第11話「RIGING SUN 『Final ReasonB』」


まるで幻想のような時間。だがこれが現実。
天空から光が伸び、天から僕の脳に刷り込まれる絶対的で・・・かつ優しい声。
そして、光の道の中で泣きながら光の壁を破ろうと
両手で壁を押し続けていたアスカも、その手の力を緩めたのがわかった。

【その光に触れなさい。さすればあなたの未来の選択の道が示されるでしょう】

アスカを包み込む白く輝く光。
僕は光を押していたアスカの手のひらに合わせるように自らの手を光に寄せていった。

『シンジ、私はシンジに任せる。シンジが好きな方を選んで。
 シンジが選んだ道なら私は何も言わないし、納得できるから・・・』

そう言いながら僕に微笑むアスカ。

待ってて、今すぐアスカの側に行くよ。

そして、僕は運命の光に手を伸ばした。
手が光に触れた瞬間、閃光が世界を飲み込み僕の視界から色を奪い取る。
僕の前から空も、景色も、アスカも奪い取っていく。

ま、前が見えない!

全てが白に塗りつぶされた後に、徐々にだが視界に模様が現れてくる。
閃光は1瞬で世界を飲み込み、この世から消えていった。
そして真っ白な視界に色が認識されるほど、目に影が戻ってくる。

何だったんだ?今の閃光は?

その僕の体に再び強い光が照りつけた。暗闇に差し込んだ朝日と見間違うほどの光。
同時に夜の静寂に似合わない激しい音で、周りの空気がふるえた。

『パパァァァァァァン』

僕は光と、音の発生源を見たとき、全てを悟った。

そういう事か・・・

迫り来る巨大な壁から発せられる光と音、足下のアスファルトから受ける振動。

僕は、気が付けば高速道の本線に立っていた。

アスカの側に行くには・・・このトラックに牽かれろ・・・ってことか・・・

あっという間にその壁は僕の側に来た。
しかしわずかな選択の時間は与えられていたようだ。

でも

もう

選択は出来てる

今行くよ

・・・アスカ

さよなら

あやなみ

まやさん

とうさん


またあえるかな

・・・かあさん




目の前に迫る死という現実。
その影は僕に死という行為がどういう物なのか強制的に教えられた。
死という物を劇的に考えていた僕。
死という物は僕が考えていたほど甘い物ではないのだと・・・狂気の獣に教えられた。
甘美な物と誤認していた死というモノ。
真の姿は残酷な恐怖の旋律。

でもこの後にはアスカが・・・・・・・・・・


僕は、目前に迫るトラックを、しっかりとその目に焼き付け、瞼を閉じる。

待ってて















ドップラー効果によって通り過ぎるクラクションの音を・・・
僕は茂みの中で聞いた・・・
自らの意志で飛び込んだ中央分離帯の暗い茂みの中で・・・
は・・・
ハ・・・・・
ハハハハハハハハハハハハハハ・・・・・・・

・・・情けない
・・・・・・また・・・逃げたんだ・・・
死の後に幸福に満ちあふれている世界があると知っていたのに・・・
それでも逃げ出したんだ・・・
アスカの側にいたい・・・
何を犠牲にしても・・・
そう思ってたのに・・・

僕は・・・

ボクハ・・・

『・・・ありがとう、シンジ』

ア・す・・・k・・・・・・a・・・・・・・・・・・・・・・・・


第11戦Cパートに続く

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