしかかり、彼の呼吸を完膚無きまでに止める。加持は死んだ親戚と涙の再会を果たしかけた。
「邪魔よ!加持!!」
そう言うと、ミサトは加持を蹴り飛ばして、リツコの牽制に使う。飛来する加持の体をリツコはかわすと、拳を固めてミサトに飛びかかっていった。
加持のことを忘れて始まる女の醜い争い。けたたましい叫びと破壊音の中、ズリズリと床を這いながら逃げ出す加持。かろうじて生きていたらしい。
荒い息をつき、血をポンプのように吹き出しながら机に手をかけると、何とか身を起こす。
血は止まっていないが、すでにリツコ特製の弛緩薬やミサトの一撃からだいぶ回復していた。さすがは超一流のスパイ。痛みや薬物に対して強い抵抗力と生命力を持っている。
「ふ・・・二人とも・・・それくらいに・・・したら、どうなんだ?」
それでも、まだ舌が痺れているのかとぎれとぎれに話しかける加持兄ぃだった。
「・・・それもそうね。ミサト、休戦にしましょう」
「・・・分かったわ。命拾いしたわねリツコ」
ズタぼろの部屋の中、口ではそんなことを言いながら睨み合うネルフのダーティ・ペア。血が止まった加持の背中に冷や汗が流れる。
(逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、今逃げたら後でもっとひどいことになる。だから逃げちゃダメだ)
「葛城、久しぶりの再会でしかも今日はクリスマス・イブなんだぞ。そんなに喧嘩腰にならなくても良いじゃないか」
「あんたにそんなこと言われるとはね。
・・・だいたい、さっきのアレは何よ!?リツコと抱き合ったりして!!まったく女と見るとすぐこれなんだから!!」
先の光景を思い出したのか、矛先を加持に向けるミサト。それに対して慌てて曖昧な笑みを浮かべながら言いわけをする加持。リツコもやれやれといった感じで再びモニターを見つめなおす。って、アレはリツコさんのせいじゃなかったっけ?
「だって、これが俺の性格なんだよ。
それに葛城が怒ることないだろ?もう俺とはなんでもなかったんじゃないのか?」
そこまで言うと、流し目でミサトを見つめ、ぱちりとウインク。
「・・・それとも、まだ俺に未練があるとか?」
ミサトの顔が違う意味で赤くなった。刹那、凄まじい風切り音とともに飛来する拳を紙一重でかわす加持。余裕を見せたようだが、壁のへこみ具合から手加減が全くないことを知り青くなる。
「いくら若気の至りとはいえ、こんなのと付き合ってたなんて人生最大の汚点だわ!」
「何イライラしてるんだよ。顔にしわが寄るぞ」
「うっさい!!!」
それでも軽口を叩く加持に怒鳴り返すミサト。加持はさすがにからかいすぎたと思ったのか話題を変える。それがどんな事態を引き起こすか知らずに。知っていたら決して加持は口には出さなかっただろう、たとえ結果三人の中がギクシャクしたままだとしてもだ。残念ながら神ならぬ加持にはそんなことは分からなかった。
「悪かった、すまんすまん。
それより葛城は、7時からのパーティーに出席するのか?」
「そのつも・・・ちょっ、リツコ!?な、なんて目をして私を見るのよ!?」
「何?その7時からのパーティーって?」
おどろおどろ。そんな擬音を立てながら二人に忍び寄る赤木リツコ博士30歳独身。
「何って。今日の7時から作戦部主催で行われるクリスマスパーティーじゃない。知らなかったの?それより怖いんだけど・・・」
「そんな話聞いたこともなかったわ。それで、誰が出席する予定なの?」
「誰って・・・とりあえず名前がある人はたいていみんな出席予定よって・・・リツコぉ!?」
突然ガスマスクと、得体の知れない猫マークのついた噴霧機を手にするリツコ。いつの間に彼女の部屋にテレポートしたのだろうか?
「何?私にパーティーのことを秘密にしていた人たちにちょっとお仕置きするだけよ。大丈夫、死にはしないわ」
物騒なことを言うリツコにミサト達の額に縦線が走る。
((やばいよ(わ)、こいつ!!))
