これは、新世紀エヴァンゲリオンのもう1つの局面を描いた物語。
ひょっとしたら有り得たかもしれない、もう1つの物語。
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新世紀エヴァンゲリオン外伝
『邂逅』
第壱拾壱話「無限抱擁 −前編− 」
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「…確かな情報か?」
煙草を咥えながら、男はちっちっと器用に舌を鳴らした。
『はい。多少様子は変わっていますが、おそらく間違いないでしょう』
携帯電話の向こうから聞こえる声は落ち着いたものであった。
男は煙草の灰を灰皿に落とし、顎の無精髭をぽりぽりと掻いた。
「ネルフの連中が介入してくるとは思えんが……監視を怠るな。あの男の
ことだ……何をしてくるか分からんからな。それと……」
男は言葉を切った。
「“マルドゥック機関”。人類補完委員会直属の組織。あっちの動向にも
注意を払え。いいな?」
『はい』
ピッという音と共に、通信が切れた。
煙草を咥えた男は、胸元から1枚の写真を取り出した。写真に写ってい
る、戦略自衛隊の制服を着た栗色の髪をした少女。その表情は年不相応な
くらい険しい物であった。
「トライデント級陸上軽巡パイロット……霧島マナ。“震雷・雷電”パイ
ロット・浅利ケイタ、ムサシ・リー・ストラスバーグの親友か…」
男はキーを差し込みエンジンを起動させた。ハンドルを握り、アクセル
を踏み込む。“JSSDF”と描かれた黒い車は、闇の中を走り始めた。
*
自室の鏡の前で、マナは踊るように服を取り替えていた。
「これにしようかなあ……あ、こっちもいいな」
今日は司と一緒に神社に太鼓台を見に行く約束をしていた。身寄りのな
いマナは夏休みはずっと近場でアルバイトをしていたが、この日の為にこ
こ5日程は休みを貰っていた。
身寄りといえば、加持から連絡が全くないのが気がかりだったが、加持
も忙しい身。そうそう自分に構ってなどいられないのだろうと、マナは割
り切っていた。
服を自分の身体に重ね、どれがいいのか選ぶ。その表情は非常に嬉しそ
うだった。少年兵時代の自分には私服など1着もなかった。だが今は、数
は少ないとはいえ、ゼロだった当時とは比べようもない。マナは青のライ
ンの入った白い長めのスカートに白いTシャツ、その上から、こちらも青
いラインの入った薄手の上着を羽織った。これで肩を隠すことが出来るが、
それでも露出度は多少高めであると言える。特にTシャツは、身体のライ
ンがはっきりと分かってしまうような物であった。
「……ちょっと恥ずかしいな」
マナは鏡を見て一瞬躊躇したが、思い切ってそのまま通すことにした。
マナは部屋に鍵をかけ、団地を後にした。外に出ると、遠くから響く和太
鼓の音が耳に届いた。
霧島マナが“山南ユキ”と名を変えてから、早3ヶ月が経った。
マナも大分新しい生活に慣れ、普通の中学生として過ごしていた。幸い
友達や近所の人達に恵まれ、質素ではあるが静かな日常を楽しんでいた。
時折、夢の中でシンジやムサシのことを思い出しうなされることもある
が、日を追うにつれその回数は段々と減っていた。マナ自身はシンジやム
サシのことを忘れる気などなかった。ただ、何時までも引き摺っていては
自分が駄目になってしまうという意識はあった。
シンジやムサシのことにけじめをつけて、前向きに生きたい。
マナは、司がそのきっかけを与えてくれるような気がしていた。司達と
海に行ってから約1週間が経っていたが、その日を境に、司とマナの距離
は急速に縮まっていった。
*
カチャン。司はテーブルに箸を置いた。
「悪いけど食器洗っといてくれ」
「えー、何で私がー?」
綾音は口を尖らせた。その隣で恵美が、我関せずという表情でラーメン
を啜っていた。
「今日はちょっと用事があるんや。これからすぐ出ていかなあかんねん」
「何処いくんよ?」
「山畑の神社。山南さんが太鼓台見たいっていうから連れていくんや」
そう言うと司は、Tシャツを脱いで臙脂色のポロシャツに着替えた。
「今年は山南さんと行くの、夏祭り?」
「ああ」
