激愛SS劇場外伝
副題『山岸さん家のマユミちゃん』
著:ワンダース(弟)
「…んふぅ…んふぅ…んんぅ……」
暗闇に支配された部屋の中、押し殺しされたくぐもった喘ぎ声のみが響く。
雲の途切れた拍子に、窓から差し込んだ僅かばかりの月明かりが、殺風景なその部屋に置かれた唯一
の調度品である素っ気無い造りのベッドを、そしてそのベッドに手を手錠で頭上に括られ口には猿轡
を噛まされた、汗ばんだ少女の裸身を浮かび上がらせる。
がちゃ
前触れもなく開いた扉から漏れる光に、闇になれた少女は目を細めてしまう。
朧げな視界の中、その光を背に何者かが近づいてくるのを少女は認識すると同時に、忘れかけていた
恐怖感が少女の心の中で再び目を覚まし、身体が強張る。
「…気分はどう」
その何者かは、ベッドの前で立ち止まり暫く少女の裸身を見下ろした後、唐突に切出した。
そして、少女はその聞き覚えのある声に愕然とする。
「!!」
「…やっと気付いたの?」
その何者かは、ゆっくりと手を伸ばし少女の猿轡を外す。
「レイッ!! アンタ一体どういうつもりでっ!!?」
「…………」
少女の、いやアスカの問には応えず、レイはアスカの辛うじてショーツのみが残された裸身を再び
繁々と見下ろす。
「…な、何よっ!?」
「…随分感じてるみたいね。…この状況で」
嘲るように僅かに口元を歪ませるレイ。
「!! そっそんな訳ないでしょっ!!」
「…そう」
その言葉に、レイは僅かにすっと目を細めて薄く微笑うと、アスカのショーツを強引に引き千切って
アスカの眼前に掲げて見せる。
「…なら…これはなに?」
「しっ…知らないわよっ!」
ギュッと目を瞑り、アスカは眼前に掲げられたものから、すぐさまプイッと顔を背ける。
しかし、そのアスカの横顔はその態度とは裏腹に、哀れなほど桜色で染まっていた。
そんなアスカをその紅の瞳で見下ろしながら、レイはその繊手で主の秘所から流れ出た熱い蜜によって
ぐっしょりと重くなったショーツを弄る。
「…すごい量ね?」
その身を焼く羞恥に、アスカの頬はますます熱くなる。
「う、うるさいっ! も、元はと言えばアンタがおかしなクスリ飲ませたからでしょっ!!」
「…それだけかしら?」
その紅の瞳に妖艶な光をたたえて、レイはその濡れたショーツにちろりと舌を這わせる。
「っ! こっ、このヘンタイっ! やめなさいよっ!!」
アスカが再び強引に起き上がろうとしたため、手錠がベッドの金の部分と擦れて嫌な音を立てる。
「…手首…傷がついてしまうわ」
じたばたと暴れるアスカをたしなめるように言うと、レイは手に持っていたショーツを放り捨て、
アスカに覆い被さるようにしながらその乳房に掌を這わせ、耳元に口を寄せ、慈しむような調子で
囁く。
「…いやらしいのね…あなたは」
「ちっ! 違うって言ってるでしょっ!」
レイの自らの乳房を這う掌の動きと、耳元を擽るその吐息に、悪寒以外のなにかがアスカの全身を
駆け巡る。
「あ、アンタが…ヘン…なクスリ…飲ませた…から…」
その間にも、レイの掌はアスカの中学生にしては豊満な、形の良い張りのある乳房を微妙なタッチで
撫で回し、その舌はちろちろと耳元を嬲る。
「…んっ…あんっ…」
小刻みに身体を震わす、アスカの反応にレイはその紅の瞳に満足気な光を宿す。
「…ふふ」
「…ん…あんっ…!」
胸の頂の蕾を弄られ、思わず嬌声を上げてしまうアスカ。
「…ふふ…いやらしい」
そんなアスカにレイは薄く微笑う。
「っ!」