「「だからといって、そこまでしなくても良いでしょう(だろう)!!」」
「いいえ!許せないわ!!!私だけはぶんちょにするなんて、絶対に許せないわーー!!!」
「落ち着きなさいよ!!出席者にはシンジ君達チルドレンもいるのよ!!彼らを入院させるつもり!?」
「そうだぞ、リッちゃん!お仕置きするなら君にパーティーのことを伝えなかった奴だけで十分だろう!?」
リツコを羽交い締めにする加持とミサト。だがリツコは二人を引きずったまま部屋の外に向かう。引きこもって研究一筋のはずのリツコのどこにこのような力があったのか?ミサトと加持は、リツコの底力を感じて冷や汗を流した。
背中にミサトと加持をはやしたままリツコが叫ぶ。先の戦いの疲労や、荷物の重さなどまるで感じさせない人外ぶりである。
「誰よ!!私に教えなかった奴って!?」
「えっと・・・リツコに連絡するはずだった奴って・・・あ、私だ」
鉄より想い沈黙の後、部屋の中に煙が充満した。
だが、完全防音壁により部屋の騒ぎが外に漏れることはなかった。
<ネルフ大ホール>
実にたくさんの人ごみの中、襟刳りの大きな、大人向けの赤いドレスを着たアスカがグラス(中身はジュース)を片手に立っていた。薔薇をモチーフにしたそのドレスは、14歳のお子さまとはいえ、年齢以上に成熟した彼女の魅力を十二分に引き出している。海上の視線を半ば独占状態の彼女が何をしているかと言えば、落ち着き無くキョロキョロと人を捜していた。横でいろいろ話しかけているヒカリの言うこともあまり聞いてはいない。ちなみにヒカリはドレスではなく、よそ行き用の少し大人びた服である。もう少し詳しく言えば、彼女の性格をよくあらわすようなピンク色のひらひらワンピースである。
「ちょっと、アスカ。何してるのよ?」
あまりにも露骨に無視されているように感じたヒカリが、少し強い口調でアスカの名前を呼んだ。
さすがに声に含まれる不快なイントネーションに気がつき、アスカが申し訳なさそうに答える。
「あ、ごめんヒカリ。ちょっと人を捜してるんだけど、見つからなくて・・・」
「探しているって・・・碇君?」
とたんに赤い顔をしてヒカリを半目で睨むアスカ。せっかくのドレスと化粧も、その顔で台無しだったりする。
「だ、誰が馬鹿シンジなんかを探してるってぇのよ!?
私が探しているのは、加持さんよ(ハ〜ト)」
うっとりとした目でそう言うアスカにちょっと引くヒカリ。
「ふ〜ん。そんなに格好良かったかなぁ、加持さんって。なんだか軽薄そうな感じがしたけど・・・」
アスカの言葉に納得しようとせず、先頃会った加持の姿を思い出すヒカリ。真面目な彼女には、どうやら加持がお気に召さなかったようだ。頭の中で加持と並ぶアスカを想像し、似合わないなと結論づける。
少し呆れたヒカリの視線に気がつかず、アスカは胸を張って言葉を続けた。
「それはヒカリがまだまだ子供だからよ。ヒカリも大人になればあの人の良さが分かるようになるわ」
「まるでアスカがもう大人みたいな言い方ね。背伸びするのも良いけど、あまりやりすぎると転んじゃうわよ」
アスカの本性というか内面をある程度理解しているヒカリがそう忠告する。ヒカリは何となくアスカのことを出来の良い妹のような目で見ていた。それ故の忠告だったのだが、忠告された当人は渋い顔をしていた。
「ふんだ。・・・それにしても加持さんどこにいるんだろ?」
「加持さんは知らないけど、碇君ならあそこにいるわよ」
ヒカリの少し面白がっているような言葉に、ムッとするアスカだったがしっかりと目はヒカリの指先を追っていた。
その先にはシンジがビシッとした黒のフォーマルを着ているのが見えた。その中性的な容貌と優しげな微笑みのこともあり、どこか中学生らしからぬ雰囲気を持っていた。もちろん服の見立てはユイである。シンジを1時間近く着せ替え人形にした甲斐があったという物だろう。先のアスカ以上に異性からの視線を集め、すっかり舞踏会の王子様だった。それだけではなく引き立て役たる、迷彩服(正気か!?)のケンスケとやっぱりジャージのトウジも忘れてはいけない。彼らのおかげでシンジはその魅力を150%引き出していた。
