瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

石綿での労災、全国720カ所 520カ所は初確認


  市民団体「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京都江東区)は3日、05
〜06年度に石綿による労災が認定された例や、石綿健康被害救済法に基づ
き時効の救済が認められた例が、全国の少なくとも726カ所の事業所(建設業
を除く)で確認できたとの調査結果を発表した。各地の労働局に情報公開請求
した資料を分析した。このうち522カ所は、05年に厚生労働省が公表した労災
発生の事業所名に含まれていなかったという。

  同センターが情報公開請求し入手したのは、労災申請や石綿健康被害救済
法に基づく労災時効の救済申請の経過が記録された「処理経過簿」と呼ばれる
文書で、認定されなかった1033人分を含む4511人分。

  石綿被害が発生している事業所名の公表をめぐっては、厚労省は05年に、
04年度以前の分について事業所名を発表。しかし、それ以後は公表していな
い。

  同センターが入手した資料は、事業所名は黒塗りされていたが、管轄の労
働基準監督署や事業所の業種コード番号などは記されていたため、これらのデ
ータを分析した。その結果、厚労省の発表にはなく、新たに石綿被害が確認さ
れたと判断できる事業所が、520カ所以上含まれていることが分かったという。

  同センターは「事業所名が分かることで、自らの石綿被害に気づく人もいる。
行政は積極的に事業所名を公表すべきだ」と話す。

  厚労省は「現在、05年度以降の分についても事業所名の公表に向けて検
討を進めているところだ」としている。

(朝日新聞 2007年12月3日)


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