瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)
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妊娠を理由に女性職員を解雇し、是正勧告にも従わなかったとして、厚生労
働省は4日、男女雇用機会均等法に基づき茨城県の医院名を公表した。公表 制度は1999年からあったが、実際に公表するのは初めてだ。
厚労省が公表したのは、茨城県牛久市の医療法人「医心会」の牛久皮膚科
医院(安良岡勇〈やすらおかいさむ〉院長)。今年2月、正職員だった20代前半 の看護助手の女性が、院長に妊娠したことを告げたところ、院長は後日、「妊 婦はいらない。明日から来なくていい」と述べ、解雇したという。
女性が茨城労働局に相談し、茨城労働局長や厚生労働相名による解雇の
撤回を求める是正勧告を行ったが、院長は「均等法を守るつもりは無い」として 従わなかったという。
均等法は妊娠や出産を理由として労働者を解雇したり降格させたりする、い
わゆるマタニティーハラスメント(マタハラ)を禁じている。マタハラそのものへの 罰則規定は無いが、厚労相の是正勧告に従わない場合は事業所名を公表す ることができる。
マタハラをめぐっては昨年10月、最高裁で妊娠を理由にした降格は均等法
が禁じる不利益処分に当たるとする初判断を示した。これを受けて、厚労省は 今春、妊娠や出産、復職から1年以内の降格や契約打ち切りは違法とする方 針を示したほか、全国の労働局に悪質な事業所名を公表するなど対応の強化 を求めた。
(朝日新聞 2015年9月5日)
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