瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)
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勤務時間内に業務が終わらず、自宅や飲食店などへの「持ち帰り残業」をし
たことがある会社員が全体の約3割に上ることが1日、連合系のシンクタンク、 連合総合生活開発研究所(連合総研)の調査で分かった。賃金が発生しない 違法な残業にあたる可能性もあり、同総研は社員の正確な労働時間を把握す るよう企業に呼びかけている。
調査はインターネットでのアンケート形式で、10月上旬に首都圏や関西圏の
民間企業に勤める20〜64歳の会社員2千人を対象に実施。全員が回答した。
その結果、全体の30.9%にあたる618人が、持ち帰り残業の経験があると回
答。このうち3.1%は「常にある」、6.8%は「よくある」と答えた。持ち帰り残業に ついては全体の58.3%が「労働時間にあたると思う」、21.3%が「あたらないと 思う」と回答した。
ほかにも休日などの勤務時間外に、「メール・電話・交流サイト(SNS)での
仕事の対応」をしたことがある割合は全体の46.8%に上り、うち5.8%が「常にあ る」と答えた。「呼び出しを受けて出勤」を経験したことがある会社員は28.6%だ った。
2015年に電通の新入社員が過労自殺した事件を受けて厚生労働省は17年
2月、残業を含めた社員の正確な労働時間について実態調査するよう企業に 求めた。こうした違法残業の取り締まり強化が進む一方、持ち帰り残業は会社 への出入記録などが残らないため、実態把握が難しいとされる。
働き方改革の推進によって残業が制限され、そのしわ寄せが持ち帰り残業
につながっていると指摘する声もある。電通の20代の男性社員は「業務量は変 わらないのに働ける時間だけ減ったので、家で仕事をすることが多くなった」と 漏らす。
連合総研の担当者は「会社は社員の労働時間をしっかり把握し、仕事量を
調整するなどの取り組みが求められている」と強調した。
(日本経済新聞 2017年12月1日)
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