アジア旅行記 |
私のホームページではこの国の国名表記に「ミャンマー」を使用しています。これ
は私のホームページにおいて可能なかぎり政治臭さをなくそうと考えた結果で、軍事
政権/民主勢力への支持/不支持、あるいは「ミャンマー」という表記の正当性を主
張しようとしたものではありません。
6年前の総選挙で選ばれた国会議員による国会が一度も開催されない状態で、実質
的に権力を掌握している軍事政権が国名を「ビルマ」から「ミャンマー」に変更しま
した。これを正当な国名変更と認めない人達は「ビルマ」を国名として使用しています。
そのため「ビルマ」と言う国名表記は民主勢力側の主張を支持しているとの“香り”
がします。逆に「ミャンマー」という表記が軍事政権側の主張を支持しているという
“香り”がまったくしないとまでは言えません。「中華人民共和国」と「中華民国」
の略称はどちらも「中国」なので政治的に無色な呼称として使用できますが、そのよ
うな呼称も聞いたことはありません。このため、「ミャンマー」「ビルマ」のいずれ
かを使用することになります。
私が旅行した際の「ビザ」には「ミャンマー」との表記のみがあり、また日本の外
務省も「ミャンマー」をこの国の国名表記として使用しています。このため、自分自
身の政治的な主張に関係なく選択するなら「ミャンマー」の方が自然な選択であると
考え、これを統一して使用しています。
ところで「ミャンマー」と書かれた「ビザ」を取得することは現在の軍事政権の行
為を妥当なものと見なすことにつながるなどの理由で、軍部が政権を握っている間は
外国人が「ミャンマー」を旅行するのは望ましくない、あるいは迷惑だと考えている
方も居られることを書き添えておきます。
これに対しては「自分が旅行したいと思ったところに行けなくなるのは嫌だ」とい
う“わがまま”のため、正直なところ賛同できません。“屁理屈”をこねるなら「鎖
国して見えなくするより、見たもの聞いたものを外に運んだほうが良い」との意見に
なります。また、自分の主義主張に基づき他人の行動を制限する考えも“わがまま”
だと考えていますので、私の“わがまま”を“拒否”することを合理的だとは、私は
考えられません。(郷に入れば郷に従え、との言葉がありますが、これは現地の文化
/習慣を尊重し、それに合わせると言うことで、相手の主義主張に合わせることとは
本質的に違う思います。)
さて、このような話題のページを用意するのは楽しい“作業”ではありません。し かし、旅行から戻ってきたすぐ後の5月22日あたりから「ミャンマー」の政情不安 がニュースに現れてきました。訪れてみて、親近感を増していただけに何とも言えな い気持になっています。こういったことに触れずに“のほほん”と“旅行記”だけを 書いているのも何か無責任な気がしてページを用意することにしました。
先に述べましたが、私自身は、「軍事政権」「民主勢力」のいずれかを積極的に支
持するつもりもありませんし、それを判断するだけの十分な知識を持っているわけで
はありません。旅行して親近感を持ち、帰国後に関係する新聞記事などには必ず目を
通すようになったレベルです。
しかし、少なくとも現在伝えられている軍事政権による民主勢力の拘束は、誤った
方向への歩みだと思います。また、報道を見ていると民主勢力が軍事政権への「対決
姿勢を強めている」印象がありますが、もしこれが“革命”や“クーデター”のよう
なものになってしまうと、世界へと開きつつある扉を再び閉じることになり、ひいて
は国民に経済的な不利益をもたらしてしまうので、それを危惧しつつ、平和裏に解決
して欲しいと願っています。
ところで、完全な非武装の政権と言うのも考えにくいので、「軍」のすべてを否定
するのは現実的ではないと思いますが、かといって自ら実施した総選挙の結果を拒否
している現在の軍事政権が民意を反映していると主張するのも無理があると思います。
軍事政権、民主勢力のどちらかの「一人勝ち」はありえないでしょうから「共存」
を目指して欲しいと思います。
いずれにしても、1日も早く真に平和で安定した状態が訪れることを願っています。
そして、その日を「ミャンマー」の人達自身の手で迎えられると信じています。
最後に、私のホームページを見て頂いたからといって、直接的にどうなるわけでも ないでしょうが、これにより、ミャンマーを少しでも身近に感じて頂くことができ、 今後の成り行きに関心を持ってもらえれば、大変嬉しく思います。そして、これが巡 り巡ってミャンマーの平和と安定につながればと願っています。
'96/10/20 八木 浩一