アジア旅行記

 このページは、以前に「見きり発車の理由」のページをお読みいただいた方に対し
て“誤解を解いていただく”ために以前の文章を示した上、誤解の恐れのある部分の
“解説”をさせて頂きます。
 なお、『』とそれに続く(解説?)は、各解説部分がどの文章に対するものかを示
すために今回追加しました。またこれに合わせ改行位置を原文から変更しています。

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以下に'96/05/25付の原文を示します。

【-1】見きり発車の理由

 今年(96年)のゴールデンウィークに10ヶ国目(地域を含む)となるミャンマー
を訪れました。これを記念してこれまでの旅をホームページと言う形でまとめてみよ
うと思い立ったわけですが、当初の予定では、最も最近訪れたミャンマー編を作成し
てから、皆さんに見て頂こうと考えていました。

 しかし、5月22日あたりからミャンマーの政情不安がニュースに現れてきました。
つい先日訪れ、親近感を増していただけに何とも言えない気持になっています。

 私自身は、いわゆる「軍事政権」「民主勢力」のいずれかを積極的に支持するもの
ではありませんが、現在伝えられている「軍事政権」による「民主勢力」の拘束は、
誤った方向への歩みだと感じています。また、一方『「民主勢力」の「軍事政権」に
対する性急な対決姿勢も、世界へと開きつつある扉を再び閉じることになり、ひいて
は国民に対して経済的な不利益をもたらす可能性もあると危惧しています。』(解説
1)『現時点で全土を完全掌握できていない以上、「軍部」はミャンマーの安定にとっ
て重要な役割をはたすと思いますし、民意を反映した「民主」なしに社会の安定もな
いと思います。』(解説2)『双方の勢力が「一人勝ち」を求め対立するのではなく』
(解説3)、「共存」を目指して歩み寄って欲しいと思います。
 とくに『「民主勢力」支援との旗を掲げ、ヤンゴン-マンダレー間の鉄道に「ゲリ
ラ」が地雷を仕掛けた』(解説4)ことは、数名の死者を出したことを含め、許され
ることではありません。

 実際に訪れてみて、よい印象を持った国が、また遠い存在になってしまうのではな
いか、特に訪れたことのない人達にとっては、なおのこと遠い存在になっていくので
はないかと感じ、たまらず「見きり発車」の形ですが、見て頂くことにしました。

 見て頂いたからといって、直接的にどうなるわけでもないでしょうが、これにより、
ミャンマーを少しでも身近に感じて頂くことができ、今後の成り行きに関心を持って
もらえれば、大変嬉しく思います。そして、これが巡り巡ってミャンマーの平和と安
定につながればと願っています。

 最後に、私のホームページはここで述べたような「政治絡み」の内容を述べるため
に作成し始めたのではありません。私がアジアを旅して感じた魅力をできれば、多く
の人にも感じて欲しいと思って作成しています。単純に楽しんで頂くこと、皆さんの
今後の旅の参考にしていただくこと、そして何より「どうだ、いいだろう」的な、個
人的な楽しみで作成しています。

 また、このように未完成の部分がほとんどの「見きり発車」のホームページをご覧
頂き、誠にありがとうございます。充実したものになるように取り組んでいきます。

                         '96/05/25  八木 浩一

◆解説1 原文へ戻る
誤解の可能性:「民主勢力がここに来て突然対決姿勢を取りだした」
 まず、軍事政権が言いだした総選挙で軍事政権側自体が大敗したのが6年前のこと
です。それ以降、選挙結果の扱いを巡って対立が続いています。そして民主勢力側は
対話を通じた解決を模索していると認識しています。
 民主勢力の今の行動が「性急」だと言うのではなく、よくマスコミが使う「対決姿
勢を強めている」というのが事実で、革命運動のような「性急な」姿勢に変わってし
まうのであれば、というその次の文章に対する前提を述べています。

誤解の可能性:「民主勢力の対決姿勢が国民に経済的な不利益をもたらす」
 先に述べた前提で、革命やクーデターのようなものは期間の差はあれ経済的な混乱
を招くと思います。現政権の実務を行っている官僚/役人が新政権側につくならわり
とうまく行くと思いますが、そうでないなら、下手をすると内戦へ突入したり、そこ
まで行かなくても現在の官僚/役人までも入れ換え政治家だけで政策を実行するとい
うことになると混乱が生じると思います。


◆解説2 原文へ戻る
誤解の可能性:「国土を掌握できていない」
 飛躍のある表現かもしれません。
 インド、タイとの国境近くはゲリラの活動が非常に活発で政権の力が及ばない地域
が存在し、どのような形でも旅行するのは大変危険であると言う情報から「掌握でき
ていない」との表現をしています。
 掌握できているなら、私の書いたことは完全な間違いです。ただ、掌握できていな
いなら、掌握するために武力の力をある程度借りる必要があるとの考えを持っていま
す。実力を行使しなくても平和裏に会談を行うために、自分の側の重要人物が暗殺さ
れたりしないように十分な圧力をかけるなどの任務があると考えています。
(ただ、文民統制が取れているとの前提条件をつけての考えですが。)

誤解の可能性:「民主勢力が情勢を不安定にしているし、民意も反映していない」
 民主勢力側に対してではなく、どちらかというと軍事政権側に対しての記述です。
 その前の部分で「完全な非武装政権は現実的でないので軍の存在自体を否定するわ
けには行かない」と述べ、続いて「しかし、前回の総選挙の結果を無視するのは国民
をバカにしている」が述べたい内容です。
 つまり、どちらかを完全に否定したような考えは現実的でないとの意見です。


◆解説3 原文へ戻る
誤解の可能性:「民主勢力が対話を拒否している」
 対話を拒否しているのは軍事政権側です。
 「対立するのではなく」とした点ですが、たとえば日本の国会でも割りと最近、新
進党がピケを張り国会での採決を阻止しましたが、その際、与党側が国会以外の場所
で国会を開くとすればどうなるでしょう?私は大変な騒ぎになると思います。ミャン
マーでは国会ではなく、前回の選挙で当選した党員が集まった党集会でしたが、各国
のマスコミが大々的にそれを「国会」の開催のように伝え、それをNLD側が「何が
何でも開催する」と伝えられたことは、先にあげた日本の例に近く、軍事政権側の態
度を硬化させ歩み寄りを後退させるのに十分だと感じました。
 NLD側も軍事政権側の態度の硬化を予想したうえで行動しているのでしょうが、
もう少しうまく進められないのかなとの思いがあります。


◆解説4 原文へ戻る
問題の可能性:「民主勢力支援のゲリラが地雷を仕掛けた」のは事実か?
 どの新聞社の、いつの新聞かは忘れましたが、少なくとも『「民主勢力」支援をに
おわした犯行声明』について伝えた新聞社がありました。
 しかし他の新聞社やTVでは、「地雷を仕掛けた」以上の報道はなかったので犯行
の意図については事実かどうか疑問が残ります。

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