瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

印刷会社の胆管がん、死者増え14人に 厚労省把握分


  印刷会社で働く人に胆管がんが多発している問題で、厚生労働省は25日、
これまでに把握した発症者が24人、うち死亡者が14人に上ることを明らかに
した。全国561事業所の調査結果を発表した今月10日時点から、発症者は7
人、死亡者は6人増えた。ただ、引き続き大阪と宮城以外では、同一事業所で
複数の発症例はないという。

  24人のうち労災申請しているのは18人で、うち11人が死亡している。

  10日時点では、発症者は大阪府12人、宮城県2人、東京都・静岡県・石川
県各1人の計17人で、うち8人が死亡したとしていた。今回は、その後の労災
申請などを加えた。増えた発症者7人のうち60代の1人は存命で、それ以外の
人は、1人は40代、2人が50代、1人が60代、2人が70代でいずれも死亡し
ていた。

  7人のうち1人は、胆管がんが大量発生している大阪市の印刷会社に勤めて
いた。ほか6人が労災申請した都道府県名は公表していない。有機溶剤を使っ
た洗浄に関わっていたとみられる人も複数いたが、1人はコンピューター画像
処理の仕事をしていた。

  今月10日に示した対策の実施状況も発表した。12日から順次設置した電
話窓口には、23日までに396件(東日本窓口117件、西日本窓口217件、産
業保健の専門家窓口62件)の相談があった。事案により労働基準監督署を紹
介するなどしているという。

  今月23日には全国の労働局に対し、有機塩素系の洗浄剤を使うときには十
分に換気することなどを事業所に指導するよう指示し、印刷業界団体にも指導
した。印刷業界だけでなく、同様の洗浄をしているめっきや金属加工、半導体
製造といった業界の関係団体にも対策徹底への協力を求める。

  また月内に、全国約1万6千の印刷事業所に有機溶剤の使用状況などの調
査票を送り、8月20日までに回答を求める。8月からは、洗浄剤と胆管がんの
因果関係を調べる疫学的調査を、大阪市立大の圓藤吟史(えんどう・ぎんじ)教
授を中心とするグループで始める。調査期間は2〜3年を見込むが、途中で成
果が出る可能性もあるという。

(朝日新聞 2012年7月25日)


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