「格好良いわね、碇君って。そう言えばアスカ知ってるの?碇君って結構人気あるのよ。
あれ・・・ちょ、ちょっとアスカ?」
「・・・あ、ヒカリ。べ、別になんでもないわよ!気にしないで!」
どこか遠くを見るような目をしているアスカにヒカリが慌てて目の前で手を振る。それで現世に帰還するアスカだったが、彼女がシンジに見とれていたことは明白だ。当然それに気づいているヒカリが意地悪にアスカに尋ねる。さっき無視されたことを少し根に持っているらしい。それとも、彼女のお目当てがあまりにも場違いな格好だからだろうか。
「ふ〜ん。ま、そう言うことにしといても良いけど。・・・綾波さん達はどうするの?」
彼女の言葉道理、シンジの周りには藤色のイブニングドレスのマユミや、包帯が目立たないように布地の多い若草色のドレスを着たマナ、黒色で揃いのドレスを着た綾波姉妹がいた。後ネルフの礼服を着たマヤ達も。
本来人ごみが苦手なシンジだが、最近のユイ達の教育のせいか物怖じせずに彼女たちと会話をしている。それがまた妙に人を引きつけ、周囲の婦女子の目が艶を帯びる。はっきり言ってモテモテ状態。加持を超える女コマシになる素質は十分だ。
「この料理もなかなか美味しいけど、シンちゃんの方がもっと美味しいわね」
「そうなんですか?一度シンジ君の手料理を食べてみたいです。・・・もちろん、お返しはしますけど」
「山岸さん、いつの間にシンジのことを名前で呼ぶようになったの?私が入院している間にいろいろあったみたいね。なんかずるいわ」
「もぐもぐ」
マナ達の誉め言葉にシンジが返答をする。やはり誉められてるせいか少し嬉しそうだ。
「そんな、僕はそんなに大したことないよ。それにそんなこと言ったらこの料理を作った人に失礼だよ。
・・・なに、綾波?」
「もぐもぐ。・・・碇君の方が美味しいわ。私、肉嫌いだけど碇君の料理は好き」
「あ、ありがとう。綾波。お世辞でもそう言ってもらえると嬉しいよ」
レイの言葉にはにかんだような笑みを見せる。狙ってやったわけではないがその笑顔に真っ赤になるレイ。つられてシンジも赤くなる。まるでラブコメのような2人。
「そう、良かったわね。それにお世辞じゃないわ。もぐもぐ」
「・・・母さんみたいな事言うね。綾波は」
「何を言うのよ。(ポッ)」
アスカはいい雰囲気(?)のシンジとレイにムッとした。加持を探していたはずなのにそれを綺麗さっぱり忘れると、シンジに向かってつかつかと歩み寄る。ヒカリはアスカの後ろ姿を、期待半分、これから起こりうる可能性への恐怖半分で見ていた。
やがて、彼女がシンジに向かって歩み寄ってきていることに、シンジも、周りの少女達も気づいた。
一瞬、彼女たちの目と目の間で火花が散る。
「あ〜らシンジ。女の子に囲まれてモテモテねぇ。まったくでれでれしちゃって、鼻の下伸ばしてるんじゃないわよ」
「別にアスカには関係ないだろ。それに僕はでれでれと鼻の下を伸ばしてるつもりはないよ」
思いの外強いシンジの答えに、アスカは一瞬たじろぐ。まさか彼が自分にこんなきついことを言うとは思っていなかったのだ。実は彼は少し酒が入って強気になっていた。それにレイ達に囲まれていることと、自分がいつもとあまりにも違う格好をしていることに勇気づけられていたこともあった。アスカは何とか言い返そうとするが、シンジの目を見ているうちに何も言えなくなる。それでも何とか口を開くが、それはいつもの彼女の言葉とは思えないほど弱々しかった。
「あ、そう・・・。
ねえ、さっきのことまだ根に持ってるの?あんまりくだらないこと気にしてると禿げるわよ」
「忠告ありがとう。でも用がそれだけならあまり話しかけないでくれないかな」
シンジの先ほどまでとは180度違う冷たい言葉に、事情を知らないマナやマユミ、そしてトウジ達の動きが止まる。今シンジとアスカがかなり深いレベルで喧嘩していることに彼女らも気づいたからだ。
次いで彼女たちの心に浮かんだ言葉は、
(((チャ〜〜ンス!! じゃなくって、これってかなり深刻なんじゃないかしら?)))
