『悪代官』と悪徳商人・・時代劇では問答無用で斬り殺されるだけの存在。
なんか斬り殺されると世の中よくなったような・・気がする。
でも次の回にはそっくりの悪代官と悪徳商人のコンビが出てきて、
「世の中変わってないじゃん!」とか視聴者は叫ぶ。
・・でもまた斬り殺される。。世の中よくなったような気がする。
時代劇って、この連続ですよね。
悪代官も悪徳商人も、自分の力で(賄賂や汚い仕事で稼いだりして)のし上がってきた連中です。
悪代官といえば女好き。悪徳商人と言えば金で権力を買うのが好き。
でも、こういう輩がいると、世の中困った事になりますね。
貧乏人だと地上げされて家を失ったり、娘を売らなきゃいけなかったり。
でも、このような輩が出てくるのは、なぜでしょうか?
そして、彼らに雇われる浪人(失業者)やヤクザ者がいるのも、なぜでしょうか?
そして、正義の味方はどうしていつも侍なのでしょうか?
(忍者、義族の場合も、名門の出だったりすることが多い)
これらの疑問は、このゲームをプレイした後莫然とした状態で浮かんできたものです。
ある日、『悪代官』の話を友人としているとき、友人が指摘して初めて具体的な形になったのでした。
それまで時代劇マニアで毎日番組をチェックしていた私が、
時代劇が嫌になった原因、そして悪代官に手を出した理由もここにあった。
世間ではこのゲームのことを『バカゲー』と呼びます。
確かに、表面つらだけみたらただ笑うだけに存在するゲームであるかにも見えます。
でも、本当は、時代劇の暗側面をえぐり出して批判しているのではないか・・
深い意味はなくとも、コンセプト自体がそうなのではないかと私は思うのです。
大黒屋はいたずらにテーマパークを作りたがり、地上げしたり町を丸まる買い上げたりします。
普通の悪徳商人のように私腹を肥やすだけではない。投資しているのです。
ですから、買い上げた際に払ったお金はまた社会に還元される。
それに、悪代官が正義の味方を返り討ちにするためには、
多額の資金を投与して失業者を雇う必要があります。
また、悪代官は科学技術の発明(武器であることが残念だけれども)にも、
自分のポケットマネーから投資しています。
では、正義の味方は、悪代官を倒したら何をしてくれるのでしょうか?
失業者対策、社会的弱者への援助などの福利厚生に勤めてくれているでしょうか?
・・・もちろん、そんなことしてくれません。
水戸黄門の回ではハッキリと、彼らがまた旅に出たことが暗示されます。
それに、このゲームでは、悪事は自分の為にならないという結末が待っています。
地上げ・人殺し・あくどい金儲けに邁進した悪代官と大黒屋でしたが、
長旅の末酷い目に合います。
最終話で悪代官の出生の秘密が明らかになりますが、
悪代官が不況の無い世の中を作ると宣言。
自らの悪事の責任を取る心構えであることを明かします。
悪事をするべきではありません。
しかし、社会の歪み(各種の差別)が、悪人を生み出しているのだとしたら。
そして歪んだ社会を変えない為に正義の味方が悪人を倒しているのだとしたら・・
そう考えると、このゲームはただの『バカゲー』とは言えないでしょう。