大穴が開いて向こう側が見える状態の使徒に飛びつき、一囓りで顔を食いちぎる。
 痙攣する使徒をわずらわしそうに押さえ込みながら、内蔵を引きずり出す。
 全てが熟練の肉屋のように手際の良い、慣れた作業だった。
 咀嚼音と血の流れる音がする中、吐き気を堪えながらミサトが呆然と呟いた。

「使徒を・・・・・・食ってる・・・」
「取り込んでいるのね。使徒のS2機関を・・・。アレを、デスザッパーが連射できるように?」

 やがてあらかた食べて満足したのか、天に挑むように首をそらせて雄叫びをあげるデスザウラーから装甲が弾け飛んでいく。


『オギャアアアアアアッ!!!』


 デスザウラーは哭いた。
 全身を返り血で染め、何もかも吐き出すように。





 遠く、安全圏から哭き続けるデスザウラーを見ながら、加持は呟いた。重々しく、そしてどこか楽しげに。

「Dの覚醒と解放・・・。始まりというわけですか。
 これもシナリオの内ですか・・・碇司令?」

 そして彼の目はデスザウラーから視線を逸らし、ネルフ本部を見つめた。


















 闇の中に微かに浮かぶ、右に3つ、左に4っつの瞳が縦に並んだ紋章・・・。
 ゼーレの紋章が浮かぶ中、複数の人間が心底驚いたのか微かに震えを帯びた声で話し合っていた。
 正面の、かつてキール・ローレンツなるゼーレ議長が座っていた席にいる美女、いやカヲルの妹を名乗った美少女が左右に並んで座る4人の人物を見やる。
 彼らこそ、紆余曲折の末に旧ゼーレ最高評議会の老人達を抹殺しその後を継いだもの達、現ゼーレ最高権力者の5人である。
 本来なら12人居るのだが、1人はとある理由からこの場におらず、もう1人は最近手に入れたオモチャで遊ぶ方が楽しいのか欠席していた。そして残りは彼らと同列にはまだ扱われていない。



「驚きねぇ」

 驚いたと言いながら、クスクスとおかしくて堪らないという風に少女は笑いながら言った。

「どちらかと言えば旧型に属するデスザウラーがゼルエルを倒すとは・・・」
「確かに倒してもらわねば死海文書の記述と異なる結果と相成ったが、しかし」
「ああ。私は既に移送されているはずの雷神、マッドサンダーで倒すとばかり思っていた」

 4人はお互いに顔を見合わせる。
 そう、この程度なら充分にシナリオの範囲内だ。
 だが・・・。

「ゾイドに生まれいずるはずのないS2機関」
「まさか・・・。この様な手段で自ら取り込むとはな」
「僕らのシナリオとは大きく違った出来事だね」
「・・・この修正。容易じゃ無い」

 デスザウラーはシナリオを完璧に逸脱し、使徒のエネルギー発生機関を取り込んでしまったのだ。
 それは神の力の一部をデスザウラーが持ったことを意味する。
 ゾイドコア、S2機関の二つの力を。
 デスザウラーでなくとも、ゾイドがS2機関を有するなど考えられる事態ではなかった。
 何かがおかしくなっている。
 そう、いつの間にか獣道に入り込んだみたいに。

 彼らもかつての支配者同様、いたずらにシナリオが予定を乱すのは好んではいない。
 それは彼らの存在を危うくするから。
 そして彼らもまた、お互いを完全に信用しているわけではないから。
 密やかに、あるいは露骨に互いを不審に満ちた瞳で見ながら牽制する4人。
 とても仲間同士とは信じられないような視線が交錯した。
 彼らを結びつけているのは、裏死海文書の記述と・・・・・のみ。


「裏死海文書にこだわりすぎて、ネルフの人間を今まで放っておいたのが間違いではなかったのか?」
「だが、我々が今こうしてこの場にいるのも死海文書の記述に従ったが故だ」


 言い争う仲間(内心苦笑する言葉である)にげんなりしたのか、カオルはモニターに映るデスザウラーを見つめた。
 どうせ討議は平行線のまま、最後の使徒が倒されるまで静観するという方向に行くに決まっている。迂遠な物言いで皮肉を言ったが、4人は気がつきもしないので彼女はもう何も言う気がなかった、

 彼らもまた、カオルにとっては老人達とあまり変わるところはないのだ。
 そうとわかっている以上、彼女が意識を別に向けるのも無理無からぬ事だった。
 クスリと唇をゆがめて、彼女は笑った。

「この戦い、時を追う毎に興味深くなるわね・・・。
 はてさて次は何が起こることやら」
















「・・・始まったわね」
「ええ・・・。全てはこれから。至急、OとD4、そしてコキュートスに眠る全ての悪魔の復活を」


 血のように紅い光で顔を染めながら、ユイとナオコは淡々と呟いていた。

(待っててね、すぐに助けるから・・・)






























