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          瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)  
            30代の会社員にうつ病や神経症など「心の病」が急増していることが、社会 経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所の実施したアンケートでわかった。30 代に最も多いとした企業は、04年でほぼ半数だったのが、今年には61.0% に増えた。また、6割以上の上場企業が、「心の病」を抱える社員が増えたと回 答した。専門家は「急速に進む成果主義や管理職の低年齢化が一因ではない か」と分析している。 
            同研究所は今年4月、全国の上場企業に、「メンタルヘルス(心の健康)の取 り組み」に関するアンケートを郵送。社員のうつ病、神経症、統合失調症などに 関する状況を聞き、218社から回答を得た。アンケートは2年に1度実施してい る。 
            「心の病はどの年齢層で最も多いか」を聞いたところ、「30代」と答えた企業 が最も多く、全体の61.0%をしめた。02年は41.8%、04年49.3%と30 代の急増が目立つ。40代は19.3%、50代以上は1.8%だった。さらに、「3 年間で心の病が増加傾向」と答えた企業は、61.5%。02年、04年と徐々に 増えている。このため、40、50代の総数は大きくは減っていないとみられる。 
            心の病で1カ月以上休んでいる社員のいる企業の割合は7割を超え、これも 増え続けている。 
            「職場でのコミュニケーションの機会が減ったか」との質問に対して、「そう思 う」「ややそう思う」と答えたのは約6割。「職場での助け合いが少なくなった」と 思っている企業も、ほぼ半数あった。 
            さらに、コミュニケーションが少なくなった企業で、「心の病が増加傾向」と答 えたのは7割超だったのに対し、減少していない企業では半数以下にとどま り、職場環境の違いが反映した結果となった。 
            同研究所では「心の病の増加を抑えていくためには、職場内の横のつながり をいかに回復していくかが課題だ」としている。 
          (朝日新聞 2006年8月21日) 
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