プルルルル・・・・
    プルルルル・・・・

ガチャッ

「はい、もしもし」

「あ、シンちゃ〜ん?私だけど」

「あ、ミサトさん」

「そっちはどう? 二人っきりだからってアスカに変なコトしちゃ駄目よん?」

「・・・で、何です?」

「いち 保護者として様子を聞くためにかけたのよん(プシュッ)」

「お酒飲みながら・・・ですか?」

「あはっあははっ ま、良いじゃ無いの。堅いこと言わないの」

「はぁ、良いですけど・・・」

アスカ・・・無反応だったな・・・

「だから、こっちはビール美味しくてね〜」

一緒に住んでたから、少しは離れたく無いっていう気持ちが有るのかと思ってた

「泡の立ち方が違うのよね〜」

それって、思い上がり?

「そうそう、こないだ、近くのバーでね」

アスカの中の僕の存在は・・・・

「・・・だったのよ〜。凄いでしょ〜?」

何も・・・感じないのかな・・・

「・・・って感じでムカツクのよね?そう思わない?」

僕は・・・苦しい・・・

「・・・な分けよ。ってシンちゃんきーてる?」

アスカ・・・

「シンちゃ〜ん?」

アスカ・・・

シンちゃん!



「え、あ、はい。そっちのビールは美味しいですか?」

「・・・・ま・・・あね・・・で・・・・本題なんだけど」

「はい?」

「引越し・・・考えてるんだって?」

「・・・・」

「マヤちゃんから聞いたわ」

「そうですか・・・」

「本当? なのね?」

「ええ。そのつもりです」

「アスカと・・・・何か有った?」

「何で、皆、二言目にはアスカの名前を出すんですか? いい加減にしてください!」

「だって・・・ねぇ・・・二人はセットだと思ってるからじゃない?」

「僕とアスカは・・・タニンですから・・・」

「・・・・(絶対何か有ったわね・・・)
ま、とにかく、引越ししたいなら止めるのもアレだしね」

「・・・・」

「良いんじゃない? 寂しくなったらおねーさんの所に帰ってくるのよ!」

「はい。 あの・・・ミサトさん・・・」

「ん?」

「ありがとうございます」

「良いのよ。私は何時でもシンちゃんの味方よ!」

「は・・・い」

「部屋はこっちで探すわ。色々な都合が有るから・・・」

「はい。お願いします」

「んじゃ、アスカに替わってもらえる?」

「はい・・・」




僕はアスカを呼ぶと、すぐに自分の部屋に閉じこもった

何故かアスカと顔を合わせるのが辛かった

足早に部屋に入ると、久しぶりにSDATの音楽を静かに聞き始めた

『音の壁が僕を外の世界から守ってくれる・・・』

そんな感じがした・・・







「どう?元気?」

「・・・・」

「元気・・・じゃ無いみたいね・・・」

「・・・・別に・・・・」

「・・・シンちゃんから聞いた?」

「!!! あ・・・あんたの仕業?」

「ちょっとちょっと、仕業って・・・」

「どういう理由でシンジを別の家に連れてく分けよ!」

「アスカ!聞いて」

「別にシンジが居なくたって構わないけど、でも、シ、、シンジが可愛そうじゃない!」

「ふぅ〜ん。別にアスカは良いんだ」

「あ、、アタシは別に良いわよ。せいせいするぐらいだわ」

「じゃ、良いじゃない。シンちゃんも良いって言ってる分けだしぃ」

「そういう問題じゃ無い!」

「じゃ、どういう問題よ?」

「何でシンジを外に出すのかって事よ!」

「さぁ?私も今日マヤちゃんから聞いたばっかりだしねぇ」

「何をよ?」

「シンちゃんが引っ越したがってるって」

「!? あんたの仕業じゃ無いの?」

「残念ながら違うのよね〜・・・あんた達何か有った?」

「・・・・」

「アスカ? やっぱり何か有ったのね?」

「・・・・違うの」

「何が違うのよ」

「何も無いの・・・」

「ほへ?」

「いくら考えても、思いつかないの。私たち、前と違って落ち着いてたわ。最近は特に・・・」

「こう、喧嘩した・・・とか?」