そして、そう言うと同時にレイはアスカの胸の頂きに控えめにのっている桃色の蕾を、そのしなやかな
指先に力を込めてキュッとしぼる。
「ひっ…あぁぁぁぁぁ!!」
その急激な刺激の変化に、アスカはその身体をビクンッと震わせる。
「…まだよ」
「…え?」
荒い息をつくアスカが声に反応して、官能の波に翻弄されながらも、のろのろと頭を上げるのを
見て、レイはその上気した頬に舐めるような口付けする。
「はぁ…はぁ…あ…んぅ…」
「…ふふ」
レイは、とろんとした目で荒い息をつくアスカの頤に手を添え自分の方を向かせると、そのふっくら
した桜色の唇を自らのそれで塞ぐ。
そしてその舌で、アスカの口腔をまんべんなくまさぐり、そしてなぞる。
初めて自らの口腔に迎え入れた、他人の舌の激しい動きにアスカの官能はこれ以上無いほど昂ぶって
いく。
自分でも気づかないうちに、控えめながらアスカは自らの舌をレイのそれに絡める。
そんなアスカの動きに応えるように、レイはそのアスカの舌を吸い、しゃぶり、そして軽く噛む。
「っはあ…んふぅ…や…ふぁっ…やめ…んふ……ふはあっ…」
口腔を激しく蹂躪され、そこからもたらせられる狂おしい興奮に頭の中を掻き回されながらも、
アスカが哀願する。
しかしレイはそれを無視するかのように、その右手でアスカの乳房を鷲づかみにするようにして
もみしだく。
荒々しく嬲るようにしながらも、時折その小さな蕾を責めることを忘れない。
「っんん!! …あふぁ…ん…はあっ…や…んんぅ…」
鈍い痛みの奥にある狂おしいほどの快感と、お互いの舌が絡まりあい唾液がぴちゃぴちゃと交じり
合う淫靡なその水っぽい音に、アスカの意識は陶然となる。
「…んふぅ…ハア…ハア…っ…」
やっと口腔を解放されたアスカは、荒い息をつきながらも、夢見心地で二人の唇の間に架けられた
銀糸の橋を陶然と、しかしどこか不満気に見遣る。
「…物足りないの?」
「っ!! そ、そんなわけないでしょっ!」
心のうちを見透かされた恥辱をかき消そうとするように、アスカが叫ぶ。
そんなアスカの気持ちを見抜いているのか、レイは何も言わず身体をずらし、アスカの未だ体内に
残る快楽のうねりによって弛緩している両脚に手をかけると、その付け根にある双丘に顔を寄せる。
「?…ちょっ!」
肌に感じる生暖かい息遣いで、アスカはレイの意図に気づき、弛緩している四肢に何とか力を込めて
抵抗を試みる。
「…駄目よ」
が、既に両脚の間に身体を割りこませているレイによってその抵抗はあっさり封じ込まれる。
「やめっ…! ひぁっ…!」
熱く濡れ、敏感になっている合わせ目に感じられた他人の指の動きが、アスカの抗議を遮らせる。
「こんなにして…いやらしい娘…」
「んんっ…はぁっ…! やめ…てぇっ!」
唄うような調子で囁きながら、レイは簡単に指をするりと受け入れる、熱く綻び潤んだ合わせ目の、
内側の襞を微妙な力加減でなぞり、つまみ好き勝手に弄りまわす。
そして、指の動きを変えるたびに健気に身体を震わせるアスカの反応に、レイは満足げに微笑う。
「…また溢れてきたわ。そんなに気持ち良いの?」
「ああっっ…ひんっ…んふっ…んっ…んんっ…」
僅かに揶揄するような響きを持ったレイの言葉に、間断なくもたらせる官能の波に弄ばれながらも、
アスカは唇をきゅっと引き結んでなんとかそれにたえようとする。
そのアスカの反応に、レイはまた薄く微笑う。
「っ! あ、ね…だ、だめ…そこはだめ…」
「…中は駄目なの?」
