The Crazy Pirates' Cruise at Fireworks Night


毎年行われる土浦の花火大会。見物に行く度にフネから眺めてみたい、と思っておりました。
一方、船舶の運航規制により水上からの見物は不可能であるとの情報もあり、妻と温かい友人達は「馬鹿なことはやめとけ」と正しく諭してくれてはいました。
私も毎年花火大会が始まるまではそういう思いでおりました。でも花火大会が終わった後には必ず「やればよかった」というどうしようもない後悔の念に駆られるのです。
今年は花火の後でそんな思いにひたるのはいやだ、という気持ちを8月18日頃に(どうでもいいけど)強く持ちました。以来準備を重ね、今年の花火は、

「海賊のいでたちをして酒をくらいながらフネから眺める」

という決意でもって臨むことにしました。その報告です。


まず、購入したのは、下図の剣です。ノルウェーから取り寄せました。うそです。荒川沖のトイザラスで500円ほどで買いました。トイザラスにはこの他にも、かっこいいのが2つほどありました。1時間くらい悩んでこれにしました。


次に悩んだのはフネであります。わが家のフネは、1988年に通販で購入したコールマン社製の緑色のダサい15フィートです。白地に赤ででかくロゴがはいっており、海賊としては恥ずかしくてしょうがありません。ジョイフル本田で「おい、安いじゃないか、買っちゃえ」とはしゃいでいるアウトドア小僧と見かけ上変わらないのです。ステッカーをはがしてどくろの絵を描きたかったのですが、自分じゃうまく描けそうもなく、困りました。
会社の帰りに御徒町アメ横でヤンキーが集まりそうな店で「すいません、どくろの大きなステッカーありませんか」と訊ねてみましたが、若い店員に薄笑いで「ありませんねえ」と軽くあしらわれました。俺はこんなところで何をしているんだ、と寂寥感にかられ、フネの海賊船化計画はとん挫してしまいました。

当日になって、宇都宮から駆けつけた乗組員ヤスダさんが海賊旗を作成し、これを掲げることとしました。
最も心配だったのは船舶の運航規制です。友人から「10年前にカヌーで敢行したが警備艇に見つかり、強制的に上陸させられ説教された奴がいる。」とたよりがきました。
もし警備艇が来たら、「うるさい。何を言うか。我らは海賊である。そんなことより宝物のありかを教えろ。」と応えるのが正しい海賊のありかたであることはわかっていましたが、サラリーマン海賊(そんなのいるか)の我々としてはとても心配です。でも当日までこの心配な気持ちを大切にすることにしました。

クルージングのコースとしては、以下が考えられました。
1. 上流から下る。

ま近で花火を眺められる。
危険地帯上流側は運航規制で規定されているか否か定かでない。
少なくとも警備は下流側にくらべ手薄であることが予想される。

2. 下流から遡る。

花火まで遠い。
安全性は高いが、集結するレジャーボートと橋から見おろす観客に馬鹿にされるおそれがある。

本来海賊たるもの、上記1.を選んで当然ですが海賊船の弱点として、回収の問題があります。 上陸すれば回収するクルマが待っていてすぐに退散できる、というものではありません。 また、花火渋滞と人混みはかなりのものです。
涙をのんで下流から遡ることにしました。


さて、当日。我々はカナディアンカヌー2艇に7名で分乗し、日が沈むのを待って桜川河口より漕ぎのぼりはじめました。河口付近はちょっと波が高く、ちょっぴりびびりながらのスタートとなりました。

河口からしばらく遡ると波はおだやかになってきました。途中、最初の花火が上がったときは実に感動的でした。

川面から眺める花火は、実に素晴らしいものでした。6号線を越えたあたりで腰を落ちつけて酒を飲みながら花火見物しました。船長がおなかがへったので、上陸して焼きそばを調達したりもしました。

6号線を越えたあたりの一体は、岸から2mくらいのところが草原になっており、そこで「よっぱらいおじさんおばさんおしっこ攻撃」が展開されておりました。川面にいる我々はこれにはまいりました。
このほかにも、神戸からはるばるやってきたウエダさんの「イカ食えよ」攻撃、漁船の方々による「高波攻撃」、その他いろいろありましたが、花火鑑賞を終え、無事帰還し、麻雀になだれ込むことができました。大成功といっていいでしょう。皆さん、本当にありがとうございました。

来年は、さらにフネの数を増やし、

インディアンになって川辺に設営したティーピーから出撃する

というのが正しい花火鑑賞のありかたでありましょう。


Autumn