3.別れ

 

LCLの海。砂浜に横たわっているシンジとアスカ。

 

赤黒い不吉な空。瞬く星。

 

ふと、横を見るシンジ。

 

水の上に立つ制服姿のレイ。

次の瞬間、そこには何もない。

 

シンジは、上半身を起こすと、しばらくアスカを見ている。

 

シンジは、馬乗りになると、ゆっくりとアスカの首を絞める。

シンジの顔を見つめているアスカ。

 

シンジの頬に、包帯が巻かれたアスカのそっと右手が触れる。

首を絞めていたシンジの手がゆるむ。

 

すすり泣くシンジ。涙がアスカの頬に落ちる。

 

アスカ「気持ち悪い……」

 

******

 

海に向って膝を抱えているシンジ。

 

ただ横たわって空を見詰めているアスカ。

 

不意にアスカが立ち上がる。

「シンジ?」

 

つらそうに振り向くシンジ。

「?」

 

「アタシ、行くわね。」

「!ど・・・どこへ!」

「どこか。アタシの居るべき所!」

「・・・僕を・・置いて行くの?」

 

アスカは背後の山並みをじっと見詰める。

「・・・そうね。」

 

「どうして!・・僕を置いてかないでよ!・・僕には…・ア、アスカが必要なんだ!!」

 

まっすぐシンジを見据えるアスカ。厳しい表情。だがそれが不意に緩む。

「・・・・・・そう。・・・今なら、それが本当だって事、信じられる。・・・・

 

・・・でも、・・私は駄目なの!。」

 

それからシンジに背を向け、歩き始める。

そして立ち止まり、

「わたし、貴方を愛せるようになるなんて、全然、思えない。

ゴメンね・・・。今は駄目。

私は、まだ私じゃない・・・。」

 

アスカは走り出す。それをぼんやり眺めていたシンジ。

そして膝を抱えて再びすすり泣き始める。

 

やがて人々は自分の姿を取り戻し帰ってきた。復興が始まったのだ。

 

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