瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)
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日本人女性が心筋梗塞(こうそく)になる危険要因のトップは喫煙で、たばこを
吸う人は吸わない人より8倍も危険性が増すことが、熊本大などの研究グルー プによる調査で明らかになった。男性でもたばこを吸う人の方が危険性が4倍 高く、喫煙は高血圧に次ぐ要因だった。
02年に急性心筋梗塞を初めて発症した全国の患者1925人(平均67.7
歳、男性1353人、女性572人)と、年齢と性別の割合を患者に合わせた健康 な2279人のデータを解析。高血圧や喫煙などの危険要因が、それぞれ単独 でどのくらい大きいかを調べた。
男性では、高血圧の人はそうではない人と比べて4.80倍発症し、続いて喫
煙が4.00倍、糖尿病が2.90倍。女性では喫煙が8.22倍で、糖尿病が6. 12倍、高血圧が5.04倍だった。
喫煙リスクが女性の方が男性より高い理由について、河野宏明・同大助教
授は「はっきりしないが、体質的なものに加え、女性の方が体が小さく影響が大 きいのかもしれない」という。
欧米では、喫煙と、高コレステロール血症などの脂質代謝異常が2大危険要
因とされる。今回の研究では、高コレステロール血症は、日本人男性で1.52 倍と他の要因に比べて低く、女性では1.10倍だが統計上の明確な差は出な かった。
河野さんは「日本では、特にお年寄りは低カロリー・低脂肪の食事をとるな
ど、欧米の生活様式との違いが出たのではないか。ただ、子どもを含めた若い 世代は欧米化しており、今後重要な危険要因になるだろう」と指摘している。
(朝日新聞 2007年1月1日)
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