---------------- そして、未来へ... Epilogue ------------------

 

あれから5ヶ月...。 今も、混乱は続いている。 世界中が。 そして。

僕のまわりも。

 

変わった事。 日本に、四季が戻った事。 地軸が、セカンドインパクト前

と同じに戻ったから。 抑えきれなかった、ちょっとした地震と、火山の噴

火。 ...あの人が、抑えてくれたから。 あれだけの変化の割に、信じら

れないほど被害は少ないって。

 

ゼーレの消滅と、政治の混乱。 でも、これはよくわかんないや。 何がで

きるという訳でもないし。 ミサトさんは、そんなこと気にしてないで、大

人に任せときなさい、って。 どうやら、父さんが裏で暗躍してるらしい。

そういうの、得意中の得意なんだって(--;。

 

そう。 死んだと思った人達は、みんな帰ってきた。 ミサトさんも、リツ

コさんも、父さんも。 ...そして...母さんも。 みんな、あの人が還して

くれたんだ...最後の、力で。 僕には、できなかった事。 旧い人達は、

旧い力でしか取り戻せないから。

 

でも、死んでから時間が経ちすぎた人は駄目だった。 だから、加持さんは

もういない。 ...殺されてたんだ。 ミサトさんの目の前で。 犯人は見

つかってないけど、多分、ゼーレの人間だろう、って。 他のところでは、

NERVの保安諜報部は出し抜けないって。 加持さん本人は別として。

これを教えてくれた時のミサトさんの顔、きっと忘れられないな...。

 

人間の魂を取り込んでいたEva。 帰って来れたのは...母さんだけだっ

た。 アスカのお母さんも、トウジのお母さんも、一度死んだ後でサルベー

ジされたから...帰って来れなかったんだって。 母さん、そのことを気に

してるみたいだけど...僕も、一人だけ母さんが帰ってきて、ズルしたみた

いな気分だけど...。 でも、大切なのはこれから。 そうだよね? 真一

さん...。

 

母さんといえば。 初めて見た時は...ううん、違うな。 還ってきた時は、

ホントにびっくりした。 初号機の中に母さんが居る事は気付いてたけど、

直接会うまでは結局顔も思い出せなかったから...(^^;。 レイと、同じ顔

してるんだもんなぁ。 色と歳は違うけど。 一目で、レイが母さんのコピ

ーだって分かってしまった。 悲しいくらいに。 母さんを見て...きょと

んとして、次に、途方に暮れて顔を見合わせる僕たちを、母さんは、「心配

ないわ」って笑って抱きしめてくれた。 ちょっと恥ずかしかったけど、母

さんの胸は、とても暖かかった。 ずっと忘れてた感覚。 レイにとっては

初めての...「母親」の感触。 そして、母さんは教えてくれた。 僕とレ

イが一緒になっても大丈夫だって。 母さんがEvaに取り込まれる前に、

テストをしたんだって。 当時の...GEHIRNと呼ばれて頃のたNERV

で、とりあえず日本支部だけだけど、職員とその家族の総当たりで、え〜と、

遺伝子適合...だったかな? そういうののテストをやったら、僕と母さんの

組合せは、「婚姻を強制すべき」と出たんだって。 でも、僕はまだ小さか

ったし、父さんと母さんの組合せも同じ結果だったそうだけど。 だから...

レイの正体さえバレなければ絶対大丈夫って。 それに、レイと母さんは別

人だと証明できるんだって。 え〜と、ミタ...ちがう、ミトコンドリアって

いうのが違うからって。 よくわかんないや。

 

そうそう、忘れちゃいけないね。 トウジは...なくなった足が生えた(^^;。

みんなに、「トカゲ男」なんて言われてる(^^;。 理由は...僕が、レイを

取り戻す時に使った力が余ったかららしい。 トウジの妹も全快した。 他

にも、世界中で、セカンドインパクトの後に生まれた子供で、生まれつきじ

ゃない子だけだけど、見えなくなった目が見えるようになったとか、いろい

ろあったみたいだ。 怪我の功名、っていうのかな?こういうの。 でも、

以前と変わらず元気に走りまわるトウジを見てると、よかったな、って思う。

父さんの事、まだわだかまりが完全に解けた訳じゃないけど、最近、少しは

素直になれそうな気がしてきてる。

 