司は鏡で服装をチェックしながら言った。とその時、ドアベルの機械音
が響いた。司は速足で玄関に向かい、ドアを開けた。そこにいたのはマナ
だった。
「こんにちわ、井波君」
「こんにちわ。ちょっと待ってて、すぐ支度するから」
そう言って司は、ぱたぱたと2階に上がっていった。入れ代わりに綾音
がマナの前に出た。
「はじめまして、山南さん」
「はじめまして。えっと……綾音ちゃん…だっけ?」
「はい。井波綾音と言います。最近はうちのお兄ちゃんが色々とお世話に
なってます」
綾音はぺこっと頭を下げた。マナは少し照れて
「そんな…お世話になってるのは私の方よ。こっちに来てから、色々と分
からないことばっかりだったから……」
とその時、司が上から下りてきた。行こうかと言って、司はマナの手を
引いた。
「あ、お兄ちゃん。今日花火見るんでしょ?お母さんが、見に行く前に1
度帰ってこいって」
「ああ、分かった」
「じゃあね、綾音ちゃん」
マナは綾音に手を振ると、玄関から出ていった。
夏祭りはこの村の伝統行事で、かつては村の中の各地区ごとに行われて
いた。だがセカンドインパクトによる人口の激減に伴い、各地区の青年団
は1つに統合され、太鼓台も山畑地区(やまたけ、と読む)の物1つを除
いて廃棄処分されてしまった。いや、廃棄せざるを得なかった。というの
も、セカンドインパクト直後の物資の不足を補う為、各太鼓台や神輿を解
体してしまったのだ。そのなれの果ては、学校の体育館等、壊れてしまっ
た公共施設の修繕にに当てられた。
司とマナが神社に行くと、すでに太鼓台は出され、太鼓の試し打ちが始
まっていた。小学生ぐらいの子供の姿が目立ち、祭りの実行機関である
“青年団”の団員の姿もちらほらと見られた。
「これが太鼓台かぁ」
マナは珍しそうに、色んな角度から太鼓台を眺めた。重量はかなり重く、
大の大人が何十人も寄せ集まってやっと持ち上がる程の重さである。それ
だけに、太鼓台そのものが持つ迫力というも、圧倒的なものがあった。
マナは台や支柱に触れたり、中で太鼓を叩いている青年団員に挨拶した
りした。
「楽しそうやね、山南さん」
司は和んだ表情で言った。
「うん。私、太鼓台って間近で見るの初めてだから」
「え、見たことないの?間近で?」
「小さい時見たかもしれないけど、物心ついてからは1度も」
珍しそうに太鼓台を眺めるマナを見て、そんなもんなのかなと司は思っ
た。司にとって太鼓台は見慣れた物でそれほど珍しくもなかったからだ。
「よお、司君」
声をかけられて司が振り向くと、そこには青い法被を着た見知った男の
人が立っていた。
「こんにちわ真也さん。今年は太鼓台担ぐんですか?」
「まあな。ところでそっちの子は……」
「えっと……山南ユキちゃん…ていうんです。転校生で……」
「彼女か?」
「え…」
単刀直入に真也に尋ねられ、司は少し照れながらも頷いた。
「そうかそうか!おめでとう!」
「あ、ありがとうございます……」
まさか真也にそんなことを言われるとは思ってもみなかったので、司は
ただただ照れ笑いを浮かべるしかなかった。
「よし、じゃあその記念に写真撮ったる!彼女とそこに並べ!」
「え、でも……」
「ええから!遠慮すんなって!」
真也が強くすすめるので、司はマナに声をかけて簡単に事情を話した。
2人は太鼓台の前に横に並んだ。
「じゃあ撮るぞぉ……」
そう言って真也はカメラを構えた。マナはにこやかな表情をしていたが、
司は少し表情が固かった。ちょっと緊張気味の司を見て、マナはくすっと
少し意地悪っぽく笑った。
「井波君っ」
「え?」
返事するが速いか、マナは司の首に腕を回し、勢いよく彼に抱き着いた。
と同時に、カメラのシャッターが降りた。
「?どうしたの、井波君?」
マナが真也に礼を言い司の方を振り返ると、司が棒立ちになっていた。
「や、山南さん…………他の人だっているのに……いきなり何を…」
「だって、悔しかったんだもん」
「は?」
司はマナの言っている意味が分からなかった。
「今までずっと、井波君からだったじゃない。抱き着かれた時もキスされ
た時も。だから今日は私から攻めてみたの」
「せ、攻めって…」