METAL BEAST NEON GENESIS

機獣新世紀
エヴァンゾイド



第7話Aパート

「ねじ曲がった人形劇」



作者.アラン・スミシー




















<翌日>

 激戦が繰り広げられた発令所にて、マヤと青葉、そしてリツコが険しい顔をしながら今後のことを話していた。彼らの顔は一様に暗い。

 マヤが普段なら日向の座っている席に腰掛けたリツコを見ながら報告する。

「生き残った各機の損傷はヘイフリックの限界を超えています。修復には時間がかかるなんてものでは・・・」

 マヤの言うとおり、ネルフゾイド群は先の戦いの被害も含め壊滅に近い打撃を受けていた。
 ウルトラザウルスは首へのダメージが大きすぎ、コアこそ無事だったものの二度と戦闘に耐えられる状態ではない。無理に首を接いでも、くっつく前に腐り落ちてしまうだろうし、付いたとしてもちょっとしたことで簡単に取れてしまうだろう。
 そしてレイのサラマンダーは、修復すれば騙し騙し使えるだろうが、すでに力不足はいかんともしがたい状態になっていた。
 それ以外のゾイドはほとんどがガン・ギャラッドに完殺されている。
 唯一、残ったデスザウラーも今は使える状態ではない。


「時間がかかるわね、全てが元に戻るには」

(今攻め込まれたらお終いね)

 大破したモニターを見上げながら心の中でリツコは呟いた。
 いっそその方が清々するかも知れない。もう色々悩まないですむし、寝不足だ何だと嫌なことを思い煩うこともない。
 敬愛するリツコが不謹慎にそんなことを考えているとも知らず、マヤはなおも言葉を続けた。

「幸いMAGIシステムは移植が可能です。明日にも作業を開始します」
「でも、ここはダメね」

 頭で別のことを考えながら、リツコはマヤの言葉に反応してMAGIのモジュールボックスを見下ろした。平行して二つの作業ができる彼女にとってはごく当たり前のこと。
 マヤの言葉を考えながら、じっとMAGIを見つめる。
 母と共に、手塩にかけた彼女の子供と言ってもよい第5世代コンピュータ。

「破棄決定はもはや時間の問題です」

 黙り込むリツコと彼女が出す雰囲気に耐えられなくなったのか、マヤを庇うように青葉がそう言った。
 そんなこと彼に言われなくてもわかってると、リツコは一瞬言いそうになったがすぐに考え直した。
 ただでさえ皆苛立っているのに、なぜわざわざ棘を立てないといけないのかと思い直して。

「そうね。
 ・・・取りあえず、予備の第二発令所を使用するしかないわね」
「MAGIはなくとも、ですか?」

 リツコの様子をうかがうようにマヤが尋ねた。

「そうよ。埃をはらって、午後には仕事を始めるわよ」

 テロや万が一の事態があったときに備えて、用意されている第二発令所。
 一同知らないわけではないが、あまりいい顔をしない。引っ越しが面倒くさいと言うこともあるが、逃げたようで何となく嫌なのだ。
 特にマヤは嫌そうだった。

「椅子はきついし、センサーは硬いしやりづらいんですよね、あそこ」
「見慣れた第一発令所と造りは同じなんですが」
「違和感、ありますよね?」

 お互いに愚痴を言い合う二人を見据えながら、リツコは淡々と言った。文句を言えるだけ、彼女達は幸せなのだ。

「使えるだけマシよ。使えるかどうかわからないゾイドよりはね」




















「ケージに拘束、大丈夫でしょうね?」

 ケージ作業用タラップ上で、ミサトは厳しい眼差しを眼前の巨体に向けていた。
 彼女達以外には誰もおらず、ただ冷え冷えとした空気が漂う空間にむなしくミサトの声が響く。


「内部に熱、電子、電磁波、化学エネルギー反応なし。ゾイドコア、S2機関は共に完全に停止しています」

 日向はミサトと一緒と言うことに嬉しい反面、内心彼女の出すオーラに気圧されながらそう言った。
 言いながらもこのデータはあまり当てにできないと、日向は心のどこかで思う。
 なにしろブラックボックスだらけのゾイドの中で、デスザウラーは特にそれが多い機体なのだから。

 装甲が未回収のため、無造作に巨大な包帯を巻かれたデスザウラーは殊更不気味な顔でミサト達を見下ろしている。
 今は瞬いていないが、包帯の隙間から鈍く濁った赤い目で。


「・・・にも関わらず、デスザウラーはあの時動いたわ」

 全てのエネルギーがなくなり、動けなくなったはずのデスザウラーが再起動した光景を思い浮かべる。
 そう、あの時のデスザウラーは、16年前南極で見たアレとそっくりだった。
 知らず知らず、ミサトは唇を噛み締めた。