「な、なによ男がいつまでもつまらないことをうじうじ気にして・・・。
ホント加持さんとは大違いよ!」
ムキになったアスカの言葉を聞いた瞬間、シンジの顔が強張る。
「どうせ、僕はつまらない男だよ!加持さんみたいにはなれないよ!もうほっといてよ!!」
周りの人間は喧嘩の原因に気づき、言葉を失う。
アスカも自分がとんでもない失敗をしたことに気づいたが後の祭りだった。顔色を失っているシンジに何か話しかけようとするが、気の利いた言葉が浮かんでこない。そのままおろおろしている間に、シンジはアスカから逃げるように離れていった。
アスカもシンジも、そしてトウジでさえもその日の食事はまずく灰の味しかしなかった。
次の日彼らは朝起きたときから一言も口を利かなかった。そんな彼らを困った目で見るキョウコ。ユイはアメリカ支部へナオコと共に行っているため、彼女がネルフ本部及び碇家の最高責任者なのだ。はっきり言って困るなんてもんじゃない。
「ねえ、アスカちゃん。シンジ君と何かあったの?」
「別に・・・」
「何もありません」
見事にシンクロして答えるが、目を合わせようともせず心のユニゾンはまったくとれてはいない。
そんな彼らを見て心の中でため息をつくキョウコ。
(やれやれ、こんなにひどい喧嘩をするとはね。いつかは絶対にしなければいけないことだけど、何も今しなくてもねぇ。
ミサトさんも何故か倒れてるし、こんな時に使徒が来たりしたらどんなことになるか・・・)
彼女がそこまで物思いに耽ったときだった。
突然、碇家の緊急回線がつながり、本部からの守秘回線が開く。碇家のリビングに警報が響いた。
『警戒中の巡洋艦ハルナより入電!!紀伊半島沖にて巨大な潜行物体を発見!!データを送る!!』
「「「敵襲!?」」」
<ネルフ本部>
「受信データーを照合。波長パターン青!!使徒と確認!!!」
日向がハルナからのデータを分析し報告する。
その報告を聞き、建前上ネルフで2番目に偉い冬月が朗々と号令をかける。滅多にない出番に嬉々として、とても嬉しそうに。
「総員第一種戦闘配置!!」
新世紀エヴァンゾイド
第八話Aパート 「 瞬間、心、重ねて 」
作者.アラン・スミシー
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「先の戦闘によって第三新東京市の迎撃システムは大きなダメージを受け、現在までの復旧率は26%。
実戦における稼働率はゼロと言っていいわ。おまけに改修途中だったからゴジュラスとアイアンコング以外に使えるゾイドは無し。
したがって、今回の迎撃は上陸直前の目標を水際で迎え撃ち、一気に叩く!