「………迷惑だった?」
マナが少し不安そうに司の顔を覗き込んだので、司は勢いよく首を振り、
そんなことはないという意志を示した。
「……でも」
マナは少し頬を染めて言った。
「ちょっと…恥ずかしかったかな……」
*
中華料理店“優美(ゆうみ)”。真也、そして恵子の父・志郎が経営す
る飲食店。駅前に店舗を構え、そこそこの収益を上げている。夏祭りの時
期になると、真也の協力を得て夜店を出すこともしばしば。
祭りの日は、青年団に出す酒やつまみ等の準備で大忙しであった。
「お父さん、これどっち?」
「それはこっちや。こっちに積み上げてくれ」
志郎の指示通り、恵子は重いビール籠を積み上げた。ふぅっと額の汗を
拭った。
「恵子、お前ちょっと顔色悪くないか?」
「……そう?」
恵子は志郎の方を向いた。その表情は、確かに何処か疲れていた。
「ちょっと休んだらどうや?」
「でも……」
「後でまだ仕事もあるし、お前も予定あるやろ?今のうちに休んどけ」
父に急かされ、恵子は仕方なく店の奥に入った。奥の階段から2階の自
室へと向かう。
実の所、恵子にはそういう予定は全くなかった。友達がいない訳ではな
いのだが、恵子の親しい友人は、この時期は皆田舎に帰ってしまっていな
いのだ。では毎年どうしているかというと、毎年、司や真也と一緒に夜店
を回ったり花火を見たりしている。
今年は真也が青年団員として狩り出されているので、恵子に付き合うの
は不可能だった。
恵子は階段で足を止め、ふと階下の電話に目をやった。司と恵子は、ど
ちらが誘うということは決まっていないのだが、気がつくと一緒にいたと
いう状況が毎年のように繰り返されていた。丁度、通学途中に待ち合わせ
もしていないのにばったり出くわすように。
だが、今年はそれは望めそうもなかった。恵子にもそれは分かっていた。
恵子はそのまま2階の自室に引き篭もった。
「太鼓台のかきあげ、何時からやった?」
「4時半からや。もうちょっとしたら俺も行くから」
店先でジュースを飲みながら、真也は父に言った。太鼓台のかきあげま
で後1時間弱。青年団員はそれまでにしておかねばならない下準備が山の
ようにあった。
「ところで、恵子はどないしたん?」
「部屋におるわ。……なあ、真也」
「ん?」
「あいつ、この頃どうも具合悪そうやねんけどな…何かあったんか?」
「さあ………年が年やから、色々と悩みでもあるんとちゃう?女の子やし」
「……まさか、コレの悩みか?」
志郎がぴっと小指を立てたので、真也は思わずジュースを吹いてしまった。
「親父、どういう発想を…」
「何を言う。年頃の娘が悩む一番大きな問題はそれやろうが。恵子ももう
14歳や。恋の1つや2つ、あってもおかしくないぞ」
そう言われてみれば確かに……真也は心中で納得した。
「それにこないだ、海に行った帰り、泣いて帰ってきたやろ?ここ何年も
泣いたりせーへんかった子があんだけ泣く理由っていうのは1つ!」
「………失恋?」
「その通り!」
志郎はビシッと人差し指を真也に突きつけた。
「あいつは優美に似て、外面は強がって気丈なように見せとるが、内面は
割と脆い所があるのかもしれん。
そういう時に大切なのは、回りの人間の支えや。今支えたらな、あい
つは駄目になってまうぞ」
「…なるほど」
流石は親父…と真也は感心した。
「というわけで、お前、恵子を支えてこい」
「なにぃ!?」
真也は驚愕した。
「何で俺やねん!?」
「こういうのはやっぱり、若いもん同士で相談した方がいいやろ」
真也はこういう恋愛云々は苦手だったが、志郎に諭され、恵子の様子を
見に行くことにした。のそのそと階段を上がり、恵子の部屋の前までやっ
てきた。
(まあ、恋愛問題かどうかはともかく、何か悩んでるのは確かやな)
1週間前の、泣きじゃくっていた恵子の姿を真也は思い出した。真也は
ドアを軽くノックした。誰?と問い掛ける恵子の声がしたので、真也はノ
ブを回して恵子の部屋に入った。
恵子は椅子に座って、ぼんやりと天井を眺めていた。
「何、お兄ちゃん?」
「いや…ちょっとな」
真也は部屋の中を見渡しながら、奥のベッドに腰掛けた。
部屋には、芸能人のポスターや向日葵のぬいぐるみ(ヒメヒマワリ、と