「目視出来る状況だけでは、うかつに触れないわよ」
「うかつに手を出すと何をされるかわからない。葛城さんと同じですね」

 少しでも場の雰囲気を和らげようと日向はそう言ったが、ミサトはまったく反応しない。
 いや、反応するにはしたが冷たい視線をわずかに返しただけだ。その視線はあまりにも冷たく、鋭い。

「・・・すみません」

 やはり言うべきではなかったか。考えても見れば、今は冗談が言える状況ではなかった。
 ミスった・・・。
 やはり将来他人の奥さん確定のミサトに未練を残さず、第9使徒戦時にできた彼女一本に絞ろう。
 うなだれながら日向はそんなことを考えていた。





















「いやはや、この展開は予想外ですな。
 今後どうするつもりですか?」

 加持は飄々とそう言った。顔は笑っていたが目はまったく笑ってなく、彼が冗談で誤魔化されるつもりがないのは容易に見て取れる。ただ、全身を覆う包帯と手持ちの点滴容器、そして彼が座る車椅子がかなりアレがナニな感じだったが。

 ともかく車椅子に座りながらも目から光を失わない加持を、『元気ねぇ』と見ながらユイは返事をした。

「今後?
 そうね、とりあえずデスザウラーは色々な整備が終わるまで凍結。危ないもの。
 代わりに地下に眠るゾイド群を目覚めさせるわ」

 穏やかにユイはそう言った。
 うんうんと隣に立つ冬月が頷く。

「そうだな。あの時、デスザウラーは我々の制御下ではなかった。たとえ他に使える物がなくても、妥当な処置だと思うよユイ君」

 二人はそれで話は終わったと言わんばかりの態度をとる。
 加持は驚き呆れた。
 確かに妥当な処置ではあるが、このようなときにデスザウラーを凍結するとは、ユイは敵の攻撃に対しなにも心配していないのだろうか?
 それとも来ないことがわかっているのか。


「こんなところで良い?あなたにとっての真実には」
「ええ、まあ。
 が、しかし・・・・・アスカは?それにゾイドを目覚めさせると言ってもパイロットが・・・」
「アスカちゃんのこと?
 彼女なら大丈夫よ。キョウコが言ってたわ、大丈夫だって」
「母の勘?
 そんなあやふやな物を信じるのですか?
 そもそも彼女は・・・」

 加持の言いかけた言葉を視線で制し、ユイは背筋を伸ばしてハッキリと言い放った。

「私は信じるわ。
 だって私も母親だもの。
 それにパイロットなら・・・」

 そしてどこか疲れた笑みを漏らすユイ。その疲れ切った姿に、加持は二の句が継げず黙って退室する以外に為す術がなかった。
 余計なことをこれ以上言ったら命に関わると、第六感が警告を与えたこともあるが、確かにユイの言葉をこれ以上疑っても仕方がなかった。

 態度にこそハッキリ現れなかったが、加持が考えている以上にユイはレイコのことを案じているのだ。そしてキョウコもまた、アスカのことを何よりも誰よりも考えているのだろう。
 男である加持にはとうてい到達不可能なこともあるのだ。
 色々と隠された真実を知りたいと、ユイに無理を言った自分が恥ずかしい。
 そして彼女達の言葉を疑うとはなんて馬鹿なんだろうと思い返して、ちょっと惨めな気分になった。























<二日後>


ブーッ、ブーッ、ブーッ!

 耳障りな音をたてるコンソールに目をやりながら、マヤはリツコを仰ぎ見た。

「やはりダメです。
 エントリープラグ排出信号、受け付けません」

 5回目のエントリープラグ排出命令だったが、マヤのモニターには無情な『REFUSED』の文字が点滅し、人の精神を苛立たせた。
 リツコは厳しい顔をしながら、指示を出す。

「予備と疑似信号は?」
「拒絶されています。直結回路も繋がりません」

 予測していたとは言え、無機的な反応にリツコが歯がみしたその時、別の作業をしていた日向が少し興奮しながら報告した。

「プラグの映像回路繋がりました。主モニターに回します!」

 数瞬の後、主モニターに映し出された映像を見た瞬間、ミサトは呻くような声を上げ、それ以外の者達も息をすることを忘れて、ただじっとその映像を見入った。
 震える息を吐き出しながら、ミサトの口から言葉が漏れる。

「何よ・・・。これ!?」


 かろうじて動いたカメラが写し出した映像・・・。
 それは異様な光景だった。
 無機的な強化プラスチックと金属でできていたはずのエントリープラグの内壁は、昆虫の外殻、あるいは生物の体内の様な、黒い物質で覆い尽くされていた。
 そう、さながらエイリアンの巣か、狂った芸術家の前衛芸術のように不気味に内装を変わっていた。
 さしものミサトも、これにはショックが隠せない。
 ミサトの横で、リツコも遠い目をしながら呟く。彼女もショックを隠せないのだ。

