瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)
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妊娠や出産を理由にした嫌がらせであるマタニティーハラスメントをめぐり、厚
生労働省は30日、妊娠や出産、復職などから1年以内の降格や契約打ち切り などの不利益な取り扱いは、原則として男女雇用機会均等法などに違反すると 判断することを決め、公表した。マタハラをめぐる指導が厳しくなることで、企業 は対策を迫られそうだ。
企業はたとえ「本人の能力が低い」などの理由をつけても、妊娠や出産、復
職から1年以内は、社員にとって不利益な取り扱いは違法とされる。妊娠前か ら能力不足について指摘がされ、機会もあったのに改善の見込みがない場合 などを例外として示した。
今回の決定のきっかけは、昨年10月の最高裁判決だ。妊娠中に負担の少
ない業務に移ったことをきっかけに降格させることは原則違法だとした。
厚労省は1月、降格などの不利益な取り扱いを受けた場合、企業側の意図
に関係なく「時期の近さ」で客観的に違法かどうかを判断するとの方針を決め、 全国の労働局に通達を出した。今回はこの「時期の近さ」を、「1年以内」として 判断基準を明確にした。
違法であれば、労働局が指導をするほか、悪質な場合には企業名の公表も
するという。女性の労働問題に詳しい圷(あくつ)由美子弁護士は「原則違法と なる範囲が広がり、前進だ」と評価する。(岡林佐和)
(朝日新聞 2015年3月31日)
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