瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)
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メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を調べる特定健診(メタボ健診)
のあり方を議論している厚生労働省の専門家検討会は3日、保健指導の対象 を腹囲が基準以上の人とする今の方法を維持することを決めた。やせていても 高血圧などがある人への指導の必要性が指摘されていたが、確かな指導法が ないなどとして見送った。
メタボ健診は企業や市町村が実施主体となり、脳卒中や心臓病など生活習
慣病を防ぐ目的で2008年から始まった。40〜74歳を対象に、腹囲が基準 (男性85センチ、女性90センチ)以上で、血圧、血糖値、脂質のいずれか一つ でも異常がある人は、保健師や管理栄養士らによる保健指導の対象になる。
ただ、この方法では、腹囲が基準未満でも血圧などに異常がある「隠れメタ
ボ」の人は対象から外れる。隠れメタボの人は、腹囲が基準未満で血圧などに も異常がない人と比べ、循環器疾患の発症リスクが1・9〜2・5倍高いとする厚 労省研究班の調査結果があり、どう対応するかが課題になっていた。
主に科学的な見地から議論する厚労省の別の検討会は5月、腹囲を前提条
件とするのを改め、血圧や血糖値、脂質に異常のある人を保健指導の対象に することを提案していた。
実務面を議論する専門家検討会は3日の会合で、腹囲以外に内臓脂肪の蓄
積を測る簡単な手段がないことや、隠れメタボの人への指導法が確立していな いことなどから、提案を採用しなかった。
現在、隠れメタボの人には、実施主体が自主的に生活改善を勧めるなどして
いる。厚労省は今後、望ましい指導法について議論するという。(福宮智代)
(朝日新聞 2016年6月4日)
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