瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

過労自殺過去最多の81人、心の病で労災急増 07年度


  仕事のストレスが原因でうつ病などの精神障害になり、07年度に労災が認
められた人は前年度の1.3倍の268人で、過去最多を更新したことが23日、
厚生労働省のまとめでわかった。そのうち、過労自殺も15人多い81人(未遂3
人含む)で過去最多。長時間労働や成果主義が広がる中、心の病に悩む人が
増えていることを示した。
  
  精神障害による労災請求件数も前年度比16%増の952件で、過去最多だ
った。

  労災認定された人は、年代別では30代が100人と約4割を占め、次いで20
代が66人、40代が61人だった。職種別では、情報処理や医療福祉などの専
門的・技術的職業が75人と最も多く、工場労働者などの生産工程・労務が60
人、事務が53人など。

  一方、過労などが原因で脳・心臓疾患になり労災認定された人も、前年度よ
り10%多い392人で過去最多。そのうち過労死は前年度より5人少ない142
人だった。

  認定された人のうち、脳内出血や脳梗塞(こうそく)など脳疾患が263人、心
筋梗塞や狭心症など心臓疾患が129人。認定理由が「長時間の過重業務」だ
ったのは362人で、このうち199人は残業が月平均100時間以上だ。

  職場のストレス調査を30年近く続ける小杉正太郎・早稲田大教授(ストレス
心理学)は「IT系や研究開発など、職位階層が細かくなく管理職の少ない職場
ほど、多様な仕事を任され強いストレスにさらされがちだ」と指摘。過労死弁護
団全国連絡会議の岡村親宜代表幹事は「精神障害の労災の請求件数に対す
る認定率が3割前後と低いのは問題だ。認定指針にあいまいな面があり、見直
す時期ではないか」と話している。

(朝日新聞 2008年5月23日)


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