「これが・・・・・有り得るはずのない、シンクロ率400%の正体。
 そう、全て欺瞞だったのね。過去のシンクロ事故の記録は全て・・・(そう言うことなのね、母さん)」
「アスカは・・・、あの子はどうなったの?」

 要領を得ないリツコの言葉にイライラを隠そうともせず、ミサトは当たり散らすように怒鳴った。
 プラグの内装がどう変わろうと構わない。あり得ないはずのシンクロを出そうとどうだって構わない。
 ただ、その中にいたはずのアスカが無事でさえいれば。

 だが、モニターには彼女の求める少女の姿はなかった。
 見ようによってはゾイドの外殻のような物で覆い尽くされたシートの上で、彼女が来ていたはずの紅いプラグスーツが主をなくしたままプカプカと浮かんでいた。


「恐らく、デスザウラーに取り込まれてしまったわ」
「なによそれ!?
 前々から聞こうと思っていたけど、ゾイドってなんなのよ!?」

 ミサトの言葉に、リツコは肩をすくめた。
 絶対こう来ると思ってはいたが、こればっかりは彼女にだって正確なことはわからない。
 否、ナオコだって、ユイだってよくわかってはいないのではないだろうか。

 そんな気がする。

「さあ?
 私が作ったんじゃないし。ただ・・・・・人が創り出した、悪魔の残滓と言うほかないわ」
「人が創りだした?単に拾ったものを勝手に使ってるだけじゃない。創ったって聞いて呆れるわ」
「ただ生き返らせたわけじゃないのよ。ゾイドには戦う意志だけじゃなく、人の意志が込められているわ」

 聞きようによっては、酔っぱらいの戯言同然の言葉にミサトは露骨な悪意をリツコに向ける。
 なぜならミサトが聞きたいのは、そんな抽象的な言葉ではなく、ストレートな数学のような答えなのだから。なおかつ、彼女にわかるように明確な。

「これも誰かの意志だって言うの!?
 真面目に答えなさいよ!」
「私は真面目よ」



 パーン!

 何か言いかけたマヤを押しのけるようにミサトはリツコの頬を叩いた。
 お隣に暮らしていて、時として本当の姉妹みたいに接していたはずの少女に対し、あんまりにも冷たい言葉に激高したのだ。
 スローモーションで倒れるリツコを見ながら、ミサトは血を吐くように叫んだ。
 既にユイがキョウコがどうとかそんなレベルではなく、単純に昔の自分そっくりな。妹のような少女を助けろと。


「なんとかなさいよ!
 あんたが創ったんでしょ!?
 最後まで責任取りなさいよ!!」

 涙すらにじませたミサトの姿に意外なものを感じながらも、リツコはジンジンと赤くなって疼く頬を押さえた。痛いほどミサトの気持ちは分かる。
 でも、自分にだってどうすることもできないのだ。

 無力感と胸を刺すような鋭い痛みをこらえながら、リツコは呻くように言った。しかし声が小さく、途中で途切れたため誰の耳にも入らなかったが。

「創ったのは私じゃないわ・・・。
 私は造っただけ。創ったのは母さん達よ・・・」




























<1週間後>


「まだ、生きてる・・・」

 病室のベッドの上で、ゆっくりと目を開けたレイはそう呟いた。

 先の戦いの記憶が甦る。
 至近距離からのN2爆弾は効果がなく、逆にこっちの体が焼け、トドメとばかりに顔を割られた。
 体の痛みはないが、その時のことを思い出して顔をしかめながらゆっくりと起きあがった。
 異様に体がだるいが感覚があって、意識があると言うことは夢を見ているのかも知れないが少なくとも生きている。
 よく生きていたものだとレイは変な関心をした。死にかけても、この娘のこんな所は変わらないらしい。



 数回頭をふって意識をしっかりさせた後、目だけ動かして周囲を見てみる。
 見慣れた壁がゆっくりと開けた目にまずはいり、そしてベッドの横に座っていたらしい人影が目にはいった。

「碇君?」

 霞んだ目には誰なのかよくわからず、最も側にいて欲しかった人の名前を無意識のうちに言う。
 ちょっとばかり、乙女の期待を込めながら。
 だがレイの淡い期待もむなしく、水が高いところから低いところに流れるようにさらりと人影は言った。


「シンジ君じゃないんだな。まったく、わかりやすいね君は」
「カヲル・・・」

 途端に目が鋭くなり声の調子が面白いほど冷たくなった。
 シンジ達が近くにいるときは猫をかぶって大人しくするが、誰もいないときはそんなことをする必要はない。
 コンマ01秒でそう判断すると、レイは『邪魔、失せろ』と全身全霊で言いながらカヲルを睨み付けた。
 カヲルに一時とはいえ寝顔を見られたとは、一生の不覚だ。

