モーツァルト・エッセイ
感想 『モーツァルトのドン・ジョヴァンニ』
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(
ジャケット写真)
『モーツァルトのドン・ジョヴァンニ』
著:アンソニー・ルーデル 訳:田中 樹里
角川書店 2003年 09月 定価:本体2200円(税別)
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歌劇≪ドン・ジョバンニ≫をめぐる物語としては、
メリケの『旅の日のモーツァルト』が有名ですが、
この作品↑もまた
オペラの初演に立ち会うためプラハへ赴いた
モーツァルト夫妻が直面した彼らと
ダ・ポンテ、カサノヴァ、ドウシェク夫妻などの間に
繰り広げられる人間模様を描いたフィクションです。
作曲の大詰め段階でのスランプに対するカサノヴァの助言と、
モーツァルトのツェルリーナ役の歌手への浮気心が原因で
ギクシャクした夫婦の危機を、
カサノヴァがその機転により、
あたかも≪フィガロの結婚≫フィナーレさながら感動的に
解決する模様を見事なエンターティメント、読み物に
まとめています。
印象的だったのは
>(大成功に終わった初演後、別れを前にしてカサノヴァが
ダ・ポンテに告げるセリフ)
「ひとつ約束してくれ。……
もし、もう一度モーツァルトのために脚本を書く機会があったら
年長の俗な男を登場させてくれないか。他の連中に女性のことや
愛について教えてやるような男を」
そう
次回作≪コシ・ファン・トゥッテ≫=「恋人たちの学校」の
名伯楽ドン・アルフォンソのモデルがここにあった!
というものです。
モーツァルトオペラのファンにはこたえられない、一節ですね。
(もちろん著者の創作によるものですが)
カサノヴァの「回想録」に描かれたモーツァルトとの出会いという
小さなエピソードに着目したアイデアの非凡さに目を見晴らされます。
カサノヴァとモーツァルトの出会いしついて著者は、「あとがき」で
このように述べています。
>カサノヴァがこの作品(歌劇)の創作に力を貸そうと
したのは確かであり、彼が勤めていた図書館で死後見つかった
書類の中から、第2幕の6重唱のリブレット数頁分が発見されて
いる。
果たして、メリケのような歴史に残る傑作であるかは、
まだ確信が持てませんが
優秀な映像作家により映画化されたら、さぞや素晴らしかろう!!
と、期待せずにはおられません。
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