瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

企業ぐるみでメタボ防げ トヨタなど義務化向け独自基準


  企業の間で、社員のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防に向け
た取り組みを強化する動きが出ている。4月からメタボの予防や防止に注目し
た特定健康診断と特定保健指導の制度が全国的に始まるためだ。社員に健
康になってもらうことは、結果的に会社の医療費負担を減らすことにもなるた
め、あの手この手で社員の健康維持をねらう。

  トヨタ自動車(本社・愛知県豊田市)は、健診の対象年齢を新制度の対象(4
0〜74歳)より広げて36歳からに設定。保健指導にも国とは異なる独自の基
準を設けた。

  同社では、従業員約10万6000人とその家族約12万1000人がトヨタ自動
車健康保険組合に加入。特定健診の対象者は7万9000人で、国の基準より
1万7000人多い。保健指導が必要なメタボ該当者または予備群は約2万人と
みられる。

  このほか、会社と健保組合が約40億円を投じて今春、豊田市内に健康支援
センター「ウェルポ」を開設したり、4年に1度、「夫婦健診」を実施したりする。妻
のメタボへの関心を高めて夫の健康管理をしてもらう。

  こうしたメタボ対策では数十億円の経費が必要とみられるが、ウェルポの岩
田全充所長は「長い目でみれば、従業員が元気に働けば医療費は減り、生産
活動にも良い影響を与える」と話す。

  自転車部品メーカーのシマノ(本社・堺市)は、メタボの解消に向け、社員50
人を対象に自転車を使った実験をした。週3回以上利用した人は3カ月間で体
重が平均1.7キロ、体脂肪が同1.6%減った。血圧や中性脂肪などの数値の
改善もみられた。このため4月以降、自転車通勤などに全社的に取り組む予定
だ。

  実験に協力した名古屋市立大学大学院の高石鉄雄准教授は「自転車はメタ
ボ対策に効果がある。足腰への負担も少ない」と推奨する。

  大手百貨店の松坂屋(本店・名古屋市)は、40歳以上の社員とその家族ら
約3000人に「健康管理手帳」を配布する。過去の健診結果やメタボ対策への
アドバイスなどを盛り込み、健康増進を呼びかける。

(朝日新聞 2008年3月30日


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