「・・・無い。喧嘩もここ2ヶ月はしてない」

「う〜ん・・・好きな娘でも出来たかな・・・?」

「あ・・・あんたねぇ!!! 馬鹿じゃないの? 無いわよ。シンジに限って。絶対に!」

「何でムキになるのよ? 分かんないでしょ〜?」

「うるっさいわねぇ・・・」

「あ、シンちゃんと、ついに、くっついたのかしら? ん〜?」

「バッカじゃ無いの!? な・ん・で 私がシンジなんかと!!」

「あんまし、意地張ってると、本当に誰かに取られちゃうわよん?」

「切る!」

「ア・・・アス・・・」







まったく、何考えてるのよ、あの女は!

シンジと私が "くっつく" なんて!



世の中そんなに簡単に上手く行かないのよ。悔しいけど・・・

はぁあ、何時からこんなに弱い女になったのかしら。

よりにもよって、あの、馬鹿シンジに惚れるとは、私もヤキが廻ったかしらね。







プルルルル・・・・
    プルルルル・・・・

「・・・・」

ガチャッ

「あのねぇ!私はシンジの事別に何とも思ってないから!!」

「・・・?アスカ?」

「ヒ・・・カリ?」

「どしたの? はっは〜ん、夫婦喧嘩って奴?」

「馬鹿トウジみたいな事言わないでよ」

「あら、違ったの?」

「おあいにく様、って、別に私はシンジと・・・」

「良いの、良いの、分かってるから」

「くぅ〜、、、分かって無い!!」

「へへ、でさ、明日なんだけど空いてる?」

「と、特に用事無いけど?」

「久々にこっち帰ってきたらさ、良く考えてみると何にも無いのよね。生活用品とか。」

「あ、そうだね。買い物?」

「うん。付き合ってもらえるかな?」

「おっけ〜、私も何だかムシャクシャするから買い物行きたい。」

「ふふ、あんまり意地張ると・・・」

「意地張ってない!!」

「はい、はい、分かってますよ。」

「くぅ〜、、、分かって無い!!」




ヒカリは一番の友達だ。

きっと、私の考えてる事はすべてお見通しだろう。

でも、まだ、素直になれないのよね・・・。

素直にならないといけないのは分かるんだけど・・・。

このままじゃ駄目だ、きっと後悔する。

後悔しながら生きるなんて、私らしく無いわよね・・・。


ギュっと手を握りしめ、勇気を出して言ってみる。


「ねえ、ヒカリ。」

「ん?」

「あ、明日さ、鈴原も呼べない?」

「・・・!? な、、な、、、、な、、、、、、何・・を」

「ちょっと、ちょっと、勘違いしないでよ、私が鈴原に聞きたい事が有るんだって」

「何!? 聞きたい事!? アスカ、何言う気よ!」

「ふふっ、ナイショ」

「ぜぇったい呼ばない!」

「うそ、うそ。ヒカリの事じゃ無いし、ヒカリには関係無い事よ。どう?」

「じゃあ、そっちも碇君を・・・」

「駄目! 絶対駄目!」

「・・・な、、んかズルくない?」

「・・・ちょっとズルいかも・・・」

「でしょ〜?」

「ふふふ」

「くっくっく」

「あっはっは」

「あはははは」

「ね、ヒカリ。お願い!このとーーーり!」

「しょうが無いわね〜・・・」

「パンッパンッ!」

「手を合わせたってねぇ・・・誠意がねぇ・・・」

「ハンバーガー!」

「ハンバーガー?」

「奢る!」

「・・・・プッ・・・あはは、あはははは」

「ね? 良いでしょ?」

「分かったわ。私の負け。でも、ぜぇったい変な事聞いちゃ駄目よ!!」

「おーけー、おーけー」







ヒカリと電話を切ってから、私は逃げる様に布団に包まった。

一人になると、途端に不安になる。

静寂が、ココロを支配しそうになる。

今まで・・・一度も無かった感覚。

鼻の奥がツンッと痛む。




「負けない。 逃げない。 私は 惣流・アスカ・ラングレーだから。」




そして、夜が更けていく・・・

次回 直な気持ち



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