 わかりやすい反応と、冗談じゃなく感じる殺気に苦笑するカヲル。
 くっくっく、と声を殺して笑う彼の姿はマントが暑苦しい以外は、洒落た吸血鬼のようでとても美しい。だがレイにとっては飾ってある花瓶と同列なようだ。
 ムッとした絶対零度の表情は変わらない。

(本当にこのままからかい続けていたいねぇ)

 彼女の凍り付いた顔をとかしてみたいね。
 顔に出さず、そんなドン・ファンの様なことを考える。もちろん、本気でそんなことをするつもりはない。どんな顔をするかとても興味深いが、それをするのは自分の仕事ではないはずだから。

 このままからかうのも楽しいが、しばらくトリックスターに徹するつもりの彼としては、この場でいつまでも時間を使っているわけにはいかない。
 本当に後ろ髪を引かれつつ、カヲルは口を開いた。

「・・・・・起きたんなら、ドグマに行くと良いよ。魔女のおばあさん(ナオコ)からすぐにお呼びがかかるはずさ」
「大きなお世話。私は怪我人。だからお呼びがかかっても行けないの」

 そう言ってから布団をかぶって顔を隠すレイに、カヲルは本気で呆れた顔をした。

 なんで彼女はここまで相手によってとる態度を変えるのかね?心というものは、本当に不可解だ。
 知らず知らずの間にクスリとカヲルは笑ってしまう。
 ただいつもの笑いでない、本当の笑みが浮かんだからちょっと可愛いと思ったのかも知れないけれど。
 しばらく後、踵を返して部屋から出る途中、一回だけ振り返るとカヲルは独り言みたいにこう言った。

「怪我はあらかた治ってるはずだよ。赤木博士のマッドもここに極まれりだね。普通なら3ヶ月の怪我が1週間だ。
 ・・・異常ないのにどうでも良い理由を作って仕事を休む。世間一般ではそれをさぼりと言うんじゃないかな。
 本気で彼女達を助けたいと思うのなら、さぼってないで今できる努力を最大限にした方が良いよ。
 ・・・・・まあ、いいさ。次の主役は君じゃなく、彼らの予定だから。君はしばらくお休みだね」
「あなた、何を言ってるの?」
「・・・・・へぇ。君は完全に知らないみたいだね。それもまた面白いな。
 未来は見えないからこそ面白い・・・良かれ悪しかれ。まったくだよ。
 じゃ、お休み」

 レイコのことを言われて、上半身を起こしたレイを振り返りもせずカヲルは風もないのににマントをはためかせながら姿を消した。
 幸い誰も見なかったけれど、注意深く見ていたらマントの下で動く、白い何かが見えたかも知れない。































「良かった、霧島さんが無事で・・・」

 脳挫傷という大怪我だったが、リツコの妖しさ極まる治療のおかげで傷事態はほぼ完治したヒカリ。
 今は先の戦いで傷つき、倒れた仲間達のお見舞いをしているところだった。
 もちろん怪我はだいぶ治ったと言っても、本来ならまだ寝てなくてはならないのだが先の戦いで何もできなかったお門違いの罪悪感からか、それともリーダーとしての責務の念からか彼女は誰に言われるでもなく、マナのお見舞いをしているのだった。

 マナもマナで結構ひどい怪我なのだが、元が頑丈だからか単に運が良かったからか三日で起きあがれるくらいには回復していた。
 で、意識が戻ったのは良いが、脳がちょっといい感じに弾けていてメルトダウン気味な彼女には、大人しく寝ていることは我慢ができなかったりする。ヒカリがお見舞いに来てくれたのは、渡りに船だった。

「ま、ね♪
 頑丈なことと愛嬌と美しさが私の取り柄だし♪
 でさ・・・」
「うん(さりげなくなんか言ってるわね。元気になった証拠かしら?)」

 マナに何か突っ込みたいのかうずうずした顔つきのヒカリ。マナはその目を無視した。

 唐突に二人が何か言う前にその場は静かになった。
 二人の目が複雑に交錯し、困惑、恐怖、焦りといった負の感情を具現化させる。
 マナはちょっと聞きづらいことを尋ねようとしたから、ヒカリはマナが何を言おうとしているのかを敏感に察知したから。
 お互い何を考えているのかわかったのか、ちらちらと様子をうかがうが、やがて意を決したようにマナは唇を湿らせながら口を開いた。

「アスカさんは?」
「あ、アスカは・・・」

 アスカのことは今までの会話でまったく話題にならなかった。
 幾ら鈍い人間でも、これは何かあったからと悟に充分だろう。そしてマナは決して鈍い人間ではない。
 マナの目がまだどうしようかと口ごもるヒカリを促す。
 飾りの少ない私服のスカートの裾を握りしめ、ヒカリが俯きながらしばらく考える。

