瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

内臓脂肪症候群、40歳超男性の半数危険 脳梗塞の原因


  心筋梗塞(こうそく)や脳卒中など生活習慣病の引き金となる「メタボリックシ
ンドローム(内臓脂肪症候群)」の疑いが強いか、その予備群とみられる人が4
0歳を過ぎると急増し、40〜74歳の男性の約半数に上ることが8日、厚生労
働省の初めての全国調査で分かった。女性も同じ年代で5人に1人が当てはま
り、該当者は全国で約1960万人と推計されている。同省は深刻な事態と受け
止めている。

  国民健康・栄養調査の一環として04年11月、無作為に選んだ20歳以上の
男性1549人、女性2383人を対象に身体計測や血液検査などを実施した。

  メタボリック症候群の判定は、内臓脂肪の蓄積を示す目安としてウエストが
男性で85センチ以上、女性で90センチ以上を必須条件とし、さらに血中脂質、
血圧、血糖の二つ以上で基準値を超えた人を「疑いの強い人(有病者)」、一つ
超えた人を「予備群」とした。

  内臓脂肪は皮下脂肪と異なり、腸や肝臓など内臓の周囲にたまる。内臓脂
肪がつきすぎると、ホルモン分泌のバランスを崩し、放置すると高血圧や高血
糖などを引き起こし、心疾患などのリスクを高めるとされる。

  調査によると、20代と30代では予備群を含めてもメタボリック症候群の該当
者は男性で20%前後と低い。女性はゼロに近い。これはダイエットの影響とみ
られる。だが、40歳を境に急増。40〜74歳の男性では、有病者と予備群の合
計は50%を超えた。女性の合計も20%近くに達した。

  背景として厚労省は運動習慣の減少や食生活の影響を挙げる。同じ調査
で、生活習慣病の予防に効果があるとされるウオーキングなどの手軽な運動
(1回30分以上)を週2日以上、1年以上続けている習慣がある人は、30代が
最も低く、男性13.8%、女性13.5%。60代男女よりもそれぞれ20〜30ポ
イントも低かった。同省は内臓への脂肪の蓄積は長い年月をかけて進んでお
り、30代の運動不足が40代で急増する引き金の一因とみている。

  同省は「油の多い食べ物を控えて野菜を多く取ったり、たばこを吸っている人
は禁煙をしたりするなど、生活習慣を少し変えるだけでも効果は大きい」として
いる。

(朝日新聞 2006年5月8日)


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