Gならびに、コングで交互に目標に対して波状攻撃、近接戦闘でいくのよ。今回新しく追加装備された武器の威力は今までとは桁違いに強力だから、扱いには注意してよ。
着陸したら即座にフォーメーションをとって・・・良いわね2人とも!」
「はーい。ママ、まかせといて!」
「シンジ君も良いわね?」
「分かりました」
表面上は普通に聞こえるが、どこかに暗さを感じさせる二人の言葉にキョウコの心に不安がよぎる。
「・・・じゃあ、行くわよ。(本当に大丈夫なんでしょうね?)」
キョウコが合図をすると共に輸送機から切り離される2体のゾイド。
地表に激突する寸前で、姿勢を整えると見事な着地を決める。そのまま、近くの輸送車が積んできたソニックグレイブを携える赤色に塗装され直したアスカのアイアンコング。単に塗装されなおしただけではなく、ビーム砲や対空ミサイル等が追加されており、現在はアイアンコングMk.2と呼ぶべき状態である。
同じく2門の大型ビーム砲とミサイルポッドが取り付けられたバックパック、通称Mk.2装備を身につけるシンジのゴジュラス。
シンジの心とは対照的に、静かに視線を沖に向ける。
「・・・来た」
シンジの呟きに呼応するかのように突然海面が割れ、直立した海星の様な物体が出てきた。
第七使徒、イスラフェルが姿を現したのだ。
姿を現した使徒はそのまま動こうとはせず、シンジ達の方をじっと見据えている。
「攻撃開始!!」
キョウコの号令が響いた。
「じゃあ、あたしから行くわ!援護してね!」
「・・・・・・・・・」
アスカの言葉に無言のシンジ。そのまま一言も口をきかずに肩の大砲と左腕の四連速射砲を撃ちまくる。その攻撃は全て使徒のATフィールドによって阻まれるが、その間にアスカは水没したビルを八艘飛びの踏み台にして使徒の頭上高くに飛び上がった。
そして空中で素早くグレイブを構えると、使徒の頭から真一文字に振り下ろした。
「ぬあああああああああああああっ!!」
ずびゅうぅぅぅっ!!!!
そんな気持ちの良い音を立てて真っ二つに切り裂かれる使徒。
『よくやったわ!アスカちゃん!』
アスカはキョウコの言葉に嬉しそうな顔をするが、シンジからはやはり無反応なことに少し寂しそうにした。それでも持ち前の負けん気を出してシンジに話しかける。
「どう、シンジ?戦いは常に無駄無く美しくよ!」
「・・・お見事」
だがシンジはたいした返事をしようとはしない。アスカの顔が今度は怒りにゆがんだ。
(まだ根に持ってるの?もういつまでもうじうじうじうじ・・・何がそんなに気に入らないのよ?)
(何で僕に振るんだよ。どうせすぐ加持さん加持さんって、言うくせに・・・。どうせ僕のことは加持さんの代わりぐらいにしか思ってなかったくせにさ)
そんな二人の内心の葛藤に少し眉をひそめながらもキョウコが語りかける。
『何があったかは知らないけど、喧嘩は後にしなさい。撤収よ』
「「了解」」
そして、アスカが使徒に背中を向けたときだった。
突然使徒の二つに割れた体が蠢き始めた!
それに気づいたシンジが警告の叫びをあげる。
「アスカ!まだ生きてる!!」
「ええっ!?」
思わずアスカが振り向くとそこには二体に分裂し、手長猿のような格好になった使徒が居た。
「嘘〜〜〜〜〜!?何よ、これ〜〜〜〜〜〜〜!?」
そのまま掴みかかってくる使徒に再度グレイブをふるう。
確かに切り裂いたと思った瞬間、その使徒は更に分裂した。
正確に言うならば、元の半分ほどの大きさのコア付き使徒一体と、元の4分の1ほどの大きさのコア無し使徒2体にである。
同じく、シンジが砲撃を食らわした使徒の片割れも、3体に分離する。
そのまま凄まじいばかりの連係攻撃で襲いかかる6体の使徒。
『いくら何でもインチキすぎるわっ!!!』
<数時間後・ネルフ本部>
ブリーフィングルームにプラグスーツ姿のままのシンジとアスカ、その他のチルドレン全員、そして幹部が集められ先の戦闘のスライドを見ていた。
