議論の公開(第一号)    2000年6月7日

   松田先生の共著者である木下篤哉さんからメールをいただきました。

   メールによる議論全文を公開してほしいとの御要望なので、下記に掲載いたします。

   どちらの主張が正しいか、みなさんそれぞれに考えてみてください。

 

 

T.以下は、5月30日付で木下さんから森に送信した議論(ホームページに対する答弁)

 

 

双方のビデオをの映像は全く同じですが(全くおなじテープが二本できる)、その

テープに写っている兄と弟の操作は、ずれがあります。当然ながら、自らの操作が

早く写り、遠くにいる相手の操作は遅く写ります。理由は、相対論的な時間の遅れ

とドップラー効果による遅れ(要するに映像が届くまでに時間がかかる)の混合です。

 

森さんの、

>兄と弟のビデオは誤差範囲で完璧に同時と考えて差し支えないタイミングで操作

>されている映像が録画されているとしか考えられないのですが。

 

という発言は、兄弟どちらの『ビデオ』も同じだと言いたいのか、どちらの『操作』も

同じだといいたいのか、すこし決め兼ねますが、ビデオの映像はどちらも全く同じで

誤差範囲うんぬんが入る余地がありませんから、多分、後者の意味だと考えてみ

ます。

 

 そもそも、このような反論があるのは分かっていたので(というか、双子のパラド

ックスそのもののような)、「正しい間違い8-1」で、色々な解法を述べましたし、

その中で、相手の映像をずっと見る方法も述べたので、それを参考にすれば、

相手の映像がビデオにどう映るかはすぐ分かるはずです。途中の加速度運動は

一瞬だと考えても基本的な考察は難しくないでしょう(この一瞬による相手の時計

の跳躍込みで考えねばなりませんが)。

 

 「正しい間違い8-4」の設定において疑問があれば、オーソドックスな双子のパラ

ドックスの設定において行った「正しい間違い8-1」のような徹底的な考察を、

「正しい間違い8-4」の設定上で行えばよいわけです。

 

 具体的に、相手の信号を見ながらの説明では、転向前までは全く同じ。加速後

は、相手が遠くに離れたように見え、時計の同期が同じになったと観測される。

その後、相手の転向が観測され、再び出会うという映像が映りますね。

 オーソドックスな双子のパラドックスとの相違点は、転向時の加速度が弱いとい

うのがもっとも大きい違いで、後は、相手の(エンジンを吹かしての)転向が少し

ずれて届き、こちらの転向と相手の転向の間は、兄弟の時計は同期していると

見る点でしょうか。

 原稿に書いたような「偽兄」を登場させると、この同期期間の説明が、兄と偽兄

で異なり、転向時に発生した一様重力によって、信号の間隔が縮まったとする

か、単に相対速度がゼロの瞬間が過去にあったのだと説明するかの違いはある

でしょう。

 

 結局のところ、森さん自身が完全に対称な双子の場合の考察を色々と考えて

見なければ(「正しい間違い8-1」程度の詳しさで)納得できないと思うので、ホーム

ページの公開はまことによいことだと思います。

 

 

木下篤哉

 

 

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U.以下は、5月31日付で森から木下さんに送信した議論(Tに対する回答)

 

 

 私の提示している趣旨を全く理解していただいておらず、論点をすり替えているので、はっきり言って呆れています。私が申し上げているのは、ビデオに写った相手の映像について議論したいのではなく、兄と弟のそれぞれが自分自身のロケット内の操縦の様子を一部始終撮影した映像について議論したいということです。つまり、このやり方で撮影した兄と弟のビデオを、飛行を終えて地球に帰ってから二台のテレビで再生すると、実験の前提条件を満たす限り、どんな速度で地球から飛び立ったとしても、兄と弟のビデオでの操作タイミングは完全に同期すると言わざるを得ないということです。このことから、兄と弟が互いに相対運動をしたにもかかわらず、兄と弟が互いに時間遅れを生じないという結果になり、相対論と矛盾した結論に至るわけです。

 ここで論点をすり替えているというのは、ビデオに写った相手の見かけ上の時間遅れの話にしようとしている点です。私が言いたいのは、ビデオの中の相手の時間が遅れて見えようとも、それは見かけ上のことだということです。つまり、互いに自分自身の映像を撮影してそれを相手の映像と対比し、それが全く同時なら、相互の時間はまったく同時であると結論しなければならないということです。ビデオの中の相手の時間の論点にすり替えした今回の御解答は、はっきり言って、騙しのテクニックであり、肩透かしのような取り口です。もっと真正面から議論しましょう。

