瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)
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厚生労働省は18日、染料や顔料のもとを製造する事業場で5人が膀胱(ぼ
うこう)がんを発症したと発表した。発がん性がある「オルト―トルイジン」を含む 複数の化学物質を扱っていた事業場で、働いていた約40人のうち40〜50代 の男性4人と退職した1人が、昨年から今年にかけ相次いで膀胱がんを発症し た。国は原因の特定を急ぎつつ、業界団体に防止対策をとるよう要請した。
厚労省会見、主なやりとり 工場での膀胱がん発症問題
厚労省は事業場名を公表していない。関係者によると、がんの発症者が出
たのは、化学製品をつくる企業の北陸地方の工場だ。
厚労省によると、現職でがんを発症した人の就労歴は18〜24年。退職した
40代の男性1人も発症し、事業場が今月3日に労働局に報告した。死亡者は いないが、発症者が労災保険を請求する動きが出ている。
発症者はオルト―トルイジンなど「芳香族アミン」に分類される五つの化学物
質を反応させたり、生成物を乾かしたりする作業をしていた。オルト―トルイジン はもともと発がん性を指摘されており、事業者には法令で、空気中の濃度が有 害にならないようにするために物質を密閉して使うことなどが求められている。 この企業の担当者は取材に対し、「製造は続けているが、マスクで防護をして いる」と話した。
(朝日新聞 2015年12月18日)
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