新しく皇帝に就任したモニカは、都市計画に興味のあった皇帝だった。
そのため、帝国内に名所が少なく、術研究所くらいしか施設もないことを憂いていた。
他国を領土に加え、時間をかけて国庫にさらなる資金をためるためにも、旅に出ることにした。
語衛兵は同じホーリーオーダーのポールと、大振りの剣・ツヴァイハンダーを使いこなすアキリーズ、帝国猟兵のアン、宮廷魔術師のキグナスである。
皇帝に就任後装備を整えた一行は、都市計画についてソーモンの天才、ヒラガ9世に相談することにした。
すると、
「陛下!ヴィクトール運河に橋を架けてはいかがでしょう!まあ、多少金はかかりますが・・」
と進言してきた。
「それにしても、何をするにも金、金、金ねー。」
と、財政に頭を悩ませることの多いモニカ皇帝はため息をついた。
「世の中とはそういうものですよ、もちろん、金さえあればいいというものではありませんが。」
といって、ヒラガは角のように二本の髪をたてた奇抜な髪型の頭をちょんちょんとたたいた。
というわけで、彼はあっ!という間にレオンブリッジを建設。
完成した橋はさすがヒラガ一族が作っただけあって、橋の真ん中から二つに割れて、そこを船が通ることができるようになっている。
もちろん職を失った人たちもいるが、今後は観光業を営むことになるだろう。
しかし、沸き返る群衆の中で、ミラマーに住む女性だけは何かを予感していたように、橋ができる前大きな黒い影が河を渡っていった、と皇帝に進言したのだった。
つづいて、モニカ皇帝はステップ地方の東、サバンナ地方をさらに東南に行ったところにあるサラマット地方へ向かった。
征服が目的でなく、様々な地域を見て今後の帝都の都市計画に生かすためである。
ここには女だけの村があるからであり、皇帝が女でないと早めに仲間になってくれないクラス・アマゾネスがいるからだ。
ジャングルの一角でモンスターに襲われていた女性を発見。
救助すると、アマゾネスの村まで案内してくれた。
彼女たちは男を魅了する術「テンプテーション」で男達を惑わした七英雄ロックブーケを倒すため、本当の住まいがあったエイルネップの村を離れて生活しているのだ。
そして、助けた女性はこの村のリーダー、ジャンヌだったのだ。
彼女は皇帝の噂は聞いたことがある、と言うと、こう質問した。
「七英雄と戦う目的は何?平和のため?それとも帝国を大きくするため?」
モニカ皇帝はすかさず「両方よ。」と答える。
正直な答えが気に入ったジャンヌは、エイルネップの村に七英雄の紅一点・ロックブーケがいて、モンスターに守られているのだと教えてくれた。
こうしてモニカ皇帝はすっかりジャンヌと仲良くなって、打倒ロックブーケを誓いあい、以後アマゾネスが仲間になることなった。
とはいえ、ロックブーケを倒すためには神殿の守護者を倒さなければならない。
今の術法のレベルでは無理なので、とりあえず遠征を終え、アバロンに帰ることにした。
ミラマーに建設したレオンブリッジが何者かに破壊されていたので、世界中を回り、ある湖にいる『海の主』が原因であったことを突き止めた。
さいわい海の主と話のできるアイテムを持っているので、事情を聞くことになった。
彼女によると、七英雄の一人スービエから子供を守るため、やむなく破壊したとのことだった。
「わかりました。橋はまた作ればいいだけです」
と皇帝は海の主を安心させると、早速ソーモンのヒラガに再建を依頼。
こんどは国庫から支払う必要はなかったが、橋が破壊されたと言う話を聞いた国民が募金を集めたか、橋にかけておいた保険金がおりたかしたのだろう。