 

 

 

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森 泰一

sunrise2000@ehime.email.ne.jp

 

 

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V.以下は、5月31日付で木下さんから森に送信した議論(Uに対する回答)

 

 

>このやり方で撮影

>した兄と弟のビデオを、飛行を終えて地球に帰ってから二台のテレビで再生すると、

>実験の前提条件を満たす限り、どんな速度で地球から飛び立ったとしても、兄と弟の

>ビデオでの操作タイミングは完全に同期すると言わざるを得ないということです。こ

>のことから、兄と弟が互いに相対運動をしたにもかかわらず、兄と弟が互いに時間遅

>れを生じないという結果になり

 

の部分は全くもってその通りであり、正しい間違い8-4で、完全に対称な運動をした

場合を相対論で考えれば当然の結果だということを示したのですから、これ以上言う

ことは必要ないと思います。

 

互いに対称にエンジンを吹かして離れた兄弟の場合、再び出会う方法として、

兄が逆噴射するか弟が逆噴射するか、はたまた、今回の前提のように互いに

同様に逆噴射するか、更には同様ではなくて、兄の逆噴射の半分の推力で弟が

逆噴射するとか、さまざまな状況が考えられます。出会ったときにどちらが歳を

とっているかは、その状況によって変わるわけで、完全対称の運動ならば、

出会った時に互いに時間が遅れていないのは当然ですよね。

 

 どちらにせよ、完全に対称な運動を兄弟がした場合、後から並べて見たビデオ

の再生においては、兄と弟のビデオでの操作タイミングは完全に同期すると言

わざるを得ないということは、全くもってその通りだし、同時に、出会った兄弟の

時計は全く同じ時間を刻んでいるということも、全くもってその通りだということは

言えますね。

 このことについては、全面的に賛成ですよ

(正しい間違い8-4はまさにこれを述べたのに、どうして反対

に受け取られてしまうのか)。

 問題は、何故これが相対論に反すると森さんが思っているのかということですね。

 

 2台並べて見たビデオが同期しているということと、そのビデオが撮影された時の

一秒が、相手から見ると二秒になっていたり、逆に半分になっていたりすること

区別ができていないのかも知れません。出会って時計が同期していたということ

は、遅れ進みの積分のトータルが一致していたということを示しているに過ぎず、

途中のある場面場面でズレていることを否定しているわけではないのですが…。

 

 さらに、“相手から見ると”という中には、ドップラー効果による見かけのものと、

相対論による真の遅れが混ざっていますが、今回そのことを森さんに述べたのは

失敗で、単に議題を逸らかされたと思われてしまったようです。もちろん、ドップラー

効果による見かけの遅れは、後から計算によって取り除くことができ、相対論の

効果による真の遅れだけを求めることができて、さらにその計算結果を用いて、

相対論の計算で正しいことが説明できる。

 ビデオを撮ったということで、このような話になったのですが、どうも蛇足だった

ようです。

 

 

木下篤哉

 

 

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W.以下は、6月2日付で森から木下さんに送信した議論(Vに対する回答)

 

 

 そもそも、「パリティの2000年4月号で述べられている操作タイミングのずれが、本当に生じるのか。」という疑問から始まり、この疑問を検証するため、兄と弟のそれぞれの操作をビデオに収録するという思考実験をしたわけです。つまり、木下さんの主張の、

 

>ビデオが撮影された時の一秒が、相手から見ると二秒になっていたり、逆に半分になっていたりすること

 

が生じていないことを確認するための実験が、両者の操作をビデオ撮影して対比するという思考実験です。つまり、この実験によって、兄と弟のビデオでの操作タイミングが完全に同期するということは、自分の一秒が、相手から見ると二秒になっていたり、逆に半分になっていたりする現象が生じないことの証明なのです。なぜなら、兄と弟の時間関係が時間の流れに沿って1対1の対応になっている点と、それぞれのロケット内の飛行士にとっては地球にいるときと何ら変わらない感じで時間が経過するという点、の2点から考えて、ビデオで上映される以外の時間の対応関係が存在するとは考えられないからです。つまり、ビデオ上映での時間の対応関係は、まさに飛行中の兄と弟の時間の対応関係を示すとしか考えられないわけです。もっと言うと、ビデオ上では一致するが、実際の飛行中にはずれているなどという現象は起こりえないからです。このことから、