身体に力が入らないのか細かく震えながら、上気した頬に不釣り合いな怯えた目でこくこく頷く
アスカを見ながらも、アスカの中へ中へとゆっくりと入っていくレイの指はその動きを止めない。
「ひっ…はぁあっ…! だ、だめぇっ…! おねがっ…んんっっ…!!」
全てを言い終えないうちに、アスカの内部にレイの指が付け根まで埋もれる。
「…いきなり三本も飲み込むなんて、いやらしいのね」
くちゅ、くちゅと淫靡な音をたてて、三本の指がアスカの内部を縦横無尽に捏ね繰り回す。
「んっ…はあっっ!! ひあっ…いやぁ…いやぁっ…!!」
身体全体に走る快楽の電流にたえきれず、アスカは仰け反り嬌声を上げる。
アスカのその部分からは、熱く甘い蜜が止めど無く溢れ出ている。
アスカのあられもない反応に、その紅の瞳にどこか陶然とした光を湛えながら、レイは徐々に指の
動きを強めていく。
「…ここも触わって欲しい?」
右手には依然アスカの内部を蹂躪させながら、レイは空いていた左手が、合わせ目の襞の奥に隠され
た陰核を見つけ出す。
「ひぃっっっ!!!」
無造作に最も敏感な場所を摘ままれたアスカの嬌声が1オクターブ跳ね上がる。
「…ふふ」
「はぁっ…はぁっ…んはあっ…! だ、め…だめぇ…いひぃっ…だめぇっ…!」
「…いいのよ」
何かを堪えるように、必死に首を左右に振るアスカに、レイは諭すような口調で囁きかける。
アスカの内部に飲み込ませた右手の指は4本に増やし、左手の人差し指と中指で器用に陰核をしごき
ながら。
「ふぁっ…んはあっっ…いや…いやぁ…! ひあぁっ…くる…きちゃうぅ…!」
「…いきなさい」
陶然と微笑みながら、レイはそう宣告するとアスカの秘所に顔を寄せ噎せ返るようなその淫靡な匂い
を少し楽しんでから、アスカの剥き出しになった陰核を甘噛みする。
「ひぃああああああああああああっっっ!!!!!!」
その瞬間、アスカの身体は一際大きく仰け反り、足の指はきつくシーツを掴み、レイの指を飲み込ん
でいた内部はぎゅっ収縮する。
アスカは達した。
「…はあっ…はあっ…はあっ」
焦点の合わない虚ろな瞳涙を溜めて、頬を上気させ、荒い息をつく口唇の端からは一筋の涎さえ垂れ
ている。
そんなアスカの様子に暫く目を細めるようにして魅入っていたレイは、アスカの身体を手繰るように
して、再びアスカと視線を合わせる。
「…ふふ…はしたないわ」
涎を舐めとるように、アスカの唇に舌を這わせる。
「…ん…んふぅ…」
「…これがなにかわかるかしら?」
未だ明確な意志の光を宿さない、その蒼い瞳を覗き込みながらレイはアスカの眼前に太くそして
長い棒状のモノを掲げる。
「…?」
眼前に掲げられたモノにノロノロと焦点を合わせるアスカ。
そして、次の瞬間。
その瞳が一気に夢から醒めたかのように、見開かれる。
喉がひくっと鳴る。
「ちょっ…アンタっ…! 冗談でしょっ!?」
「…何が?」
艶然と薄く微笑うレイに、アスカの顔からサーッと血の気が引いていく。
「むっ…無理よ、こんなのっ!! 入るわけないでしょっ!!」
改めて目の前の見るからにグロテスクなソレに目を遣るアスカ。
子供の二の腕ほどの太さはあろうかという極太の赤黒いソレは、表面に卑猥な突起がおぞましいほど
についており、その凶暴性をいっそう際立たせている。
そんなアスカを嘲笑うかのように、やおらソレは低い音をたてて淫猥な運動を始める。
「ヒッ…ね、ねえ…ホントに…オネガイ…無理よぉ…」