それから。 今、僕は、父さんと母さんと...それと、レイと暮らしてる。

父さんは暗躍中(--;でほとんど家にいないけど。 母さんとレイと、3人で

買い物に行ったりすると、よく3人姉弟に間違われる(^^;。 そうだよなぁ、

母さんとレイは色違いだけど同じ顔してるし、僕も母親似だし、とどめは、

母さんは20台半ばくらいにしか見えないんだもん。 11年前、Evaに

取り込まれた時のままの体で還ってきたから。 体は、27歳なんだもんな

ぁ。 ミサトさんより若いよ(^^;。 でも、母さんは、間違われるといつも

きっちり訂正してる。 その度に、「私、これでも38歳よ」って。 ミサ

トさんやリツコさんが歳を気にしてるのとはえらい違い(^^;。 こないだ理

由を聞いてみたら、「だって、3回も産んだ子と姉弟なんて、絶対イヤ!」

だって(^^;。 そうか。 そうだよなぁ(^^;。 母さんのおなかから生まれ

た1回と、初号機のコアから還ってきた2回と。 母さんにとってはその3

回とも僕を「産んだ」という感覚らしいから。 でも、恥ずかしいから、間

違われる度に人前で抱きしめるのはやめて欲しいなぁ(^^;。 レイのことを

遠縁の娘ってことで押し通してるのは、僕たちの将来を気にしての事みたい

だ。 母さんは、「そうじゃないって証明できちゃうしね。」って言うけど、

ホントは、レイのことも「娘」ということにしたいらしい。

 

え? アスカはどうしたって?

 

アスカは、あれからしばらく入院してたけど、退院してからはまたミサトさ

んと暮らしてる。 でも、父さんがいない時は、大抵ウチに入り浸ってるよ。

すっかり、母さんに懐いたみたいだ。 あのアスカがねぇ(^^;。 でも、ア

スカも、僕と同じで、「母親の愛情」に飢えてたからね。 ドイツのお義母

さんは「嫌いじゃないけど苦手」だそうだし。 あ、ミサトさんが食事当番

の日は、父さんがいてもウチに来てるな(^^;。 避難、だよなぁ、これ(^^;。

アスカにとって、父さん以上に、ミサトさんの料理はコワいらしい(--;。

僕も、コワいけど(^-^;。

 

ミサトさんといえば。 気になるんだよなぁ。 アスカによると、ここ1ヶ

月くらい、お酒の量が激減してるって。 以前なら1日で無くなった量が、

2週間保ったって。 気分悪そうにしてる事が多いそうだし。 母さんは、

何か思い当たるみたいだ。 昨日、ミサトさんと電話で話してた。 お医者

さんに行くように約束させたっていってたけど、その割に「多分心配ないわ

よ」って笑ってるんだ。 何なんだろう、一体。 悪い病気じゃなければい

いんだけど。 あの人、とことん不摂生だからなぁ(--;。 だいいち、ご飯

の匂い嗅いで吐くなんて、普通じゃないよ。 何かというと、レモンばかり

かじってるそうだし。

 

え? 何? あぁ、レイのこと? レイのことは...また今度ね(^^;。 ま

ぁ、いろいろあるけど。

 

でも、これって、「幸せ」なことなんだよね。 父さんと母さんが居て。

レイまで側にいてくれる。 ホントなら、当たり前のはずの事。 でも。

この時代では、この街では、当たり前でない事。 ...そう、僕は幸せだよ。

それに、今でも思い出すんだ。 あの日の事。 戦いの幕をひいて、母さん

も還ってきたあの日。 みんなが、「おめでとう」と言ってくれた。 僕は

言いたい。 「ありがとう」と。 逃げてばかりいた今までの自分に、「さ

ようなら」と。 そして、全ての「仲間たち(チルドレン)」に、未来を...。

 

------------- そして、未来へ... Epilogue End. -----------------


                    <エピローグ(後書き)へ続く>


 
Junchoonさんの部屋に戻る/投稿小説の部屋に戻る