 

>完全に対称な運動を兄弟がした場合、後から並べて見たビデオ

>の再生においては、兄と弟のビデオでの操作タイミングは完全に同期すると言

>わざるを得ないということは、全くもってその通りだし、同時に、出会った兄弟の

>時計は全く同じ時間を刻んでいるということも、全くもってその通りだということは

>言えますね。

 >このことについては、全面的に賛成ですよ。

 

という発言は、特殊相対論の内部矛盾を認める発言と言わざるを得ません。

結局、特殊相対論で主張するような、どちらから見ても相手の時間が遅れるという現象は生じないと考えるのが、妥当な考え方だと思います。

 

 

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森 泰一

sunrise2000@ehime.email.ne.jp

 

 

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X.以下は、6月2日付で木下さんから森に送信した議論(Wに対する回答)

 

 

 最大の相違点は、

 

『両者の操作をビデオ撮影して対比したとき、兄と弟のビデオでの操作

タイミングが完全に同期するということは、自分の一秒が、相手から見

ると二秒になっていたり、逆に半分になっていたりする現象が生じない

ことの証明と成り得るか?』

 

ですね。確認ですが、このビデオ上映は旅行が終わった後に同時再生を行った

時に、完全に同期するということですね。

 

 そうでしたら、ビデオの完全同期が、兄弟の時間の同期の証明には成りません。

相手の時間が遅れるというのは、相手の動きが緩慢になるのと同時に、相手の

持つビデオカメラのテープ送りが緩慢になることも示します。

 

 ビデオの完全同期で言えるのは、撮影したビデオの時計と、撮影された人間の

持つ時計とが同期しており、かつ、兄弟二つのビデオの映像を同じ時間の流れ

る同一の慣性系上で上映すると同期しているということを示しているに過ぎませ

ん。

 森さんの設定では、ビデオカメラは、そのビデオカメラが存在する宇宙船の内

部を映していますから、兄弟二人そろって互いのビデオを同時再生で見た時、

どちらかの映像が、早回しに見えたりスローに見えたりすることは有り得ません。

 

 ただし、早回しに見えたりスローに見えたりしないことが、相手の時計が、早回

しになっていたりスローになっていたりしていないことを示すものではありません。

人間もカメラも同様に時間が遅れたり早まったりするので、それが映らないだけ

です。

 一番最初に述べたように、早回しに見えたりスローに見えたりする映像を撮り

たい場合は、相手が高速移動中に、“相手を”撮影しなければなりません。

 

 

木下篤哉

 

 

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Y.以下は、6月3日付で森から木下さんに送信した議論(Xに対する回答)

 

 

>森さんの設定では、ビデオカメラは、そのビデオカメラが存在する宇宙船の内部を映していますから、

>兄弟二人そろって互いのビデオを同時再生で見た時、どちらかの映像が、早回しに見えたりスローに見えたりすることは有り得ません。

 

との木下さんの主張ですが、地球時間に対しては、兄と弟の時間が遅れてスローになっていることを示すことができます。これまでは、兄と弟だけビデオ撮影するというやり方でしたが、地球上でもビデオ撮影することにしましょう。この実験によると、ロケットの速度が0.8Cのとき、地球で撮影したビデオの長さがが100分であれば、兄と弟のビデオはそれぞれ60分の長さになります(ビデオの原版)。時間が遅れるとはこのような現象です。それぞれのビデオは再生しても動きがスローになったりしておらず、ロケットの操作もごく普通の速度で実施されています。つまり、スローモーションになったり、早回しになったりはしません。ところが、ビデオの長さが違うので、時間の対応関係を考察する場合は、都合が良くありません。そこで、地球を出発するシーンと地球に帰還するシーンが同期するよう兄と弟のビデオをスロー再生しながら再録画し、地球で撮影したビデオと同じ長さの100分に再編集して、ビデオの長さを統一します(ビデオの再編版)。この操作によって、3本のビデオにおける地球を出発するシーンと地球に帰還するシーンが同期しました。この3本のビデオを同時上映すると、地球の時間に対して兄と弟の時間が遅れてスローモーションになっていることが良くわかります。しかし、60分のビデオを100分に編集すると、時間の対応関係に狂いが生じるかもしれません。そこで、狂いを生じていない原版ビデオに関して考察すると、少なくとも、次のことが言えます。