『本日、午前10時58分15秒。6体に分離した目標『甲壱、甲弐、甲参』の攻撃を受けたゴジュラスは、駿河湾沖合2Kmの海上で沈黙』
海上に頭だけを出して沈んでいるゴジュラスの映像がスクリーンに映し出される。
『同20秒。アイアンコングは目標『乙壱、乙弐、乙参』の攻撃により活動停止』
アイアンコングは頭から地中に埋まり、逆さまになっていた。
『この状況に対するZ計画責任者のコメント』
『すっごく無様ね』
さんざん嫌みを言われて、とどめのリツコの言葉に耐えられなくなったのか、アスカが大声を上げた。
「もう、シンジがぼけぼけっとしてるからやられちゃったじゃない!!」
「なんだよ!!人のせいにするなよな!!先走ったアスカが悪いんだろ!!」
「せっかく格好いい所を加持さんに見せようと思っていたのに、めちゃくちゃじゃないのよぉ!!」
再び加持の名前を聞いてシンジの顔が凍り付く。
アスカもその顔を見て黙り込む。
そのまま黙り込む二人を無視してアナウンスは続く。
『午前11時3分をもってネルフは作戦遂行を断念。国連第二方面軍に指揮権を譲渡』
「全く、恥をかかせおって。」
冬月が苦虫をかみつぶしたような顔で愚痴るが、それがネルフの面子の為に出たのか、それともユイとキョウコへの恐怖から出たのかは定かでない。たぶん後者だ。
『同05分、新型N2爆雷こと反応爆雷により目標を攻撃』
「また地図を書き直さなきゃならんな・・・」
爆発によってごっそりと削られた海岸線を見てつぶやく冬月。これから成さねばならないであろう、事後処理を想像してちょっと顔色が悪くなった。
『構成物質の28%の焼却に成功』
「死んでるんですか?これ」
2体の焼けただれたコア付き使徒と、その周囲をガードするように立つ無傷の小型使徒の映像を見てアスカがたずねる。
「足止めにすぎん。再度侵攻は時間の問題だ」
冬月が苛立ちをぶつけるかのようにアスカをたしなめる。もちろん言い過ぎないように気をつけてはいる。泣かせたりしたら、一大事だ。
「ま、建て直しの時間が稼げただけでも儲けもんっスよ」
冬月をリツコの細菌兵器から復活した加持がなだめる。半端じゃない生命力。ちなみにミサトはまだウイルス性の腹痛でダウンしている。
「・・・パイロット両名」
「「は、はい」」
「君たちの仕事は何かわかるかね?」
少し考えて二人が答える。こんな時にも関わらずしっかりユニゾン。なんだかんだ言っても仲がいいかも。
「「使徒を倒すこと・・・?」」
見事に自分の考えていた通りの返答をされて冬月の顔がゆがむ。
(こ、小癪な・・・。君たちがここで言う科白は『ゾイドを動かすこと・・・?』だろう!これでは次に続かんではないか!
こんな事俺のシナリオにはないぞ!)
分不相応なことを考えて固まる冬月を無視して、キョウコが言葉を続ける。
「その通りよ・・・でも勝てなければ意味はないわ。
こんな醜態をさらすために私達ネルフは存在している訳じゃないのよ」
それだけ言うと、キョウコと冬月は退出した。なぜか冬月の顔は恐怖に歪んでいた。
それを見送りながらアスカが愚痴る。
「どうしてあんなに怒るの?」
それに答える加持。キョウコに怒られて、いつになく気弱なアスカをなだめるように優しく語りかける。
「大人は恥をかきたくないんだよ」
「あの、ミサトさんは?」
飛鳥と話す加持に少しばかり嫉妬しながらも、シンジが聞く。彼はどうやら加持のことがあまり好きではないようだ。急に現れて、彼のお姉さんのような存在と、ちょっと気になる同居人の心を奪い去った(ように見える)のだから、無理ないかもしれない。シンジの言葉の端々に感じられる棘に、加持は少し目を細めた。アスカ共々お子さまだなと悟ったからだ。
それはともかくシンジの問いに、加持はたらりと汗を流しながら答える。
「ああ、あいつはまだ病院のベッドの上でうんうん呻ってるさ」
「ほんまでっか!?は、はようお見舞いに行かへんと!!待ってて下さい、ミサトさん!!
