2021年5月7日(Fri) 雨

副担任が皆に修学旅行のしおりを配り始めた。


今日は修学旅行の前日の為、朝からホームルームとなった。

担任の先生は休みの為、代りに副担任の男の先生が来たのだ。


アウカ:え〜!!

突然、アスカが大声を上げた。


僕とトウジはしおりを見た。

トウジは洞木さんには見えない様に僕に向き、僕だけに聞える小さな声で

トウジ:よっしゃ!

と拳を握り締めた。


副担任:どうした惣流?不満か?

アスカは立ち上り

アスカ:私が送信した、班編成表と異なります。


アスカは今や生徒会長をしている。

ちなみに洞木さんは学級委員長、トウジは風紀委員、綾波は生徒会書記

と全てアスカの息が掛っている。

僕はアスカの計略に掛り、美化委員をさせられている。


副担任:9割はそのままだ。

アスカ:肝心な所が挿し変っています。

副担任:そうだな、これは決定だ。

アスカ:え〜、どぅぇもぉ〜。

副担任:これは決定事項だ。

        皆は実習していなさい。

        惣流、廊下に出なさい。

アスカと副担任は教室を出た。


何を揉めていたかと言うと、修学旅行の班編成をアスカが決めていた。

アスカの案では、僕、トウジ、洞木さん、綾波、アスカが同じ班になっていた。

しかし今日配られたしおりには、僕とトウジは別のグループになっていた。


本来、連絡文書類はメールにて配信されている。

再度取得するには、配信サーバーより取寄せている。

このしおりを敢えプリントしたのは、改竄(かいざん)をさせない為であった。


トウジは嬉しそうに。

トウジ:よっしゃ、これで五月蝿い(うるさい)奴等は居(お)らん。

        鬼の居ぬ間に夜の町に繰出すさかい、シンジも同行せい。

        ふーぞく、ふーぞく

僕    :トウジ、洞木さんに見つかったら殺されるよ。

トウジ:せやから、シンジを道連れにするんや。

        シンジの血飛沫(しぶき)が見物やな。

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アスカは廊下に出た。

アスカ:どういうことですか?

副担任:一緒に行動してはいけないとは行ってないぞ。

アスカ:え?

副担任:しおりではあの形になっているが、

        一緒に行動してはいけないとは言っていない。

アスカ:じゃ、どうして差替えたんですか?

副担任:毎年、修学旅行で男共は夜の町に繰出していたのが、

        今年は様子が違う。

        他のクラスからの話では、

        惣流、碇の妹に、夜襲を仕掛ける計画を立ていた輩が居た。

アスカ:夜襲・・

副担任:寝床を襲う計画らしい。

        このまま君らを一緒にさせるのは危険だ。

        特にしおりに記述すると、3年生全員の目に触れる。

        だから、しおりでは別々にしてある。

        行動は自由だ。

        しかし、高校生として節度ある行動をして欲しい。

        君の行動は、全男子が注目している事を肝に銘じて行動しなさい。

        君自身は素(もと)より、碇も危険な目に遭うと言う事だ。

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2021年5月8日(Sat) 晴れ

僕達はリニア列車に乗り、一同、修学旅行の目的地である広島に向った。


今や使徒殲滅から4年が経ち、平和の尊さを再度確認する為に、

平和都市の広島が目的地となった。


広島は今から76年前の1945年8月6日に、原子爆弾が投下された。

被害はセカンドインパクトの比ではないが、半世紀以上の間、人々が後遺症で苦しんだ。


お昼に広島に到着した。

僕とトウジは女の人から逃げる様に姿を消した。


初めに、平和記念公園に行った。

今から25年前、1996年12月に原爆ドームが世界遺産として登録された。


僕とトウジは原爆ドームを見て唖然とした。

確かに使徒殲滅による爆発は、街を一つ消滅させる。


けど、これは・・何か違う。

恐ろしさを感じさせる。

人間が人間を憎みあって、大人のエゴの為に、

罪もない子供、女性、お年寄りが犠牲になっている。


第3新東京市の様に、使徒迎撃要塞都市として存在していれば、多くの人命を失う事もない。


平和記念資料館に行き、僕とトウジは元気を失った。

恐くて震えていた。


人の影が壁に残ってる。

黒い雨。

体から垂れ下る皮膚。

生地獄だ。


でも僕達は後世に伝える義務がある。

僕達ならそれが出来る。

未来は僕達が作るのだから。


僕とトウジは、疲れて旅館へ向った。

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夜19時、僕とトウジは、昼間の恐怖を少しでも忘れる為に部屋を出た。


廊下にはジャージ姿の男子生徒が大勢居た。

トウジ:なんやお前ら?

僕とトウジは浴衣を着ている。

男生徒:君らも夜這?

トウジ:アホ抜かせ!

        この学校の何処に、夜這仕掛けるだけの価値ある女がおるんや!

男生徒:君らには見る目がないな。

トウジ:お前らがおかしんや。


僕とトウジは、夜の街に繰出した。


朝方4時、僕とトウジは広島の流川を梯子して、ふら付きながら旅館に入った。

その瞬間

先生1:お前ら、今まで何処に行ってた!

生活指導の先生に見つかってしまった。

トウジ:ひっく、えろうすんまへん・・・

真赤な顔をしたトウジが答えた。

先生1:二人とも酔ってるじゃないか、こっちに来なさい。

僕とトウジは先生に引きずられて、1階の大広間に連れて行かされた。

そこには正座させられた全3年生男子が居た。

先生2:碇と鈴原、お前ら今まで何処に居た!

先生1:この二人、飲んできてます。

先生3:どいつもこいつも・・もうここも満員だ。

        碇と鈴原は、部屋に返しなさい。

先生1:いいんですか?

先生3:これ以上面倒見切れん、この際、酔っぱらいは放って置く。

僕とトウジは開放された。

廊下に大勢の男子が正座していた。

トウジ:ひっく、なんや雁首揃えて、女一人、物に出来んとは情けないの〜!

正座していた男子は一斉に、トウジを睨んでいた。


僕とトウジはふらつきながら、自分の部屋に入った。

僕    :・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トウジ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ひっく

仁王立ちしたアスカ、綾波、洞木さんが居た。

アスカが僕の頬を捻りながら

アスカ:アンタ達、何処ほっつき歩いていたのよ。

        襲われそうになって、凄く恐かったんだからね!

僕    :いたた、アスカ、痛いよ!


それから僕とトウジは、3人のアマゾーンにコテンパンにやられた。

朝方まで、僕とトウジの悲鳴が廊下に響いた。

そして残りの修学旅行は、一時たりともこの3人のアマゾーンから離れられなかった。


波乱に満ちた修学旅行となった。

/* 修学旅行 a night attack */

次回、波乱

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