 

 @.兄のビデオの原版は、時間遅れ効果を含んだ飛行中の兄の現実の時間(実録映像の意)である。

 A.弟のビデオの原版は、時間遅れ効果を含んだ飛行中の弟の現実の時間である。

 B.ゆえに、飛行中の兄の時間は飛行中の弟の時間に対応した時間を意味し、飛行中の弟の時間は飛行中の兄の時間に対応した時間を意味する。

 

  という三段論法が成り立つ。

 

 兄と弟の時間は現実の時間なので、このビデオはUターン時の加速度運動による時間遅れ効果も含んでいると考えられます。さらに、兄と弟のビデオ間では、上述の、地球の時間に対するビデオ編集と同様のビデオ編集さえも不可能なのです。なぜなら、完全に同期しているので編集のしようがないからです。このように考えると、兄と弟のビデオの操作タイミングが完全に一致している(合意した見解:下記参照)という理由により、兄の時間と弟の時間の関係においては、特殊相対論が示すような実質的な時間遅れ効果は生じ得ないことが明白となります。したがって、相互に相対運動をしているにもかかわらず、兄弟二人そろって互いのビデオを同時再生で見た時、どちらかの映像が、早回しに見えたりスローに見えたりすることが有り得ないということが、すなわち、特殊相対論に内部矛盾があるという証拠なのです。

 

 上記の考察に対し、

 

 1.兄と弟のそれぞれの時間遅れは地球時間に対する時間遅れ効果であるので、Bの論理は成立しないのではないか?

 2.兄と弟のビデオには、Uターン時の加速度運動による時間遅れ効果など含まれていないのではないか?

 

という指摘が出ることが予想されますので、予め考察しておきます。

 まず1番ですが、ビデオの原版の時間遅れ効果の出発点は、確かに地球時間に対する計算上の相対論的な時間遅れ効果です。しかし、その遅れた時間は、飛行中の兄や弟の現実の時間でもあります。したがって、数学的に考えても物理的に考えても、当人同士の現実の時間を直接対比することには何ら問題がありません。それゆえ、Bの論理は全く問題なく成立することになります。

 次に2番です。Uターン時の加速度運動に伴う時間経過速度に変化があっても、撮影されたビデオは早回しに見えたりスローに見えたりすることはありませんが、上記1番で説明したように、ビデオは飛行中の兄や弟の現実の時間であることに疑いの余地はありません。したがって、ビデオ上映から直接的に時間遅れが感じられなくても、ビデオは、それぞれに加速度運動を含むあらゆる時間遅れ効果を含んいると考えなければなりません。なぜなら、いかなる座標系に対しても、その運動状態に対応する時間遅れ効果が存在するという相対論に基づいた正当な解釈だからです。つまり、ビデオの実録映像には相手方の座標系に対する時間遅れ効果が網羅されていると考えなければならないわけです。この考え方自体は、常軌を逸していますが、相対論に基づけば、そのように解釈するしか手立てはありません。(ただし、絶対静止系を前提にすれば、絶対静止系に基づいた自分自身の絶対速度によって時間遅れが生じると考えることができますので、非常に理解しやすくなります。) 

 

 上記1.と2.を考え合わせると、

 

>兄弟二つのビデオの映像を同じ時間の流れる同一の慣性系上で上映すると同期しているということを示しているに過ぎません。

 

という木下さんの発言は、全く根拠がない主張であると言わざるを得ません。もし、飛行時における相手の時間を観測しなければ真実の時間遅れ効果の検証とは成り得ないならば、実質的な時間遅れ(ウラシマ現象)など生じるとは考えられなくなり、上記の主張そのものが、飛行時における時間遅れ効果は見かけ上の現象であることを意味することになってしまいます。時間の対応関係が論理的に説明できればこそ、実質的な時間遅れが生じると考えて差し支えないわけであり、もし、この論理的整合がとれないなら、実質的な時間遅れが生じると考えてはいけないことになります。したがって、ビデオ撮影などによる客観的な時間の対応関係の検証において説明できない問題があるなら、相対論には内部矛盾があると結論しなければならないわけです。この論理を無視すると議論は水掛け論になります。取って付けたような言い訳はいくらでもできます。しかし、論理を無視した主張には説得力がないと言わざるを得ません。

