瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

JR西日本に1億円賠償命令 28歳「過労自殺」訴訟


  JR西日本に勤めていた男性社員(当時28)が自殺したのは長時間労働の
ためだとして、男性の両親と妻が同社に計約1億9千万円の損害賠償を求めた
訴訟の判決が20日、大阪地裁であった。森木田邦裕裁判長は同社に計約1
億円の支払いを命じた。

  判決によると、男性は2009年に総合職として入社。信号機や自動列車停
止装置(ATS)など、鉄道の保安設備を管理する部署で工事の管理を担当し、
徹夜で働いた12年10月2日朝、職場近くのマンションから飛び降りて自殺し
た。

  同年9月の残業時間を、男性は約35時間と申告していたが、判決は、自殺
後の社内調査で厚生労働省が示す過労自殺の認定基準(月160時間)を超え
る約162時間だったことが判明したと指摘。「労働時間管理が十分ではなかっ
た」として逸失利益や慰謝料などの支払いを命じた。

  判決後に会見した原告代理人の松丸正弁護士は「法令を守らず、従業員の
労働時間を把握しなかったJR西日本の責任は重い」と批判。遺族の提訴後に
責任を認め、賠償額を争っていたJR西日本は「ご家族に深くおわびします。労
働時間管理に万全を期し、再発防止に取り組みます」などとする談話を出した。

  男性の自殺をめぐっては社長らの責任追及を通じて労働管理のあり方を問
いたいとして、遺族3人が同社の真鍋精志社長や当時の上司ら計8人を相手
取った別の訴訟も起こしている。(太田航)

(朝日新聞 2015年3月20日)


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