いう種類らしい)、ハンガーにかけられた向日葵柄のエプロン等が目に付
いた。この向日葵は近所に住む大学生のお兄さんが「恵子ちゃんって向日
葵似合うよね」と言って、恵子にあげたものであった。3年程前のことだ
が。ちなみにそのお兄さんは、今は九州の田舎に帰ってしまっている。
向日葵云々はともかく、非常に14歳の女の子らしい部屋と言える。
「恵子、親父が心配しとったぞ。お前が何か元気なさそうやって」
真也は単刀直入に話題を切り出した。
「俺も心配やったんや。1週間前のこともあるしな」
「…………」
恵子は何も答えなかった。真也は言葉を続けた。
「何があったんや?」
「…………」
「男か?」
ぴくっと恵子の身体が震えた。図星か…真也はそう思った。
「恋愛は悪いことやないぞ。恋愛で悩むのも悪いことやない。けどな、あ
んまし身体に溜めすぎるとよくないのも確かや」
「恋愛…か」
恵子はぽつりと言った。
「私、そういうのとあんまし縁がなかったし、興味もなかったから、イマ
イチイメージ沸かないのよ…」
「確かに、お前は少女漫画とか読むようなタイプじゃなかったからな」
真也が言った。恵子は昔から少女漫画よりは少年誌を好んで読む方だっ
た。どうも、趣味が男の子っぽい所があった。
「……で、相手はどんな奴や?」
真也はずいっと顔を近付けた。恵子は少し躊躇したが、ぽつりぽつりと
話し始めた。
「同い年の男の子。もう随分友達付き合い長いねんけど……」
「付き合い長いんか、相手?」
「お兄ちゃんもよく知ってる人よ」
恵子は続けた。
「あんまり付き合い長いから、お互い友達意識が強くなってたの。向こう
も、私のこと女だとか、恋愛対象とかには見えてなかったみたいだから。
私も、全然…………意識なんかしてなかった。それが、急に…」
「恋愛対象に代わった、と?その彼が?」
恵子は小さく頷いた。
「………最初、全然分からへんかった。彼が女の子と手繋いだり話したり
してるの見てて、何か落ち着かん気分になってきて…。他の女の子が彼
のこと誉めたりすると、何か嬉しくなってきたりする反面、少し不安に
なってきたり……」
そりゃ完全な嫉妬心だ…真也は思った。
「それで……恵子、お前はどうなんだ?」
「え?」
「お前、不健康にも1週間もずっと心ん中に自分の気持ち溜め続けて……
それでええのか?」
真也の言葉に、恵子の脳裏にマナと司の姿が浮かんだ。
「…もう付き合ってる人、いるから……。彼女の方から行ったんじゃなく
て、彼の方から告白したみたいやから……今更、私が何言うても…」
「何や、お前らしくないなあ」
真也は言った。
「恵子、お前のいいとこって何か分かるか?」
「私のいい所?」
恵子は少し考えたが、いいと言えるような所は思い浮かばなかった。
「うじうじせんとはっきり物を言う所や」
真也はきっぱりと言った。「相手の気持ちをある程度考慮しつつ、自分
の気持ちをはっきり伝えられる……それがお前のええところや。悪く言え
ば、言いたいことズゲズゲと言うってことやねんけどな」
真也は腰を上げて、恵子の肩を軽く叩いた。
「…はっきり言うてみたらどうや、その彼に。彼女おるんかなんか知らん
けど、お前の気持ちは変わらんのやろ?」
恵子はさっきよりも強く頷いた。
「当たって砕けろ、や。何時までも腹ん中に溜めとくよりはその方がずっ
とええ。諦めかってつくやろ」
「……そうやね」
恵子は少し顔を上げた。
「でも……ちょっと怖いな」
「何が?」
「……2人とも、私と仲のいい友達やったから…もし、私が変なこと言う
て、その関係が崩れたりしたら…」
「言わんかったら、お前の精神が先に崩壊するぞ。壊れたら壊れた時のこ
とや。どっちにせよ、どっちを取るか決めるのは、その彼やねんから」
とその時、店の方から父の声がした。
「恵子、お客さんだ!」
「お兄ちゃん、ちょっと行ってくるね」
恵子は部屋にかけていた向日葵柄のエプロンをかけて、足早に階段を駆
け降りた。ここ1週間見せたことのない、何処となくすっきりした明るい
表情であった。その後を真也は黙って見送った。見送りながら、真也はふ
と疑問に思った。
(恵子の好きな相手って……誰だ?)
