瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

自殺者、15年ぶり3万人下回る 都市部で大幅減


  2012年の自殺者数が2万7766人で、1997年以来15年ぶりに3万人を
下回った。警察庁が17日、発表した。前年より2885人(9・4%)の減で、減少
は3年連続。東京都など都市部が減少に転じたため、全体の減少につながっ
たとみられる。

  減少したのは38都道府県。最も減ったのは東京都で360人減の2760人。
次いで神奈川県が228人減の1624人、大阪府が204人減の1720人。大阪
府は2年連続の減だが、11年は東京都が前年より167人増、神奈川県は3人
増だった。

  減少率でみると、沖縄県(31%)、香川県(29%)、和歌山県(25%)の順だ
った。

  男女別では、男性は1739人減の1万9216人で全体の69%を占めた。女
性は1146人減の8550人。減少率は女性が12%で、男性の8%を上回っ
た。

  11年は被災3県がいずれも前年を下回ったが、12年は福島県が73人減の
452人、岩手県が48人減の353人だったのに対し、宮城県は25人増え508
人。増加数は奈良県と並んで最大だった。

  国内の自殺者数は、統計がある78年以降では初めて98年に3万人を超
え、03年には最悪の3万4427人に達した。06年に自殺対策を国や自治体の
責務と位置づけた自殺対策基本法が成立。対策強化月間や対策基金の設置
など取り組みが進んでいる。

  自殺対策に取り組むNPO法人ライフリンクの清水康之代表は「自殺は社会
全体で取り組む問題との意識が広まり、対策が進み出したことが背景にある。
特に都市部の対策が進んだ」と分析。一方で「まだ1日に70人以上の人が亡く
なっている楽観できない状況だ」と指摘する。現在の対策に加え、自殺未遂者
や若者、震災被災者への支援が必要としている。

(朝日新聞 2013年1月17日)


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