 

 以上の点から考えて、

 

>完全に対称な運動を兄弟がした場合、後から並べて見たビデオの再生においては、

>兄と弟のビデオでの操作タイミングは完全に同期すると言わざるを得ないということは、

>全くもってその通りだし、同時に、出会った兄弟の時計は全く同じ時間を刻んでいるということも、

>全くもってその通りだということは言えますね。

> このことについては、全面的に賛成ですよ。

 

という木下さんの発言は、私の指摘する、「特殊相対論の内部矛盾」を認める発言なのです。

 

 これまでの考察から、「飛行時における相手の時間を観測しなければ真実の時間遅れ効果の検証とは成り得ない。」という木下さんの主張は間違いであることがわかります。そして、ビデオという文明の利器を利用するからこそ、時間の対応関係を、より一層、明確にでき、真実の時間遅れ効果について詳細に検討できることがおわかりいただけたと思います。したがって、特殊相対論における観測者相互の対等性には矛盾があると言わざるを得ないという結論に至るので、絶対静止系を考える必要性が出て来るわけです。

 

 

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森 泰一

sunrise2000@ehime.email.ne.jp

 

 

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Z.以下は、6月5日付で木下さんから森に送信した議論(Yに対する回答)

 

 

>ロケットの速度が0.8Cのとき、地球で撮影したビデオの長さがが100分であ

>れば、兄と弟のビデオはそれぞれ60分の長さになります(ビデオの原版)。時間が遅

>れるとはこのような現象です。それぞれのビデオは再生しても動きがスローになった

>りしておらず、ロケットの操作もごく普通の速度で実施されています。つまり、ス

>ローモーションになったり、早回しになったりはしません。

 

その通りです。この部分は共通理解ができています。ただし、もしかすると、地球で

撮影したビデオの映像について、誤解があるかも知れません。それは次で分かりま

す。

 

>ところが、ビデオの長さ

>が違うので、時間の対応関係を考察する場合は、都合が良くありません。そこで、地

>球を出発するシーンと地球に帰還するシーンが同期するよう兄と弟のビデオをスロー

>再生しながら再録画し、地球で撮影したビデオと同じ長さの100分に再編集して、

>ビデオの長さを統一します(ビデオの再編版)。

 

 ここに問題があります。というより森さんのような方法でビデオの再編版を作る

意味が存在しません。地球から撮影したビデオに映っている“兄弟の映像”は、

行きの場合は、三分の一にスローになって映り、帰りは三倍に早回しになります

(ロケットの速度が0.8Cのとき)。

 ただ、全体としてはスローで映っている時間の方が長く、地球のビデオ100分中

で映ってている“兄弟の宇宙船にある時計の映像”のトータルは60分しか動いて

いません。くどいですが、トータルは60分の映像を100分に伸ばしたような映像

は、地球で撮影したビデオには映っていません。兄弟の転向前後で、兄弟の動き

がスローになったり早回しになったりする映像が映っています。地球から映した兄

弟の映像は、“兄弟の持つ時計で”60分しかなく、実際に地球に帰ってからのビ

デオが60分しかないのは当然です。

 

 兄弟は、『我々は60分しか飛んでいない』と述べますし、その証拠として、自らの

ビデオを見せます。一方、地球に残っていた人は、100分のビデオを出して、『君

たちの映像はこのように、スローになったり早回しになったりして映っているが、こ

こからドップラー効果分を差し引くと、時計の遅れが地球上の60%になっている』

と述べます。逆に、兄弟は、地球上に100分のビデオがあることについて、『我々

が途中で感じた重力場の発生時に、重力場の上の方にある地球の時計が進んだ

ため、そこで地球上のビデオ装置が早く動き、60分の映像が100分のビデオと

なった』と説明します。

 

 このへんの話は、既にパリティに計算が載っていますので、参照してください。

ここで述べていることは、パリティで書いたこと以上のことは何も述べていません。

 

 

木下 篤哉

 

 

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以上

 

 

注記:いただいたメールを全てこのような形で公開するわけではありません。

今回は木下さんの御要望ですので、このような形を取らせていただきました。

 

 

    積極的な御意見をお待ちしております。

 

sunrise2000@ehime.email.ne.jp

 



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