もはや薄っすらと涙さえ浮かべて、殆ど哀願するような口調でアスカがレイに縋り付くような視線を
向ける。
その視線に、うっとりしたように目を細めてから、レイはあっさり告げた。
「…駄目」
既に一度の絶頂を迎え、熱く潤み綻んだ合わせ目にレイは無造作にソレを突っ込む。
「きひぃっ!!! だめぇっ!! 入らないぃっ!!」
裏返った声で悲鳴を上げるアスカに構わず、レイは入り口付近の抵抗を乱暴に無視する。
ソレは低い唸りを上げて、それでもまだ十分に狭い蜜壷を蹂躪し、柔肉を掻き分け秘奥を目指す。
「はぁっ!! だめ…だめぇっ!! やめてぇっ!! こ、壊れちゃうぅっっ!!」
アスカの頭の中でちかちか激しく光が明滅する。
自分をかたちづくる全ての事象が意識から吹き飛び、ただ激しく刺激される感覚のみが意識の
全面で展開される。
その間にも、ソレはアスカの内部を突き進み激しい振幅運動でアスカの蜜壷を内側から揺する。
「ひぃっ!! ひいゃっ!! も…もう無理よぉっ!! もう入らないぃぃっっ!!!」
その内臓を掻き回されるような感覚に、アスカは絹を裂くような悲鳴を上げ、激しく身悶えする。
そして。
「くっ…かはぁっ…」
とうとう秘奥まで達したソレに、絶望的な呻き声を上げ、まるで呼吸の方法を忘れてしまったかの
ように、その口が酸素を求めてパクパクと開け閉めされる。
「…あら…もうお腹いっぱいなの?」
ソレを通してその低い振動とともに伝わってきた、こつんというアスカの「奥」の入り口に突き
当たる感触を何度も楽しみながら、レイはピクピクと細かく痙攣するアスカの殆ど白目を剥いている
瞳から零れ落ちる雫を舌を這わせて舐めとる。
「…も…だ…め…」
最早表層意識を占領する感覚が単に無意識に言語化されただけで、レイに語り掛けてきたわけでは
ないのだろうが、レイは艶めいた光をその紅の瞳に宿し、律義にもそれに応える。
「…まだ…だいじょうぶよ」
レイの歯がアスカの下唇を甘噛みするのと同時に、アスカの秘奥を擦り上げるように唸っりながら
停滞していたソレが、突然その「奥」の入り口さえ抉らんばかりの乱暴な動きで再び捻じり込まれる。
「っっっっ!!!!!!!!」
アスカの瞳が虚ろな色を宿したまま不自然なほど見開かれる。
声にならない叫び声を上げ、その身体は腰が浮き、限界まで弓反りに折られる。
そして、アスカの秘所からは熱いものが溢れるように迸る。
「…あらあら」
発狂せんばかりの痛覚の向こう側にある、全てが解放されるような歓喜と悦楽の波に翻弄されながら、
アスカは意識の糸が切れる瞬間、そんなレイの呆れたような、そしてどこか楽しげな調子の声を聞い
たような気がした。
§
「…僕は…初号機パイロットの碇シンジで…ぐふうっ!?」
やおら立ち上がり、遠くを見る目で叫び出した少年、碇シンジの身体がきりもみしながら豪快に宙を
舞い、然る後、床に突き刺さるようにして落下する。
何時の間にかシンジの右脇腹にぴたりとつけられた、隣に座っていた艶やかな亜麻色の髪と蒼の瞳が
印象的な幼馴染の少女のその小作りな、左拳が爆発的な力を解放したのだ。
(注:良い子のみんな、ツッコミは程々にね?(はぁと))
「いきなり現実逃避しよーったて、そーはいかないわよ」
「…あ、アスカこそ、のっけから虎砲だなんて…つ、九○九も…ビックリだね?」
息も絶え絶えなシンジの濃ゆいツッコミ返しをあっさり無視して、アスカは這いつくばるシンジに
詰め寄る。
その頬が、ほんのりと桜色に染まっているため、いまいち迫力には欠けたが。