(どうしよう?今霧島さんにこの事、話して良いのかしら?山岸さんと綾波さん、碇君、渚さんに続いてこんな事があったなんて・・・)

 深くヒカリは葛藤した。
 やがて、根負けしたのかどうせ黙っていてもいずれわかることだからと判断したからか、ヒカリは口をマナの耳元に寄せると、ぼそぼそと呟いた。

「山岸さんとアイドルデビューするためネルフを離れたわ」
「ヒカリさん、生身で空を飛んでみる?」





































「ここどこ・・・。みんなどこに行ったの?」






「ママ、ヒカリ、加持さん、シンジ、みんな・・・・・・。どこ?」





「ねぇ、私を一人にしないで。一人は嫌なの・・・」





「私を見て!一生懸命頑張るから!一番になるから!一番になったから!
 レイ達が倒せなかった使徒だってやっつけたじゃない!」





「だから。頑張るから。私を一人にしないでよ・・・」







































『アスカちゃん・・・』











「ママ?」


















『私の可愛いアスカ。こっちよ・・・』








「ママ、そこにいたのね!」






『アスカ、もうはなさない・・・、決して、決して・・・。忌々しいあいつも今は動けないから』





「ママ・・・・・」









『誰にも渡さない、私だけのアスカ・・・』







































「溶けてるの?」
「そうらしいわ。リツコさん達がもの凄い勢いでサルベージ計画とか言うのをしているそうだけど、大丈夫かしら・・」


 ぼけるヒカリにツッこむこと数回。
 遂に観念したのか、そわそわしながら事を伝え終えたヒカリの言葉にマナは目を見開いた。
 よくわかっていないのは、その眼がちょっとふざけたみたいに見えることからわかるが、それでも彼女は彼女にできる限りの表現力で驚いていた。

(溶けるって、まさか本当にドロドロと・・・?
 ははは、ブラックでダークでシャドーな冗談ね)

 まあ普通なら当然の反応をするマナ。
 マナの疑問のこれでもかと後押しをするように、ヒカリが俯いて言う。彼女が信じていないなと判断し、子供に言い聞かせるように、区切り区切りにして強調しながら。

「アスカは、本当に、溶けて、LCLに混ざってるらしいの」
「ま、まじッスか・・・」

 さすがにこんな事を、ここまで強調して言って嘘でしたなんて事はあり得ない。
 マナのこめかみから、つっと汗が流れる。
 大事になっていると思ってはいたが、まさかそこまで凄いことになっているとは思いもよらなかったのだ。普通、思わないが。




「・・・そのサルベージなんだけど、大丈夫なの?」

 しばらく口をぼ〜っと開けたまま、真っ白になって無言のマナだったが、やがて正気を取り戻すと誰しも考えるもっともな疑問を口にした。
 サルベージという言葉の意味はさっぱり分からないが、聞かないわけにはいかなかった。
 なにしろ、担当責任者はあのリツコなのだ。あの。

「リツコさんの話じゃ、前にも同じ事があってそれは成功したから大丈夫よ!って言ったたけど・・」

 ヒカリも言いながら自信がないのか、冷や汗をダラダラ流しながら顔をあさっての方に向けた
 少し痩せてそばかすが幾分減った彼女の横顔は、雷をバックに口元に手をやって高らかに笑うリツコのイメージでも浮かんだのか洒落にならないくらい顔色が悪い。
 マナも同じモノを想像したのだろう、目の上に縦線を無数に引いて半端じゃない顔色である。


「猫型ロボットの例もあるし・・・」
「笑わない人形を作ったこともあったわよね。それとそのおつきの人形達も。
 不潔だわ」

「不潔とか言う以前の問題よ。それより」
「なにより・・・」
「「リツコさんのすることだし・・・」」


 リツコが聞いたら絞め殺されそうなことを言い合う二人だった。





















































<30日後>

『現在LCL温度は36℃を維持。酸素密度に問題なし』
『放射電磁パルス異常なし。波形パターンはB』
『各計測装置は正常に作動中』


 無機的なオペレーターの声が響く中、疲れ切った表情でミサトは明日行われるサルベージ計画に思いをはせていた。
 タラップから見下ろすデスザウラーは大暴れしたことが嘘なくらいに静かに、身動き一つせず彼女達を見下ろしている。一度は引き剥がされた装甲は既に元に戻され、ただ胸部のコアだけを剥き出しにされた姿で。
 まるで巨大なモニュメントのようにも見えるが、実際は無音の威圧感を周囲にまき散らし隠しようの無いまでに強烈な敵意がケイジに充満していた。
 アスカを取り戻そうとする自分達を無駄なことをする虫けらとでも思っているのか、それとも何かしら自分に害をなそうとする邪魔者と見ているのか。
 少なくとも、アスカをサルベージするという計画をデスザウラーは喜んでいないことは感じられた。
 寒気を感じてミサトがぶるっと武者震いをする。
 そう、ある意味これは彼女にとっての戦いだった。
 子供を戦わせ、それを見ているだけの自分にもできる戦い。

