瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

「心の病」労災、最多475人 自殺・未遂も最多93人 過労死
防止法へ超党派議連


  過労や仕事のストレスからうつ病などの「心の病」になって労災を認められた
人が2012年度は、前年度の1・5倍の475人だった。3年連続で過去最多を
更新した。このうち自殺や自殺未遂が93人おり、27人増えてこちらも過去最多
だった。

  厚生労働省が21日、「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表し
た。認定は労働時間や勤務形態、仕事中におきた出来事などを総合して判断
する。

  「心の病」である精神障害と認定された人のうち、時間外労働が月80時間以
上の人は200人を超えた。働く時間の長さと精神障害との関わりが裏付けられ
た。

  発症原因別では、「仕事内容や量の変化」(59人)、「嫌がらせ・いじめ・暴
行」(55人)などが多かった。年代別では、30代が149人(うち未遂含む自殺2
3人)、40代が146人(同31人)、20代が103人(同20人)で続く。

  精神障害の認定が急増した理由について厚労省は、「11年12月から時間
外労働による認定基準を明確にし、審査のスピードを上げた。精神科の医師の
診断を受ける人が増えたことも背景にある」と分析する。

  一方、「過労死」など、くも膜下出血や心筋梗塞(こうそく)などでの認定は、
前年度より28人増の338人(死者数123人)だった。増加は2年連続。職種で
は運転手が83人と全体の4分の1を占めた。また、亡くなった人の9割は「過労
死」の危険ラインとされる月80時間以上の残業をしていた。

  「過労死・過労自殺」を減らすため、基本法を作る動きも本格化している。18
日には9政党の国会議員が「『過労死防止基本法』制定を目指す超党派議員
連盟」を発足させることを決めた。

  基本法制定はもともと過労死の遺族や弁護士が求めていたもの。「過労死
はあってはならない」との基本理念を掲げ、国や地方公共団体、使用者の責任
を明確にする。実態を詳しく調べて、総合的な対策をとるよう義務づける。
(山本知弘、編集委員・沢路毅彦)

(朝日新聞 2013年6月22日)


トップへ
トップへ
戻る
戻る