「でっ!? このとんでもない漫画はなんなのよっ!?」
「え、えっと…た、多分、好いたオナゴをこういう部屋に閉じ込めて全身ナメナメしたあげく極太
バイ○で心行くまで弄び尽くしたいってゆー狩○さんの願望を忠実に…ぐふうっ!?」
「…つぎ訳わかんないこと言ったら死ぬわよ、アンタ?」
たった今己の右頬に抉り込まれた左拳をつきつけながらすごむアスカに、シンジは薄らと涙を浮かべ
ながらも、無言でこくこくと頷く。
「…ったく…楽屋ネタはいらないって人多いんだから」
「…訳わかってるじゃないか」
「…なんかいった!?」
「う、ううん!」
「で?」
「で?」
「…………」
「あっ! えっと! この本はなんだ?ってことだったよね!? 確か!?」
早速力強く握り締められたアスカの拳に怯えた視線を走らせるシンジ。
「わかってるんじゃない…で?」
「う、うん…その…なんて言うか…」
「なんて言うか…?」
急に顔を赤らめてモジモジしだしたシンジに、アスカは怪訝そうな表情を浮かべる。
「そ、その…アスカが、スゴイ乱れてるなあって…がはあっ!?」
シンジの水月に、電光石火の拳が突き刺さる。
「このバカシンジ! 誰が感想言えってイッタのよ!?」
再び頬を染めたアスカは、声にならない叫びを上げてもがくシンジに、キツイ視線を送る。
「あ…あ…」
「ん? なによ?」
声が出ないのか、アスカに物言いたげな視線を送りながらうめくシンジ。
「…あ、アスカ…う、上の台詞「言った」が…じゅ、18禁変換になってるよ」
「う、うっさいっ!! エッチ馬鹿ヘンタイッ!! 信じらんないっ! ちょっと! レイ!!
アンタも、いつまでもそんなやらしい本見てないでこのバカになんか言ってやりなさいよっ!!」
すぐ脇で行われているこの騒動をに目もくれず、先程からずっと無表情にその問題の漫画に視線を
落としている、空色の髪に紅の瞳の少女にアスカは視線を転じる。
「…………」
「レイっ!?」
それでも無表情で手元に広げた本に視線を落としたままのレイにアスカは苛ついたように、だんっと
床を蹴る。
「…私の勝ちね」
そんなアスカに、レイは、表情を変えぬまま、やおらちらっと視線を走らせてから、ニヤリと微笑う。
「…は? アンタ何言ってんのよ?」
「…お漏らし赤毛猿」
再び無表情に戻って、レイはぼそりと付け加える。
その言葉にアスカの頬にさあっと朱が散らされる。
「なっ! あ、アンタ馬鹿ぁ!?」
思わず脳裏に焼きついてしまった問題のシーンが浮かび、思わず頭に血が上るアスカ。
が、すぐに自分を落ち着かせるように深呼吸する。
今非難すべき対象は、コイツではないのだ。
「そ…そーゆー問題じゃないでしょっ!? このバカシンジはどっから手に入れたんだか知らない
けどアタシとアンタのいかがわしい漫画で、これまたいかがわしいことしまくってたのよっ!?」
「…問題無いわ」
アスカから見れば澄ましたような表情で、そうさらりと言ってのけるレイにアスカの血圧はまた上がる。
「も、問題ありまくりじゃないのっ!!」
「…碇クンがこのあからさまな本に、これまたあからさまな折り目をつけてるページのメインは私。
つまり碇クンのフィニッシュは常に私ということ。碇クンの選球眼は曇ってないわ」
「〜っ。…あ、アンタに聞いたアタシが馬鹿だったわ…。ヒカリッ!! ヒカリからもこのヘンタイ
に何か言ってやってよっ!」
…あらあら…アスカったら私に何の用かしらブラジリアン柔術?