(絶対、取り戻してみせる・・・)

 決して負けるわけにはいかない。
 アスカ達のために、何より自分のために。







 ミサトの居るタラップから少し離れた管制室では、リツコとマヤが休憩のついでに色々と雑談をしていた。
 マヤが恐らく資料なのだろう、紙の束を抱えながらリツコに尊敬の眼差しを向けた。
 なんと言っても、キテレツ極まりない出来事なのにあっと言う間にサルベージ計画の具体的な方法を立案したのだ。
 ちょっと科学オタクな所があるマヤの目が怪しくなるのも無理ないことだろう。

「サルベージ計画の要綱、たった一ヶ月でできるなんてさすが先輩ですね」
「残念ながら原案は私じゃないわ。
 ・・・10年前と7年前に実験済みのデータなのよ」

 なんだかピンク色の波動が見えた気がして科学の信奉者であるリツコは嫌そうにするが、徹夜の時よく出る頭の横で回ってる人の同類だと無理矢理思うことにした。と言うか無視した。
 リツコの葛藤も知らず、マヤが無邪気に言葉を続ける。

「そんな事があったんですか? ゾイドの開発中に・・・」
「まだ私がここに入る前の出来事よ。母さんが立ち会ったらしいけど、私はデータしか知らないわ」
「その時の結果はどうだったんですか?」
「さあね、どうだったかしら?」

 何でもないように言ったリツコの言葉に、マヤは笑顔のまま硬直した。
 なまじ失敗とか成功とか言われるよりもある意味、冷酷な言葉に。
 そしてリツコの口調は『電球が切れたから交換しないと行けないわね』と言ってるのとまったく同じ感じだっただけに、マヤのショックも大きかったのだろう。
 固まったマヤに眉を少し上げただけで、リツコは言葉を続けた。

「それにね、ゾイドの開発中じゃないのよ」
「え?」
「エヴァよ・・・」

 それ以上何も言わず、リツコは椅子に座り直した。
 マヤが何かを言おうと口を開きかけるが、こんな時のリツコは何を言っても返事をしてくれないのはいつものことだ。現にリツコはタバコをくわえると、無言で作業に戻った。







<31日後>

 遂にサルベージが行われる日が来た。
 タラップを見下ろす管制室に、ミサト、リツコ、日向達オペレーターが集まりガラス越しにデスザウラーを見下ろしていた。
 ユイ達が、少なくともキョウコは居ても良いはずなのに、なぜかこの場に彼女達ネルフのトップの姿はない。
 ミサトは爪を噛みながら彼女達の不在を不審に思うが、幾分事情を知っていそうなリツコは目を併せようともしなかった。
 追求してやりたいところだが、恐らくリツコ自身も詳しい事情は知らないだろう。



『只今より、12時00分00秒をお知らせします』

 機械で合成された音声が標準時間で12時ちょうどになったことを、すなわちサルベージ開始時刻になったことを一同の耳に伝えた。さっと振り返って日向がリツコ達に言う。

「時間です」

 リツコは目で返事した後、ミサトを見て軽くうなずいた。ミサトもまた無理矢理自分を納得させると頷き返す。
 改めてミサトの了解を得たリツコはそっと唇を開き、全ての始まりを宣言した。全てが上手くいくことを彼女としては非常に珍しいことに、なにかに祈りながら。

「サルベージ・スタート」


 マヤが復唱し、同時にアスカを取り戻すサルベージ計画が始まった。

 ミサト達が祈りを込め、ユイ達は姿を見せず、そしてシンジは眠り、カヲルが謎の行動をする中・・・。
 ゆっくりとデスザウラーの瞳に微かな光が瞬いていた。















『誰かがアスカを奪おうとしている・・・』



『許さない。させない。そうはいかない』



『やっとあいつを黙らせたのに・・・』



『目の前の彼女達ではない、もっと違う何かが・・・』



『地下・・・・。ここよりずっと下・・・。そこにいるのね。私からアスカを奪おうとする人が・・・。
 アスカの名を呼ぶものが・・・』



『殺す。私からアスカを奪おうとするものは、誰であろうと許さない・・・』






























<その1時間前>

「す、鈴原くん?」

 ナオコは困惑した顔で目の前に立つ少年を見ていた。
 ケガがあまりにもひどく、二度と歩けないと言われたはずの少年の姿を・・・。
 その少年は確かに酷く痩せ、バランスが上手く取れないのかふらついていたが確かに自分の両足で立っていた。
 すぐ横でニヤニヤ笑う銀髪の少年が直前まで肩を貸していたが、それにしても・・・。