*
「いらっしゃいませ」
恵子が店に出ると、もう5〜6人の客が入っていた。ほとんどが常連客
で見知った顔だったが、1人だけ、初めて見る客がいた。
「御注文をどうぞ」
伝票を持って恵子はその少年に言った。少年は中学校の制服を着ていた
が、制服だけ見て何処の中学校の生徒か判断はつかなかった。少なくとも、
恵子の通う中学の生徒でないことだけは分かった。銀色の綺麗な髪をした
少年で、目の色や顔立ち等から、少し日本人離れしているように見えた。
「醤油ラーメンと……餃子、お願いします」
「はい……醤油ラーメンと餃子ですね」
注文を取って恵子がテーブルを離れようとした時、少年は恵子を呼び止
めた。
「ちょっと、お尋ねしてもいいかな?」
「はぁ…何ですか?」
少年は赤い瞳を恵子に向けた。
「この辺りに、“霧島マナ”という名の少女が住んでいませんか?」
「霧島……マナ?」
恵子は首を傾げた。聞いたことのない名前だった。恵子は聞いたことが
ないと言い、厨房に戻った。
「お父さん、悪いけど私、もう少ししたらちょっと出掛けるから」
「そ、そうか。別に構わんが……身体の具合、大丈夫か?」
「うん、もう大丈夫。大分すっきりしたから」
恵子はにっこり笑った。
「ごめん、お父さん。心配かけちゃって」
「いや……元気になったんやったら、それでええ」
志郎は盆に醤油ラーメンと餃子を乗せ、恵子に渡した。
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<後書き>
ども、淵野明です。『邂逅』第壱拾壱話、お届けいたします。
随分時間がかかってしまいました(苦笑)。本当にお待たせ致しました
という気分です。DARUさんが不在の5月中旬〜下旬までに、この壱拾
壱話・前編はアップしておきたかったので、何とか間に合ってホッと胸を
撫で下ろしています。大体、恵子をあの状態で1ヶ月近くほっとくなんて、
私には出来ません(笑)。
実は今回6回も総書き直ししています。それだけ上手くいかなかったん
です。で、この出来上がった原稿も上手く行ったかというと……正直な所、
自信がありません。恋愛、といいますか、人の心理描写がまだまだ上手く
いかないなと思うこの頃です(人生経験の足りなさよ…)。
この第壱拾壱話は、今まで書いた中で一番大変な話になりそうです。話
の中身もさることながら、私自身、書くのが一番大変……。でもまあ、
『技量の無さを嘆く前に捨て身の努力』ということで、頑張って書きます
ので、どうか寛大な心で読んで下さい(笑)。
ところで、私は割と布団の中で構想を練ることが多いです。勉強やって
風呂入って、「あ〜、今日も大変やったなあ…」と言いながら自室に戻る
と、もう2時近い時間帯。早速ベッドに潜りこんで身体をリラックスさせ
ると、頭の中はもう『エヴァ』と『邂逅』の中にトリップしています(笑)。
この時に幾つか面白そうなネタが出たのですが、いや〜、見事にボツっ
た(死)。でも、多分どっかで使うと思います。それが『邂逅』で使われ
るのか全く別の所で使われるのかは分かりませんが……。
次回は6月…遅ければ7月になると思います(その頃にはこっちが修羅
場だ……大学受験。今でも修羅場だけど)。KUNItukamiさんの手によ
る挿し絵も順調に進行していますので、お楽しみに!
それでは。
★淵野明(t-ak@kcn.or.jp)★