…あんなに青筋立てちゃって…ああいい天気おじゃまんぼう。
(注:いきなりですが、ヒカリは既にテンパイどころか、頭オープンリーチです)
…にしても、三丁目公園のマトゥラさん(イラ○人)ってば相変わらず質のいいの扱ってるわあ。
(注:良い子の皆さんは路上でぶらぶらしてる外人さんにみだりに声をかけてはいけません)
「…ヒカリ?」
…ええ、わかってるわアスカメダカの学校廃校。
「ビバッ! デモクラシーッ!!(注:銀○伝)」
いきなりといえばいきなりのその無意味な叫びにアスカは思わずビクリと身体を震わせる。
ふと見ると、いままで両足を投げ出すようにして窓際に座り、死んだ魚のような濁った目で宙を
眺めていたヒカリの瞳には、熱気を帯びた光が戻っている。
「ど、どうしたの、ヒカリ…?」
「うふふふ…ねえ、アスカ?」
「あ、え?」
「クラス中とクスリ中って似てるわよね?」
「…へ?」
なんか今にも壊れそうな笑顔でにたあっと笑うヒカリに、思わず引いてしまうアスカ。
そんなアスカに構わず、ヒカリは続ける。
「…発売日が決まったのはいいけど、エ○シーン抜きでちゃんと私が喋る台詞、あるのかしら?」
と、窓の外に向かって祈るような形に腕を組み、続けて「それとも綾○の声も私に演らせようって
腹積もりなのかしら…?」などと訳のわからない…ってーかギリギリの言動を続けるヒカリの懐から
ポロリと注○器が落ちる。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…アスカもヤる?」
落ちた注射○を拾おうともせず、小首を傾げるヒカリ。
「や、やあねえ〜ヒカリぃ〜! こんなとこでお酒なんか飲んだりしてぇ〜 お酒は18歳からだぞぉ?」
殆ど泣きそうになりながらも、アスカはヒカリの落とし物を拾ってそっとヒカリの懐に戻してやる。
「…なんか…大変だね」
「…うん…じゃなくって!!」
必死に友人をフォローするアスカを気の毒そうに見ていたシンジに、何とか気を取り直すようにして
向き直る。
「とにかく一度のみならず二度までもこのアタシを裏切った罪は万死に値するわっ!!」
ズビシッと指す。
「ってさ、僕こんな本知らないよ?」
先程までの狼狽ぶりが嘘のように、冷静に応えるシンジ。
その冷静さに、思わずアスカの気勢は逸らされる。
「え? だって、その本アンタの本棚に…」
「それになんでアスカを裏切ることになるのさ?」
「え? あっ…その…それは…えっと…あの…」
予想外のシンジの反撃に、かあっと赤くなるアスカ。
「え、えっと…つまり…そのね、だって…こんなアタシにそっくりな絵で…その…あ、アンタは、
その、な、ナニ…してたんでしょ…? あ、アタシなんか、あの、そういうのは、その、ちょっと…
って、てゆーか…その、それなら、あ、アタシに言ってくれれば…その…す、好きにしてくれても…
『アスカ…』『シンジ…あん…だめよ…こんなところで…(注:放課後の教室で、という特殊な
シチューエイション設定らしい)』『でも…ゴメンよ、アスカ…アスカが綺麗すぎて僕は我慢でき
ないんだ…』『あん…バカァ…でも…んぅ…すき…(ぽっ)』…」
「あ、綾波。その本ちょっと見せてくれる?」
妄想モードに移行したアスカは放っておいて、シンジは相変わらず本に視線を落としたままの
レイに歩み寄る。
「ええ」
「えっと…どれどれ…ん? あれ? この本のカバーどっかで見たような…」
がちゃ
急に扉が開いたかと思うと、何時の間に帰ってきたのか、会社のユニフォームをだらしなく着くず
して右手をズボンのポケットに入れるという二番目に得意なポーズで仁王立ちするヒゲオヤヂ。
「必要になったから呼んだまでだ…」