「怪我はもう良いの?それにカヲル、あなたもなんでここにいるの?」

 狼狽するナオコとはなんとも珍しい光景だ。
 だが二人は、少なくとも一人はそんなお宝映像に気を取られることなく、ただ真っ直ぐにナオコの瞳を射抜いていた。
 あのユイの眼光にも耐えたナオコの動きが止まった。
 今のトウジの瞳は本気の光を放っていた。
 トウジの目的がナオコを殺すことだったとしたら、例え護衛が居てもカヲルが彼女を守る気になったとしても、彼女はただではすまないだろう。
 そう彼女に思わせるほど強い光だった。

「なんで急に動けるようになったかは知りません。ただ、ワシが生きてれば自分も生きていられるって、あと操られていたとは言え迷惑かけてすまんかったって、誰かが話しかけた夢を見たんです・・・」
「そんな非科学的な夢だなんて・・・」
「信じられんのは重々承知です。せやけど、今は頼みます!
 ワシをアレに乗せて下さい!呼ばれとるような気がするんです!」
「あ、アレってアレってナニがナニしたアレのこと?」
「まあ、アレあれ言われても何のことかわからんですが、とにかくあるんでっしゃろ?」

 今彼女の脳裏に浮かんだアレとは、艤装以外の全ての起動準備が整った大型ゾイドのことだった。トウジが言ってるアレもたぶん同じだろう。

 コードネームD4こと、狂える雷神『マッドサンダー』

 サルベージ作業が済み次第、パイロットの選定を行うつもりだったがなぜトウジがその事を知っているのだろう?
 それになんでカヲルがここにいるのか?
 このニヤニヤ笑いのトリックスターが!
 カヲルは自室にこもって智恵の輪をやっていると報告があったばかりなのに!
 無論、カヲルが本気になれば諜報部の目を誤魔化すくらいなんてことはない。
 暗にその事をナオコに思い出させるように、カヲルはニヤリ笑いをナオコに向けた。

「いずれにしても、早急にパイロットを選ぶ必要があったんでしょう?
 鈴原君が立候補しているんだから、これは渡りに船と考えた方が良いんじゃないですか?」

 言われなくてもわかってるわよ!
 と言いたいが言ったら負けな気がしてナオコは逆に口をつぐんだ。
 正論は自分が言う分には良いが、他人に言われるとこれほどむかつくことはない。
 だが人並み以上に理知的な分屈辱を感じるナオコだが、それだけ正論には素直に従う性格だった。

「そうね。
 彼の怪我が治ったというなら、彼もまた候補者の一人ではあるわね。
 わかったわ。明日、サルベージが終わってリツコ達の手が空いたとき起動実験を始めるわ。
 だから今日は大人しく医師の検査を受けて待機してなさい」
「せやから、待っとられんのです。
 今すぐ行かんと、取り返しのつかないことになる言うて・・・」

 ナオコの言葉を遮って、トウジはそう言葉を続けた。
 ナオコは自分にトウジが逆らったことにはじめは怒りを、次には驚きを感じたがすぐに冷静になって考え始めた。
 興味があったのだ。色々とトウジが言った言葉に。
 死海文書の予言が当てにならなくなった今、何を信じ、自分がどうするべきか。
 目を閉じて、ゆっくりと考える・・・。
 考えがまとまったのか、ナオコは目を開けるとまじまじとトウジの顔を見つめた。ヒカリが嫉妬しそうなくらいに顔を近づけて。ちょっとどぎまぎするトウジ。


「・・・・・呼ばれてると言ったわね?」
「は、はい」
「わかったわ。リツコが居ないからちょっと大変だけど、時田君が今暇のはずね。彼に手伝ってもらいましょう。
 そうと決まったら、カヲル!
 ・・・・ってあら?」

 いつの間にかカヲルは消え、むなしくナオコの言葉が部屋の中に響いた。

「一体いつの間に・・・」
「ドアが開いた気配なかったで。なにものなんやカヲルは・・・」

 神出鬼没、謎がモットウの美少年の消失に二人は唖然としていたが、すぐに気を取り直したナオコは通信用の端末を手に取った。
 いちいちカヲルのすることに気をとられていたら、人生の半分を損するに決まっているからだ。カヲルが聞いたらさすがに顔をしかめそうなことを考えながら、ナオコは受話器の向こう側を怒鳴りつけた。
 基本的人権とか、1ヶ月ぶりの休みとか言う声が受話器の向こうから聞こえたが科学者らしく無視だ。

「非番だかなんだか知らないけど、直ちに私の研究室に来なさい!
 今から雷神を目覚めさせるわよ!
 パイロット?
 とびっきり生きのいいのがここにいるわ!」











 幾人か俳優の姿はないが、準備が整いあとは幕を開くだけとなった。
 何かが始まろうとしている。
 恐ろしい破壊と悪意に満ちた舞踏劇が。





Bパートに続く




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