イインチョ、先に行っとるで!!」
「す、鈴原〜!・・・もう、病院の場所も知らないのにどこに行こうってのよぉ?」
加持の言葉に横で聞いていたトウジが反応し、唖然とするイインチョ達をおいて部屋から飛び出す。
「ば、馬鹿じゃないの・・・あいつ?」
「じゃあ、俺達も行こうか・・・どうせ霧島も病院に行かなきゃならないんだろ?」
トウジのいかれっぷりにアスカがつぶやいた。それに反応してイインチョ達も正気を取り戻した。ケンスケの促しに従ってぞろぞろと部屋から出ていくチルドレン。
加持は少しだけ笑いながらそんな彼らを見つめていた。
「ただいま〜」
「あらおかえりなさい」
習慣でただいまといったミサトだったが、誰もいないと思っていた室内に人が居ることに少し驚く。
「何で、リツコがここにいるのよ?それに、お見舞いにこないと思ったらレイ達まで・・・」
堂々とリビングでお茶とお茶菓子を飲み食いしている三人。
かって知ったる何とやらの生きた見本に、ミサトは少し目眩を感じた。このままでは、壁をぶち抜いて大家族になりかねない、ミサトは心の底からそう思った。そんなことになったら、ますますシンちゃんとラブラブになれない!そう思ったのは秘密だ。
顔に縦線を入れて、睨み付けるミサトに構わずリツコが言葉を続けた。
「これから、あの使徒に対する作戦行動を伝えようと思ってね。明日しても良いけど、もうそんなに時間がないのよ。
そういうわけで、鍵をこじ開けさせてもらったわ」
さらっと言ってのけるリツコに改めて呆れるシンジ達。
「あんたね〜。それより、作戦ってどんなことすんの?」
「それはこれから説明するわ。ミサト、あの使徒についての情報は聞いたわね?」
「一応ね・・・」
「充分よ。
・・・第7使徒の弱点は1つよ。分離中のコアに対する2点同時の荷重攻撃。
つまり、ゾイド2体のタイミングを完璧に合わせた攻撃です。その為には2人の協調、完璧なユニゾンが必要よ。
そこで、あなた達に使徒が再生を終えるまでの六日間、一緒に暮らしてもらうわ」
「それって・・・今までとどう違うんです?」
シンジのつっこみに薄く笑うリツコ。目が光っていることにレイですら引く。
「それはね・・・あなたしだいよ。シンジ君」
「どういう・・・事ですか?」
「つまり、これからあなた達は同じ部屋で寝泊まりしてもらうのよ。できれば同じ布団でね」
N2爆弾^2発言!!!
「な、な、何で私が馬鹿シンジと一緒の布団で寝起きしないといけないのよ!!!何か間違いがったらどうするのぉ!!?」
真っ赤になって詰め寄るアスカにリツコはまた薄く笑いを浮かべながら返事をする。
「別に良いじゃない。キョウコさんは喜んでGOサインを出したわよ。今回の作戦はユニゾンと言うより強力なシンパシーが必要なのよ。
まあ、一緒の布団は言い過ぎだけど、体内時計を合わせといた方が良いのよ。
そのためには一緒にトレーニングをして、一緒に食事をして、一緒の部屋を使ってもらった方が良いのよ。
・・・それに勘違いしているけどアスカ、シンジ君の相手はあなたと決まったワケじゃないのよ」
「それって・・・まさか!?」
「そうよ。相手はシンジ君、あなたが決めるのよ。
とりあえず大型ゾイドのパイロットであるレイ、レイコ、アスカの3人のうちからね」
シンジとアスカ、ついでにミサトの顔色が青くなる。横ではレイとレイコの顔がちょっぴり赤くなっている。
「「「ええええええええぇぇぇぇぇっ!!!!!!!?」」」
「時間がないのよ。命令拒否は認めないから。恨むなら作戦を立てた加持君を恨みなさい。
それから早くパートナーを選んでちょうだい。シンジ君」
リツコはにこやかに笑ってそう告げた。
(三人一緒って訳にはいかないのかな?)
さりげなく外道な事を考えるシンジだった。
Bパートに続く