「…………」
何故か白けた顔であからさまに呆れた視線送ってくる息子の、相変わらずのノリの悪さにあからさま
に舌打ちすると、ヒゲオヤジはくいっとずり落ちてもいない色眼鏡を直す仕種をする。
「シンジ…」
「…何だよ、父さん」
「くっ…」
息子の今時の若者らしい気合の乗っていない返事に思わず嘔吐しそうになるが、なんとかこらえる。
「まあいい…それよりも…どうだった? アレの具合は?」
「…一応訊いておくけどアレって?」
「ん? うむ…今度はアスカ君やレイ、そしてなによりもユイにばれないように巧妙にカモフラージュ
を施してお前に貸してやったPN(ペンネーム)S・Iさん命氏作の超レア同人誌【永遠の二人〜その
愛の軌跡〜外伝 堕ちた魔女達 Vol.3 箱庭のペット】だ」
「…………」
無言でなされた息子の大仰な溜息を、感嘆の溜息ととったのか、ヒゲオヤヂが得意そうに続ける。
「アレはすごかっただろう? ん? S・Iさん命氏の作品はどれも秀逸だが、中でもお前に貸して
やったアレはすごかっただろう?」
「父さん…」
「ぐふふ…なにせネタがアスカ君とレイそっくりだからな…」
「父さん…」
「む? 何だ、シンジ? 感謝の言葉などいらんぞ。子の成長を願うのは親の常だ…」
「…父さんって学習能力ないよね」
「むっ…親に向かって何たる暴言…って何だっ!? この冷気はっ!!?」
急に辺り一帯を凍てついた空気が満たす。
そしてその凍気を発しているのは…
「あ、アスカ君!?」
シンジから少し離れた位置に両足を肩幅に広げてゆら〜っと立ち、両手を、そうあたかも大空に
舞い上がろうとする大白鳥の翼のように、ばっさばっさと羽ばたかせているアスカを見つけ、愕然と
するヒゲオヤヂ。
「ま、まさかシンジ! ってその手に持ってる本はっ!!」
これ以上ない程、みっともなく大口を開ける(効果音は、ガビーン(死語))ヒゲオヤヂに、やれやれ
という表情のまま無言で頷いて見せるシンジ。
「お、お、お、お前には失望したぞっ!!!! シンジっ!!!! ち、違うんだっ!! アスカ君!
聞いてくれ!! ってゆーか、せめてユイには言わないでくれぇあああああああああああああ!!!」
刹那。
圧倒的な凍気の奔流にその身を晒されながら、彼、碇ゲンドウはアスカの背後に極光(オーロラ)を
バックに大きく羽ばたきながら、くえぇ〜と鳴く大白鳥を見た。
「そ、そんなアスカ!? 1999年にもなって、聖闘士星○はないんじゃ!!?」
「…キグ○スの氷河、しかもアニメ版ね。」
「叔母様ぁ〜!!」
相変わらず濃ゆいツッコミをしてくるシンジとレイには構わず、アスカは階下のユイのもとへと駆けて
行った。
そして、薄れゆく意識の中で、氷柱に閉じ込められた彼、碇ゲンドウは、S・Iさん命氏著の
【永遠の二人〜その愛の軌跡〜外伝 堕ちた魔女達 Vol.3 箱庭のペット】以上の超激レア本、
【永遠の二人〜その愛の軌跡〜異伝 黄昏時の友人 Vol.1 男闘呼(をとこ)の操 】(切なくも、
すっぱい、カヲル、トウジ、ケンスケの3(ぴー)ヤヲイ本)の存在は是が非でも隠し通さねばなら
ない、と心に誓うのだった(注:ゲンドウはオールラウンドプレイヤーらしい)
§
同時刻、同市内某所。
広々とした造り。
落ち着いた高級感を感じさせる品の良い調度品は、この部屋の主の趣味の良さを感じさせる。
そして、微かに香る花の香り。
現在、モニターから漏れる微かな光のみが、その部屋を照らしている。
そのモニターの中、何やらいかがわしい(このような、いか(注:非イカ)にもいかがわしいSSを
書いている筆者が使うにはあまりにも不適当な表現ではないか?というツッコミはこの際聞こえ
