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デジタルカメラのノイズ測定


カメラのノイズを測定した際の記録である。 RAP2の「ダークノイズ評価プログラム」ではニコン機の場合、ダークフレームの性状のため、ほとんどの機種で測定することができない。

[Noise, Dynamic Range and Bit Depth in Digital SLRs]
キヤノンはセンサーからの信号に、オフセットまたはバイアスを適用している。 信号がADCで量子化される前に、センサからの信号に一定の電圧が加えられる。 バイアスまたはオフセット電圧を加えることにより、負の変動が正の数として残るため、ノイズの完全なヒストグラムが保存される。 電圧変動は正または負のいずれかになるが、ADCの出力は負でない整数であるため、(オフセットかバイアスが適用されていなければ)負の量の変動は量子化時にゼロにクリッピングされる。
ニコンの場合はバイアスが印加されていない。 そのため負の電圧変動がゼロにクリッピングされ、様々な形態のノイズを分析して除去するのが難しくなる。

そこでソニーの解説論文「CMOSイメージセンサの高画質化」に記載されている方法のうち、P.50の "ランダムノイズの測定方法(2)" に基づいて実施してみた。 測定方法(1)ではなく(2)を採用したのは、測定手間を軽減させるためである。 この測定の目的は、あくまでノイズ感の定量化であり、厳密な測定をすることではない。 具体的には読み出し回路ノイズ、ホットピクセルの目安となる値を掴みたい。
なおここでは(オフセットが入っていない)ニコンのRAWを前提としている。


【方法】

2枚1組の画像で測定する簡易的な方法である。 読み出し回路ノイズは信号量に依存しないので、ダークフレームから算出することにより、光ショットノイズを含まないノイズを求めることができる。

  1. ダークフレームを2枚連続で撮影し、それの差分演算を行う。
  2. これにより固定パターンノイズが相殺され、ランダムノイズ成分のみが残る。
  3. この画像のσを測定し、1/2^0.5倍することで算出することができる。
    2^0.5RN = Image(1) - Image(2)
     ↓
    RN = 1/2^0.5(Image(1) - Image(2))

【詳細説明】

【結果】

[表1]
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[表1'] 読み出し回路ノイズ = 1.356(ISO100)
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・撮影日
2017/5/15
・気温
0℃以下(冷蔵庫(氷温室))
・カメラ
D7000
・使用ソフト
dcraw, ImageJ

[表2]
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・撮影日
2018/8/25
・気温
7〜8℃以下(冷蔵庫)
・カメラ
D7000
・使用ソフト
RAP2, dcraw, ImageJ

[表3]
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・撮影日
2017/5/10
・気温
20℃程度(室内)
・カメラ
D7000
・使用ソフト
dcraw, ImageJ

[表4]
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・撮影日
2016/7/31
・気温
30℃程度(室内)
・カメラ
D7000
・使用ソフト
dcraw, ImageJ

【事例】

過去の撮影時のダークフレームを検証してみた。 デジカメ星野写真としては、標準的な露出値のものを、夏冬それぞれ1例ずつ選んだ。

[表5]
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・カメラ
D7000
・使用ソフト
RAP2, dcraw, ImageJ

【参考】

表1のデータのダーク減算をRAP2で行ったもの。

[表6]
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【考察】

【その他】

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初出:2018-08-31 改訂:2019-07-23
(C) YamD