ないこととする)本を前に、これまたいかがわしい場所で手を忙しなく動かす碇シンジの切なげ
ながら、この上なく切羽つまったイヤな(注:作者主観)表情が絶妙のアングルで映し出されている。
そのモニターの前、天蓋つきの瀟洒なベッドの上で、その少女は、自室のベッドの上にその身を
横たえ、烏(カラス)の濡れ羽色とでもその艶やかな黒髪を、しどけなく乱れさせ熱い吐息をつき、
そしてその手に持った『男物のトランクス』に切なげかつ愛しげに頬ずりしながら、やはり同じよう
にいかがわしげな箇所に這わせた手を、忙しなく動かしていた。
「ん…んうぅっ…碇…はぁ…クゥン…」
そんな声を上げながら(注:投げやり)
「マユミお嬢様?」
「…か、カズエさんっ!?」
やおら扉の外からかけられた声に、少女は咄嗟に身を起し着衣の乱れをチェックし、乱れた髪を撫で
付け、モニターを消し部屋の灯かりを点ける(注:この間1.02秒であることから、ある程度の『慣れ』
っていうか『熟練』があるのは間違いない)。
「はい。夕御飯の支度が出来ましたので、食堂においでください。奥様も旦那様もご用意できてらっ
しゃいますよ」
「わ、わかりました。ありがとうございます」
「碇クン…」
扉の外から使用人の気配が消えるのを待ってから、少女は『男物のトランクス』(注:ってーか女物
のトランクスってあるのかな?)にもう一度愛しげに頬擦りし切なげに溜息をついてから、デッキ
からDVDソフトを抜き出して、その『男物のトランクス』と一緒に、そっと本棚の裏の秘密の隠し
スペース『とこしえの愛ランド』(注:命名マユミ)内、「今日の碇クン(はぁと)」「碇クンと一緒(はぁと)」
の棚にそれぞれ戻す。
ちなみに「今日の碇クン(はぁと)」は、何故かどこぞの軍事施設なみのセキュリティを誇る碇家の
警戒網を突破して設置されたビデオカメラ、高感度マイク等からもたらされる碇シンジの家に居る間
の日常全てが収められた様々なソフト類が。
「碇クンと一緒(はぁと)」には上記の機械類のチェックの際の、その潜入行動からもたらされる、
碇シンジの私室内のごみ箱から採取されるその私物の数々や、或いはその横でぐっすり眠る碇シンジ
当人から得られるその使用済み衣服等が、それぞれ納められている(注:犯罪行為です)。
ちなみに、3つある棚の残りの一つは「碇クンと私(きゃっ)」で、そこには彼女の手による私漫画、
碇シンジとその永遠の恋人山岸マユミの赤裸々な愛の日々が記された超長編【永遠の二人〜その
愛の軌跡〜】『幼年期編』『少年期編』『青年期編』『成人編』『そして二人…編』全65巻がずらり
と並べられている(注:幼年期編では二人の出逢いが、少年期編ではその『恋』の目覚めと二人の
初体験が、青年期編ではただもう愛し合う二人が、成人編では加速度的に発展していく二人のプレイ
が、そして二人…編では新婚である二人のどこまでも甘い生活と、それとは裏腹に行くとこまでイッタ
二人の性生活(さらに注:公然羞恥プレイあたりまでか)が、もうこれでもかといわんばかりに描写
されている。ちなみにゲンドウが手に入れたような外伝シリーズは二人の愛の絆の前に敗れ去った
オンナ達の悲惨な末路を描いた鬼畜もので限られた部数ではあるが出版されている)。
山岸マユミ。
父:貿易商
母:茶道の家元
生活環境:世界的に有名な大富豪の一人娘として生まれ、蝶よ花よと可愛がられて育つ。
広大な屋敷の部屋数は52。使用人の人数は15人。
性格:ごくごく控えめで大人しく、引込み思案。
PN:S・Iさん命
趣味:ストーキング
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